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エピソード37 黒羊と悪魔2
その時、突然暖かい風が吹き懐かしい香りがする、私はゆっくりと香りがする方向を見る。するとそこには、レオがゆっくりと立ち上がり私に向かって歩いてくる。レオの歩いた後ろには見慣れた紫色の花が咲いている。どうして…?ここは荒野のようになっていて花なんか咲くわけがない。レオを見て驚くと私の腹部やレオの腹部に生えていた触手は重そうな音を立てて地面に落ちそのまま朽ち果てて消えていた。レオは私に向かって穏やかな笑顔を見せて手を差し出す、まるで数年前、私にしてくれていたように。私はレオに手を伸ばす。私たちの手が重なった瞬間、私たちの周りに紫色の花の花畑ができていた、だんだん周りに咲き乱れ、大きい花畑となっていく。レオは私の手をしっかりと握り魔法を発動させる。私たちの周りには青い獅子と赤い羊のようなものの幻影が現れ私たちを取り囲む。悪魔は私たちを見ると「…ここにはもう用済みだ。」そう言いどこかへ消えてしまった。私が固まっているとレオはドサッと音を立てて花畑へ寝っ転がった。




