エピソード12 黒羊の葛藤
気がつくと私は布団で横になっていた。どうしてここにいるかもわからない…すると扉が開きこっちを誰かから見られているような気がした。そちらに視線を移すとそこにはマドが心配そうにこちらを見ていた。大丈夫だよ、そう言おうとしたがなぜか声が出ない。「体調とか…どう?大丈夫?」そう聞かれても答えられなかった。すると突然マドは私の手を握り何か温かい感じがした。「これが魔力、今メリーが魔法が使えるように下準備してるから」そう言われた。きっとあの時のことだろうか?とりあえずお礼だけでも、そう思いはするのだが声が出ない。微笑もうとしても顔が動かなくなってしまった。私はただ暗い顔で何も言うこと無くうつむくことしか出来なくなっていた。すると「こんなところで何をしているんだ?」そうリーダーの声がする。するとリーダーはマドの方により、こちらを見た。するとリーダーは「役立たずに何か用があるのか?」そう言われた。その瞬間だった。「いい加減にしろよ……!!」そうマドの声が響く。その声を聞いてリーダーはビクッとした。「そんなにメリーに酷い扱いをしたいのなら…!」するとマドは私の首に剣を突きつけた「今ここで僕がメリーを殺す…!これ以上メリーに酷い扱いをするのは耐えられない…!これ以上するのなら僕の手で終わらせる…!」そう言われた。少しずつ首に剣が触れる。結局マドも私を恨んでいるんだろう。このまま前に少し動いてしまえば、全て終わるのだろうか?そう思いマドの顔を見る。するとマドの目には涙がたまっていた。どうして、泣いているんだろう?どうして体が震えているんだろう?殺してしまいたいのならさっさとすれば良いのに…すると「マド、やめなさい…」そうリーダーは言う。続けて「2日後…儀式を始める各々準備しておくように…」そういいどこかへ歩き出した。マドも首に当てた剣を外した。私はどうして殺されなかったのか、ずっと考えていた。