エピソード2 黒羊と向こう側
前回のあらすじ
黒い謎の羊に連れ去られたメリーだったが…
どうにか抵抗しようとするが担がれているせいで何も抵抗できない。唯一抵抗できる手段があるとするなら魔法だろうか?村でも半分くらいの人しか使えないらしい。もう半分は魔法が使えない代わりに剣を使って攻撃をすると聞いた。レオンは剣側の人間だ。私は精一杯の魔力を使って抵抗をするが相手のほうが何十枚も上手なのか全くと言っていいほど通じていなかった。やっぱり諦めるしかないか…そう考えているとしばらくしてから羊の大人の足はピタリと止まった。私は何があるのかと思い、今まで下しか向いていなかった視線を無理矢理上の方へ上げる。するとそこには今まで見た羊の人たちとは明らかに違う服装をした羊の男の人がいた。他のスーツを着ている人とは違い、ローブのようなものを身にまとっていて他の羊の大人とは違い少し小柄な羊の人だ。羊の人が何かを言う。金切り声のような、雑音のような音を立てて何かを話しているようにも見える。しばらく2人で会話を交わしていると突然変異ローブのようなものを着た羊の人が私に向かってこんな事を言ってきた。「オマエハニンゲンナノカ?マリョクガツカエルニンゲンナンテメズラシイ」と言ってきた。すごくカタコトだし聞き取りづらいがわかる言葉で話しているのはわかる。「はい…人間です…村の方でもかなり珍しい方ですが一応少しだったら魔法が使えます…」そう言うとスーツを着ている方は「キシャ!キャシャシャ…キチャ!」と言った。こっちの方はなんて言っているのか全くわからない。固まっているとローブの人が言った。「コイツハニンゲンヲミルノノガハジメテデカナリコウフンシテイルトイッテイル」そう言ってくれた。「そうなんですね…!そういえば…私って元の村に帰ることってできますか?」そう言うと、ローブの人が言った。「キョカデキナイ。オマエニハコレカラベンキィウヲシテモラウ、イヤカモシレンガキカナイ」そう言われた。私は静かに「ですよね…」そう言いながら下を向く。ここに来てしまったからにはかなり自由がなくなってしまうのだろう。そのうちレオンと結婚できるのなら今は耐えないといけない…そう思う。「ナンダ?テイコウハシナイノカ?」そう言われた。「変に抵抗して私の好きな人に手を出されちゃ困るからねw」そう言うスーツを着た人は少し考えたような声を出して「キィシ…キシャキシャ…」と言った。するとすぐに「アソコニイタオトコノコトカ?トイッテイル」そう通訳が入る。「えぇ…私の一番好きな人。優しくてかっこよくって…」そう言うとそのローブ姿の人は何かを考える素振りをして「オマエニジョウケンヲヤロウ、オマエガキチントヤクメヲハタスコトガデキタノナラオマエヲカイホウシテヤル」そう言われた。私はレオンといっしょにいれるかもしれないと思い、すぐに「分かりました、よろしくお願いします」そう伝えた。