第八章 思わぬ相手
前回のあらすじ
村についたレオンだったが先輩羊飼いのサンと一緒に…
とうとう出発の前日になった。僕はドキドキしているとサンはオレンジ色の毛並みをしたウルファーを奥から連れてきた。「かっこいい…」僕は思わずそう呟くとサンは自慢げな顔でウルファーを撫でた。「こいつは僕の修行時代からずっと一緒に仕事をしているベテランなんだ、ここの周辺の村の人ならばこのウルファーを見ただけで僕がいることが分かるくらい長いんだよ」そういうとウルファーに顔を近づけた。ウルファーもおっとりとした顔をしている。「こいつの毛並みが陽の光に見えるって理由で"太陽"って呼ばれてるんだ。僕の名前はそこから来てサン。あまり自分の名前が好きじゃなかったからそのまま自分の名前をサンに変えたんだ…さて、そろそろ行こうか。早くしないと日が暮れてしまう」そう言うと檻に入っておた羊を全て出して歩き始めた。僕も隣に檻にいるウルファー2匹を出してサンとサンのウルファーの太陽に追いつくように急いで出る。はじめはサンの後ろをついていくような形で歩こうとしたがこれはレオンの初仕事だからと言われ僕が先に行くことになった。頭の中で羊を2列になるようにイメージして魔法をかける。すると羊達はそれに合わせるように2列になり後ろをついてきた。ウルファー2匹は後ろから羊についてきている。普段魔法の練習をしていたおかげか継続してかけていてもあまり疲れが出なかった。しばらく歩いただろうか。散歩などで村の周りを周ったりしていたが知らない道に入った。ここからはサンについてあるきはじめる。すると突然サンの足が止まった。僕はどうしたのかと思いサンが見ている方を見る。すると目の前には思わぬ動物がいた。かなり離れていると思うのだがかなり大きい狼…いや、ウルファーがいた。雰囲気が明らかに攻撃的でこっちを見た瞬間、ゆっくりとこっちに歩みを進めてきた。「これは…ざっと5mくらいあるかもしれない…しかも1匹だけじゃない…5匹程度周りにもいる……こっちに向かってきているからウルファーとの戦闘は避けられない…しかもこっちには羊もいる。流石に絶体絶命過ぎないか…?戦いざるおえないぞ…」そう言うとサンは杖を構えた。すると太陽も前にいき、威嚇をする。僕は羊を死なせたらいけないと少し距離を取って羊を離す。数十mくらい離してサンを見る。その瞬間だった。5m超えのウルファーはサンを爪で引っかいていた。サンは頭から足にかけて真っ赤な血が飛んでいた。その光景を見た瞬間僕は昔花畑でメリーを助けられなかったことやお父さんが殺されたことがフラッシュバックした。「こんなの…どうすればいいんだよ…」僕はそう呟き膝から崩れ落ちる。「どうすれば……いいんだよ……」その瞬間、メリーが笑って信じている。そういったような気がした。気の所為なのだろうが今踏ん張らずにどうするんだと自分に言い聞かせ、足を動かす。ウルファーに向かって全力で走り腰に刺していた短剣を大きいウルファーに向かって突き刺した。するとウルファーは大きい音を出す。今度は短剣をウルファーから抜き、もう一度つき出そうとする。するとウルファーは驚いたように逃げていった。ウルファーの体が大きかったせいでだいぶ返り血を浴びてしまった。羊を見ると丸い団子状に固まっていてその後ろにウルファーが見ていた。そういえばと思いサンを見る。するとサンのウルファーの太陽はそっとサンをくわえ僕の前を歩いていった。僕は羊を連れて太陽の後ろを歩く。空が暗くなっても太陽が足を止めることは無かった。しかし僕が歩くのに疲れ止まっていると僕のウルファーに器用にサンを乗せ僕に背中を向けた。僕は恐る恐る背中に乗ると少しペースを上げて歩き始める。僕は羊を誘導しようとした瞬間だった。僕が連れていたウルファー2匹が羊の後ろで遠吠えをあげた。それを聞きサンが連れていたもう一匹のウルファーが羊の横に着きサンが走り始めた。