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10.仕掛け

ダンジョンが生まれてから数か月がたつ。そして、ダンジョンン配信者というのもまた生まれてからそれなりに月日が流れることとなっていた。

この数か月を、もう数か月というのかまだ数か月というのかは人によって違ってくる部分だとは思う。

ただ1つ確かなのは、


「登録者2万人、生配信再生回数30万回、ちょっと見どころっぽいのを集めてみて編集した切り抜き動画が100万再生、再生回数のことを考えるとまだまだ登録者は伸びていけそうかな」


「ほ、ほぇ~。100万回も再生されたの?しかも、登録者2万人?この間1回配信しただけだよね?」


「そうだね。配信回数は1回。一応編集した動画を上げたとはいえ、それでも尋常ではない伸び方かな」


このダンジョン配信というコンテンツは、人気があるだけでなくまだまだ成長段階にあるということだろう。

初配信後勢い良く伸びてたし、さらに俺が作った動画でその勢いは加速。拡散の勢いもすごいし、それだけインパクトが大きかったってことだろう。

ダンジョン攻略を配信した翌日に集まった俺たちは、その勢いに驚愕していた。俺の場合は予想していたが、それでもここまでの勢いとは正直思っていなかったな。


大手の企業とかグループとか登場する新人Vtuberに匹敵するほどではないが、中堅からデビューする新人には近い勢いはあるんじゃないかと思うな。


「初配信で見せた諸々がそれだけ衝撃的だったってことだろうね。それこそ見た人の作った切り抜きの10秒くらいのやつとかもう200万再生位されてるし」


「え!?そ、それってどこの部分の切り抜きなの?」


「好井さんがモンスターの首を切り飛ばすところ。それをつなげていって10秒間に50個くらいの首が飛んでるかな」


「それ0.2秒に1回ってこと?早過ぎじゃない?目で追えるの?」


「いや。無理でしょ。前半スローテンポで、後半効果音のテンポと一緒に急激に早くなってくる感じかな」


「へ、へぇ。変なのが好きな人もいるんだね」


一部の会話や解説なんかを使わず効果音と絵面のインパクトでごり押すタイプの動画は他の人が切り抜いて編集したものだが結構海外の方にも拡散されているらしい。

間違いなく今後伸びていくなら海外へのアピールや海外ファンの獲得は必須だし、最初からこういった動画が出回るのは良い傾向だろう。

まあ、その動画の中身は兎も角として名。首が飛ぶ動画が出回るとか物騒極まりないだろ。

俺はそんなもの拡散しようと思う社会が怖いぞ。


ただそれでも、そんな社会に対して今日もまた、


「それじゃあそろそろ配信始めるぞ~」


「はいはいっ!いつでもOKだよ!」


配信を行なう。

第2回目の配信であり、すでにコメント欄には大量の人が現れている。いわゆる全裸待機状態だと思われるな。

視聴待機中の人数は2000人を超えていて、もしかすると配信を開始してしばらくすれば万を超えるのもすぐかもしれない。


そんな俺の気体を知ってか知らずか、好井は普段と特段変わらないテンションでカメラに向かい、


「皆さんこんにちは~。セーバーチャンネルのセーバーだよ!」


 :お、きた

 :きちゃ~

 :こんなにちは~

 :仮面はいつ外すんですか?


手を振りつつ挨拶の言葉をかける。

コメント欄からすぐに反応が返ってきて、それを見ている好井もご満悦と言った様子だ。

ただいつまでもコメント見て好井がうんうんと頷いている絵ばかりを見せるわけにもいかないためカンペを出し、


「えぇっと……………あっ、今回のダンジョンの紹介ね?了解!今回来たダンジョンは『寄せ集め』って呼ばれてるダンジョンだよ!その名の通り出てくるダンジョンとかトラップとかに統一感がなくて、とりあえずあるもので作りましたっていう感じがするダンジョンだね」


ダンジョンの紹介をさせる。

実は今回来たダンジョンは俺が日本に初めて作ったダンジョンで、実験とか色々するためのダンジョンだったんだよな。

だから他のダンジョンとかと違ってコンセプトとかは存在せず、寄せ集めなんてある意味不本意な名前を付けられているわけだな。


コンセプトとかないし最初の頃に作ったダンジョンであるためたいして楽勝だと思われるかもしれないが、残念ながらそんなこともない。

最初にいろいろと試すために作っただけはあって様々な類のモンスターや罠が仕掛けてあり、またその数も非常に多い。

難関と言われるダンジョンの1つだな。


「それじゃあ早速行ってみよ~!」


ただそれでも、到底好井に影響があるほどの強さではないがな。

いろんな種類のダンジョンへと言ってるがどこでも罠はすぐに見破られるしモンスターも簡単に倒されて死編む。

種類の豊富さで攻めたところで意味はないだろう。


ただ、個々のダンジョンを選んだのには当然ながら理由がある。

実をいうと、少し計画を早めなければならなくなってしまったんだ。魔王としての役割を果たすための計画を。


「今日のところはちょっと長めらしいけど、全速力で駆け抜けていくから最後まで行ける予定だよ!!」


好井は何も知らず、今日も今日とて普段通りのダンジョン攻略ができると思っているらしい。

実に俺としては嬉しい限りだな。油断してくれていれば油断してくれているほど、俺としては仕掛けやすい。

内心の緊張と高揚を抑えながら、俺はカンペを出して好井を進ませていく。ここで気持ちを表に出して気づかれることになったら話にならない。


「ん~。結構バラバラな構成の敵が多いねぇ。1つの属性でまとめて撃破!っていうのができないのはちょっと厳しい部分かな?」


進んでいく間、好井は特に苦戦する様子もなく剣を振り魔法を使い。俺は俺でただただその後をついて行くだけ。簡単なお仕事だな。

俺が初めて作ったボスなんかも当然ながら簡単に倒されて、次々と階層が突破されていく。


そしてそれから数時間後。

相変わらず順調に攻略が進んでいく中突然、ヴィーヴィー!というサイレンのようなものが俺たちのスマホから発せられて、


「な、何だろう?地震とかかな!?」


好井も俺もそろってスマホを取り出してそれに目を向けて、


「っ!?」


好井の目の色が一瞬にして変わる。

やはり知っているもののようでその焦りはかなり大きめ。俺がやったことないはずなのにこれを知っているということは、相当ダンジョンの知識は持ってるんだよなぁ。

とはいえ、今はそんな好井の知識を気にするよりも優先すべきことがあり、


「ちょっとダンジョン攻略配信は中断!全力で行ってダンジョンコア潰してくる!!」

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