エピソード36 黒羊と悪魔
私は何とかこらえて意識を整える。すると今度は腹部に痛みが走る。腹部を触ると黒い触手のようなものが生えていた。何…これ…レオのほうを見ると悪魔におなかを踏まれているレオがいた。地面に倒れこみお腹を悪魔が踏みつけている。悪魔が足をどかすと私と同じようにレオにも触手が腹部に生えていた。「…弱すぎる」そう言いゆっくりと私のほうへ悪魔は歩いてくる。レオもやられてしまったのかぐったりとしている。悪魔は私のすぐ近くにまで歩いてきて止まり私に魔法をかけてきた。抑えていたはずの魔力が一気に外側へ流れていく。きっと私を完全に吸収するつもりなのだろう。その時だった、「まだ…死んでねぇから…勝手に殺すな……」そうレオは言う。「どうせお前は弱い、それにその傷は致命傷なはずだ、これ以上無駄なあがきはやめろ」それに続いて悪魔も言う。私はただ吸収に抗うことしかできなかった。でもすぐにあらがっても無駄だろうと気づく。そんなことはないと否定したかったが、本能的に察してしまう。実力差がありすぎる。いっそのこと、諦めてしまったほうが正しいのではないだろうか。「どうせ……私が生きていたって…」思わずそう呟いてしまう。だんだんと意識がなくなる。このまま、目を閉じてしまおうか……




