40円
今でも覚えている
ずっと
たいしたことはない出来事なのだが。
高校生の頃、文芸部で表彰式へ行った。
私の書いたくだらない、今ではなんとなく思い出せないような、もし見てしまったら、悶えるような、そんな詩。
そんな詩が、たまたま賞に入ってしまったのだった。
それでも、私は浮かれて、とっても喜んだ。帰り道スキップするくらいに。
藤巻亮太さんのサインをもらって、私は、何度もその名前を撫でた。
そして
文芸館の帰り、友達に40円を貸した。
バスの440円が足りなかったのだ。
私は快く、たった40円をかした。
そのことが今でもずっと忘れられない。
なぜなら、
その40円は帰ってこなかったからだ。
別に良いけどー。
40円くらい。
忘れたいというほどではないが、忘れても良いと思っている。




