エピソード31 黒羊の本音3
そうか、これはきっと間違っている感情なんだ、そう捉えた。すぐに私レオンを睨みつけ叫ぶ。「何が前より美しくなったよ!こんな気持ちの悪い角の生えた女…!こんなに普通じゃできない傷や痣を全身につけた体…!!どうせあなたは私の体にしか興味が無いのでしょう!?あの時の彼奴等みたいに…!あの時の人間たちみたいに…!!」私は自分の思っていたこと、きっと正しい感情を全てレオンに投げつける。その間レオンは、ただ私の話を聞き続けていた。聞いてくれている、というよりかは私が叫んでいるのをどうすることもできない、という方が正しいのだろうか?私は感情的になり肩で息をする。息を軽く整えてマドを見る。 その時だった。マドは剣を素早く振りレオンの左手を切り落とす。レオンの手首は重力に従って落ち、赤い液体が滴る。血の付いた剣をマドは不敵な笑みで見ていた。私は何もできず、ただ見ていることしかできなかった。私の好きな人を、私の仲間が怪我させている。止めないといけない、ただ体が動かない。レオンは、素早く身を引き魔法で止血をする。私はその状態を見て、ただ涙を流すことしかできなかった。それに気づいたのかレオンは自分の羽織っていた服を自分の左腕に巻き付け傷口が見えないようにしていた。私は少し体が動くことに気づくとレオンに回復魔法をかけようとした、その時だった。「メリィーー!!」そう声が響く。マドだ、私はすぐにビクッとする。声に驚いたのもあるが一応敵対組織、レオンを助けようとしたのがマズかったのだろうか?私はマドを見ようと目線を上に上げると後ろから鈍い音が響く。私はその時家族のことが頭をよぎった。そんな余裕はないはずなのに、「ごめんなさい……ごめんなさい…」私は謝ることしかできない。「お願いします…何でも…何でもしますから……家族…どうか家族だけは……」そう涙を流しながら懇願する。ふと頭にさっき言われた家族を手に掛けるという言葉が頭から離れなくなる。




