ある日の二人(大根)挿絵有り
挿絵は、サイ様の描かれたものです♪
雪のように白く艶やかな髪。
紅玉の瞳。
麗しく優美な美貌と匂い立つ様な色香は、傾国の美女ですら裸足で逃げるほど。
そんな超絶美形の麗人にパタパタと走り寄る少女が一人。
「萩波~」
街の領主との会談を終えて帰って来た萩波に果竪が飛びつく。
「果竪」
「萩波、お帰りなさい!!」
子犬のように自分にじゃれつく果竪に、萩波は優しく抱きとめてその頭を撫でる。
「良い子にしてましたか?」
「むぅ!子供扱いする~」
「ふふ、私にとっては果竪はまだまだ可愛い子供です」
瞬間、嘘だ!!という念が萩波を襲う。
可愛い子供?
子供だというならば、どうして果竪に近寄る男の排除に力を注ぐ?
おかげで果竪は12歳にもなって恋愛事に疎くなってましった。
「ご褒美です」
そう言って萩波が果竪の額に口づける。
それに黄色い悲鳴をあげるのは、この街の女性達。
同じ軍の女性陣は心の中でのみ絶叫する。
すなわち
果竪に何てことを!!
――と
萩波の口づけを額に受けた果竪が顔を真っ赤にする。
「しゅ、萩波――恥ずかしいって!」
「何が恥ずかしいんですか?こんな事は誰でもする事ですよ?」
「え?そうなの?」
「勿論。私が嘘をついた事がありますか?」
果竪、ダマされるな!!
そいつの言葉の八割は嘘で塗り固められている。
しかし、素直な果竪はしばし考えて頷いた。
「う~~ん、嘘ついた事はないと思う」
果竪ぅぅぅぅぅっ!!
「そうですよ。さて、汗も掻いた事ですし、お風呂に入りましょうか」
「あ、じゃあ背中流してあげる」
「嬉しいですね、果竪は力もあるから凄く重宝してますよ」
そうしてにこりと微笑み果竪を抱き上げる萩波。
彼が颯爽と立ち去る中、軍の女性陣は心の中で涙する。
村にいた頃は、幼い頃であれば男女関係なく水浴びやらお風呂やら一緒に入ったと聞く。
その事実を考えれば、果竪が萩波と一緒にお風呂に入ることに抵抗がないことは仕方がない。
だが、さすがにこの年齢になれば恥ずかしさなどを覚える筈。
果竪は十二歳、萩波は十六歳。
貴族であれば結婚していてもおかしくない年齢である。
なのに、あの腹黒男は果竪を良い様に言いくるめて自分と一緒にお風呂に入るのが当然だと思わせている。それについて、周囲が正しい知識を教え込もうとしても邪魔をする。
寧ろ邪魔したら殺すよ?という微笑み付きで。
このままでは果竪が喰われてしまう。
「い、いえ!!喰われるといってもすぐではないわっ」
「そうよ、果竪が年頃になるまでは待つ筈よ」
「って事は、十六才になったら危険って事ね」
「誕生日の日は萩波の寝台の上で迎えそうね」
………………………………
洒落にならないっ!!
「石鹸忘れた~」
パタパタと走ってくる果竪を女性陣が取り囲む。
「果竪!!」
「はい?!」
「まだダメよ!!」
何が?
そう疑問を抱く果竪だったが、追いかけてきた萩波に抱えられ質問の機会を失う。
そうしてその日から丁度三ヶ月後。
果竪はまだ十二歳にも関わらず、萩波に美味しく?頂かれたのだった……。
後に女性陣は語る
どうしてあの時、きちんと果竪に男は獣だと教えられなかったのかーーと
*イラストの著作権は、イラストの作者様である『サイ様』にあります。
このお話は、サイ様から頂いた美麗イラストから想像したお話です♪
サイ様、イラストどうもありがとうございましたvv