第七章 その先にあるものは
前回のあらすじ
思いがけないことを伝えたレオンだったがとうとう追放されてしまう…
僕はサンに連れられて古い家に向かった。扉を開けた瞬間古屋敷のような「キキキキ…」という音を鳴らして扉の音が響いた。中も古くてホコリが舞い、至るところに蜘蛛の巣も張っている。流石に酷いな……そう思うとサンは家の中に入り奥から鈴のついた不思議な形をした棒のようなものを取って僕に渡した。棒の先端は曲がっていてそこに鈴がぶら下がっている。「その棒で羊を導くんだ、結構高いから気をつけてね?w」そうサンは笑いながら言う。僕は高いという単語を聞いて両手でしっかりその棒を持った。「その棒、王国で買ったら1000円くらいするんだ、ちなみにここで作ってたからここだと無料でもらえる、ちなみにそれはここで作ったものだw」そう言われた。「実質タダだよwそれに数年前のものゴミ箱から出てきたものだ」と笑われた。僕はどう対応すればいいのか分からず困惑していると早速サンは使い方を教えてくれた。サンは自分の棒を持つと羊のいる檻を開け、数匹羊を出した。そのままそばにいた狼のような動物の檻を開け、鈴を鳴らした。すると羊が一列にゆっくり歩いて行く。「君にはこれをできるようになってもらうよ、後は群れを崩したりその方向に誘導するかも覚えてもらうよ」そう言われた。やってみてという目をされたので僕も鈴を鳴らす。しかし一列になるどころか固まってしまうし狼のような動物はどこかへ行ってしまうしで結局できなかった。するとサンは不思議そうな顔をして「もしかして…魔法が使えない?」そう言われた。「僕の家系は魔法とは無縁なんです。王国でも魔法は女性が使うものだと言われていて一度も触ったこともないです」そう言うと凄く驚いた顔で見られた。サンはすぐに僕の手を握って来た。僕が驚いていると突然手のひらが熱くなる感覚がした。「これが魔法だ、難しい話を省くと小さい魔法くらいだったら誰でも使えると思う、すぐに教えよう」そう言われて魔法の使い方を教えてもらった。始めはなかなか使えなかったら数週間くらい経った頃には小さな魔法が使えるようになった。とは言っても魔法の方に引っ張られそうになるせいでなかなか一人前とはいかない、この力を使って羊を導くのか…そう思うと少し不安になる。それどころか羊を失ってしまったら今まで育ててきた分がパーになる。そうなったら当然給料どころかこちらがお金を払わないといけない。そうサンから言われた。自分の力量じゃ到底仕事ができないと思った僕は魔法の練習を続けた。ある程度すると実際に羊や狼のような動物も魔法で導いてみた。狼のような動物はウルファーという動物で狼よりも扱いやすいらしい、体格が大きく力も強いが人間とは共存生活をする種族で基本温厚なやつが多いと聞いた。羊よりも少し多いが大人になると10M超えもいるらしい。ウルファーは羊が何らかの力のせいで言うことを聞かなくなったときに後ろから威嚇などで羊を誘導してくれるらしい。実際に暴れる子羊をウルファーを使って誘導する練習もした。毎日魔法の練習をしているとあっという間に16歳の成人の年になった。するとサンは待っていましたと言わんばかりに一緒に初仕事として隣の街へ行こうと言われた。初仕事のためサンも一緒についてきてくれるらしい。食料の準備などもするため1週間後に出ようと言われた。1週間の間にウルファーに保存食を乗っけたり、荷物をまとめて忘れ物がないようにしてと準備を万端にした。