第17章 黒羊
前回のあらすじ
とうとう誰も止めることができなくなってしまったメリーだが…
僕は突然の出来事に同時ながらも剣を構える。思わず「なんだよこれ…こんな化け物……」そう呟く。その瞬間、影がゆらっと動いたような気がした。僕は自分ができる限りの速さで影を突こうとすると黒い影は「遅い…その程度か」そんな言葉が聞こえた。僕は驚き少し身を引く。その瞬間影だけがでてきて羊の様な大男のような体格に変わり僕を蹴り飛ばす。「かは……ッ!?」衝撃でそのような声が出る。すると黒い影は僕のお腹を踏みつけて「弱いあまりにも弱すぎる」そう言いながら僕を睨みつけるように見る。影は目は赤く染まっていてその他は影のように真っ暗な体をしている。するとメリーが泣き叫ぶような声を上げた。僕はそちらをみるとメリーのお腹からは黒い触手のようなものが伸びていた。僕は何とかしなきゃとも思っているのにお腹を踏みつけられてどんなに力を入れていても抜け出すことができなかった。必死にもがいているとお腹のところから激痛が走る。痛すぎるせいなのかお腹が燃えるように熱い。メリーの影のようなものがお腹から足をどかすと僕のお腹にもメリーと同じような触手のようなものが生えていた。その瞬間僕は無意識に(メリー…ずっとこんな痛みに耐えていたのか…こんな状態で周りの人間は悪い人ばかりじゃないなんて言われて…それはキレるな…メリー…大丈夫かな…)そう考えた。僕の視線はぼやけゆっくりと暗くなり、だんだんと視界が真っ暗になった。僕はこのまま死んでしまうのだろうか…?メリーを助けることができず、悪を滅ぼすこともできず。…するとさっきの影のようなものの声が響く。「弱すぎる…」そういいメリーの方向へ歩くような足音が聞こえる。その瞬間僕の中で聞き馴染みのある女の子の声がした。「私が大きくなったらレオと結婚するんだから!!えへへ♪みんなには内緒ね?」走馬灯なのだろうか?昔見た紫色の花畑が見える。もし、メリーをここにつれて帰ればメリーは前のように笑ってくれるのだろうか?もしそうだとしたら…メリーに近づく足音が止まった瞬間、僕はゆっくりと立上り「まだ…死んでねぇから…勝手に殺すな……」そう言う。「どうせお前は弱い、それにその傷は致命傷なはずだ、これ以上無駄なあがきはやめろ」そう影から言われた。そんなことはわかっている。今まで何をやってもだめだった僕が一番良くわかっている。ただ僕のことをよくわからない奴に色々言われるとどうしてもムカつく気持ちのほうが勝つ。その瞬間、僕の青く光っている目の反対側に赤い光が宿るのを感じる。
僕はメリーの方をみる。するとメリーは必死に影に飲み込まれないようにもがいていた。その瞬間、メリーは小さな声で「どうせ……私が生きていたって…」そう聞こえた。すると影は僕の方をはっきりと見て「どうせお前には何もできない、何をやったってもう無駄だ、素直に諦めろ」そう言われた。そんなの……やってみなくちゃわからないじゃないか。僕はメリーに近づきながら魔法を発動させる。また前みたいに笑い合えるように、また昔みたいに話ができるように。