第一話 出会い
僕はレバス•ソーライン。ラソルと言う小さな島国の王子として生まれた。王家に生まれた以上自由はない。でも、裕福な暮らしと大好きな母様と一緒に過ごせていて幸せだった。
12歳の誕生日から2週間が経った頃、父様は僕に同盟国であり、大国であるラントに行くように命じた。今思えばそれは僕を亡命させるための行動だったのだろう。僕は父さんの臣下と一緒にラントに向かった。ラントの王に謁見し、それからラントの各地を巡る旅をした。一ヶ月が経った頃もうすぐ国に帰れる、そんな時に一報が入った。北東の大陸の超大国ラーフブが攻めてきていると。
相手は世界一の大国で僕らの国は小国だ。魔法使いの数も強い戦士の数も桁違い、父さんの国は攻め込まれてから3日で滅んだ。父さんも母さんも皆んなみんな殺された。僕の帰る国は、僕の帰る場所は無くなったのだ。
しばらくはラントの王様が僕らを匿ってくれることになった。そんなある日、あるものが王宮に訪れた。プレと言う世界一の冒険者だ。僕は彼に少し興味があり、王様に謁見している彼のことを遠くから見ていた。彼は王との話が終わり帰っている途中でこちらに気づき近づいてきた。そして僕にだけ聞こえるぐらいの小さな声で
「お前、ラソルの王子だろ。」
そう、彼は僕の父様と面識があった。と言うより彼らは一国の王と世界一の冒険者として良好な関係を築いていた。そして、僕も彼とは直接話した事はないが彼のことを知っていたし、知られていた。
「はい。」
「お前の父さんには良くしてもらってだんだよなぁ。なんて言うか、残念……いや違うな。あーまぁなんだ、悲しいよな。」
「はい。」
そんな話をされると、やっぱりまだ涙が出てきてしまう。彼は僕が落ち着くまで待ってから
「腹が立つよなぁ。ラーフブの奴ら、お前もそう思わないか。」
そう言った。
「思います。」
僕は憎い。僕の祖国を滅ぼした奴らが、僕の家族を殺した奴らが。そいつらを皆殺しにしたい。そんな気持ちでいっぱいになった。
「やっぱそうだよなぁ、許せねぇよなぁ。皆殺しにしてやりたいぐらい憎いよなぁ。」
僕は驚いて彼の方を見る。
「すまねぇな。俺は人の心の声が聞きたくなくても聞こえちゃうんだ。そう言うスキル持ちでね。」
スキル…それは特殊な能力のことだ。その人の経験から発現したり、生まれながらに持つものが命の危機に発現したりする。
なるほどだから僕の心の声を読んだような反応をしてたわけか。
「そうそう、そう言うこと。」
ニコニコしながらこっちを見てくる。
「まだなんかあるんですか?」
僕がそう言うと
「うん。君、祖国を取り返してやろうって思わない?」
悪い顔でこっちを見てくる。
「やれるもんならやりたいですけど。」
「じゃあ、俺と一緒に冒険に出ないか?」
予想外の提案に僕は困惑したが彼は続ける。
「あぁ、今俺と仲間はは世界一の冒険者って言われてる。それに俺は英雄と今呼ばれ始めている。多分俺と一緒ならラソルも取り返せる。そう思うぜ。」
「……いいんですか?」
「あぁ、俺も1年前のこの国とラーフブの戦争で母さんが死んだんだ。そして、僕はラーフブの戦士を沢山殺した。ラーフブを憎むもの同士頑張ろうぜ。」
そう言うとこちらにグーを突き出してきた。
「はいっ!よろしくお願いします。」
僕は迷わず彼の手にグーを合わせた。




