第15章 キミの声
前回のあらすじ
メリーの過去を聞いたレオン、それは絶望しかなかった…
メリーが叫んで訴えているのを僕はただ聞いておくことしかできなかった。僕が知らない間、メリーは相当ひどい扱いを受けていたのだろう。昔からメリーは自分の言いたい事を隠すような子だった。きっと何も言えない、いや、言わないように自分の声に蓋をして感情をなくしていたのだろう。そう思うと胸が苦しくなる。いくら酷いことをしてしまっていても、いくら取り返しがつかない事をしたとしても僕はメリーの事が好きだ。この想いは一度も変わったことがない。メリーもそうだといいな…そう思った瞬間だった。後ろから「パスンッ」と音がする。左手に違和感があり左手に視線を移すと左手から、というよりかは手首から血が出ていて手の平は無くなっていた。僕は何が起きているのかわからなかった。次にシャーフのリーダーに視線を移すと笑いながら血のついた剣を見ている。そこの下には僕の左手が落ちていた。つまり…そういうことなのだろう。僕は急いで魔法で止血をし、痛覚を麻痺させた。メリーは僕の左手を見て凄く驚いた顔をしていた。それと同時に涙が溢れていた。僕はこれ以上メリーになって欲しくはないと思い羽織っていた服を腕に巻きつけた。できる限り左腕が見えないように隠す。その瞬間だった。リーダーのようなシャーフは奇声のような声を上げて「メリィーー!!」と叫んだ。僕が驚いているとリーダーはメリーの背後を取り、持っていた剣の柄でメリーの頭を思い切り殴っていた。鈍い音が響く。するとメリーは涙を流し「ごめんなさい……ごめんなさい…」と何度も謝っていた。そうしてそのままメリーは「お願いします…何でも…何でもしますから……家族…どうか家族だけは……」そう何度も言っていた。その言葉を聞いて僕は初めてメリーは自ら望んでシャーフのところにいるのではなく、シャーフに脅されて、それか人質をとられてシャーフのところにいるのだと知った。だったらまずはシャーフをなんとかしないといけない。そう考えた僕はシャーフのリーダーを魔法で攻撃した。雷を落とす魔法、威力は小さいがどこから落ちてくるのかわからない。その瞬間メリーはシャーフのリーダーを庇うように前に立ち、自らが雷に打たれた。「メリー……!」そういった瞬間、メリーは無理矢理自分を使われたのが分かったのか少しリーダーから離れようとした。するとリーダーは「モウ…いい…!モウいい!!モウいい!!」そうまた奇声のような声を上げた。すると今度はメリーの首に何か注射針のようなものを刺して何か液体を体内に入れる。メリーは聞いたことがないような叫び声を上げその場へ倒れ込んだ。「使えナイごみは…コウするに限ルだろう?」そう笑いながらシャーフのリーダーは言う。その瞬間メリーは起き上がり操り人形のような動きをした。すると今度は目が赤く光り少し震えているようにも見える。何かとてもまずいように見える。するとリーダーは「オマエはメリーの事ヲ恋ナカとしテ見テイルのだロウ?ソレならメリーに攻ゲキできるワケないよな?」そう笑いながらいった。するとメリーは何かを抑えきれないのか少しよだれを垂らしながら僕に向かって攻撃をし始めた。魔法や剣ではなく爪が伸び、伸びた爪で引っ掻くような攻撃をし始めた。リーチはそこまで長くはないがその分攻撃速度がとても速い。魔法で防御をしながら回避しないと攻撃が当たってしまう。しかしいつまでも攻撃しなかったらばそれはそれでメリーの体力が持たないだろう。そこで僕は魔法を使ってメリーがあまり傷つかない様に慎重に弱点を探った。距離を取ってもすぐに攻撃の範囲内に入ってしまう。