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プロローグ

新連載です

一応定期的な投稿をしたいと思っています!

突然だが、ダンジョンというものを知っているだろうか?


まあ、おそらく知ってるだろうな。どうしてかは分からないが、そんな気がする。

かくいう俺も、知っているには知っていた。ゲームとかにもよく出てくるからな。ただ、そんなダンジョンのことを俺はあまり快く思っていない。なにせ、ゲームなんかに出てくるダンジョンって無駄に長いし無駄に時間かかるからな。別にギミックとかどうでもいいから早く戦闘してアイテムをくれと言いたくなってしまい。


そんな無橋は煩わしかったダンジョンのことを神経に考えるようになったのは、まだ俺が高校に入学したばかりで中学の最後の方の白くなってたのとは全く違う真新しい制服に身を包み、なれない通学路を通っている時に起きたことが始まりだった。





「なんだ、あれは…?」


まだまだいつも通りとは言えない通学路、だが間違いなく普通の道だったそこには明らかな異変が起きていた。

目の前の空間に、突然黒い裂け目が現れたんだ。

ありえない光景に足がすくむ。裂け目からは暗闇が漏れ出し、ゆっくりと広がっていく。俺はその不気味な物から逃れようとしたが、足がすくんで動かない。そんな逃げられない俺へと暗黒っはゆっくりと迫り、俺を飲み込んだ。


「うわっ!」


体中に電流が走ったような感覚が広がり、目の前が暗転する。

気がつけば、俺は地面に倒れていた。何が起こったのか分からないが、体の中に何かが入り込んだ感覚が残っている。


「これは…何なんだ…?」


混乱したまま立ち上がると、頭の中に知らないはずの知識が大量に入っていることに気が付く。

職業、ダンジョン、スキル…………そして、俺が魔王であること。ファンタジーやゲームの中でしか聞かないようなそれが、なぜか存在しているかのように俺の中に知識がある。

全てが理解できる。だが同時に、俺の頭の中は困惑で支配されていた。


しかしそんな中、俺は1つの知識に興味を奪われ、


「この力を使えば、世界を支配できる?」


それがどういう意味を持つのか、俺には理解できない。だがなぜかそれはとても、魅力的に思えた。

でも、その力の意味や使い方を完全に理解するには時間がかかりそうだ。とりあえず学校に向かおう。今考えても仕方がない。

俺は首を振り、このあまりにも不可解な現象や自分の知識に対しての思考を振り払う。そして、まるで何も問題などなかったかのようにまっすぐ学校へと向かって行った。



「おはようございます……………って、なんだ?騒がしいな」


教室に入ると、ざわざわとした空気が漂っていた。俺の挨拶はかき消され無視されてしまう。

今までは距離を測りかねてるのもあって皆少し落ち着いた感じだったと思うんだが、いったい何があったのか。

俺が首をかしげていると友達が駆け寄ってきて、焦ったような表情で話しかけてきた。


加喜瑠(かるき)、大変だよ!好井(すくい)さんが行方不明になったんだ!」


「好井さんって…………誰?」


正直、クラスメイト全員の顔と名前も覚えきれていなかったし、大半の女子とはほとんど話したこともなかった。行方不明なんて大ごとだけど、俺にはあまり関係があるとは思えない。


「まあ、家出でもしたんじゃないか?」

と軽く答える。友達はそれでも心配そうな顔をしていたが、俺は特に気に留めなかった。




それから数ヶ月が経ち、街はすっかり変わってしまった。

俺はあの時得た知識と能力を冷静になって考え、使ってみた。その結果として、俺にはダンジョンを作ることができるという能力を得ていたことが分かったんだ。しかも、ダンジョンの中も割と自由に作り変えることができる上に、作ることができるダンジョンも1つや2つじゃない。それこそ無限に作れるのではないかと思えるほどだ。

今もまだ定期的に作り続けているのに、全くそれが作れなくなる気配はない。


そうして大量に出てきたことでダンジョンが日常の一部になり、さらには人々はその中で職業やスキルを得るようになっている。

現代社会が、急にゲームや物語の中の世界みたいに変わってしまったんだ。


「ダンジョンって便利だよなぁ」


俺は街を歩きながら、ダンジョンの影響について考えていた。人々はダンジョンで得た職業やスキルで体が強くなり、健康になっていった。アイテムで生活が便利になり、モンスターと戦う冒険者たちが日常的にニュースで取り上げられる。


「本当にダンジョンがあるだけでかなり変わったよな。……………俺の生活はあんまり変わんないのに」


そんな風に自分の作ったダンジョンやそれを取り巻く環境を考えながら俺はいつも通り学校へ向かう。ダンジョンで得た力を隠しながら、普通の高校生としての日常を過ごしていた。

一応俺自身はダンジョンを作ることができる上に『魔王』なんていう職業になっててある程度は戦えるし強いんだが、あんまり目立って変なしがらみが増えるのは嫌だからな。目立つののはダンジョンだけで良い。


俺としてはこのまま一般人のふりをしながらダンジョンを作り続けて、こんなたいそうな力を持っているからこそできる計画を着々と進めていければいい。

何も変わる必要はないし、このままの日常が良い。

そう思っていたのだが、


「皆さん、今日は重要な報告があります。」


教師が教室に入ってきたかと思えば、いつもとは違う雰囲気で話し始めた。

何があったのかと思えば、


好井(すくい) (こころ)さんが戻ってきました」


一瞬、誰やねん!と思った。まったく記憶にない名前だからな。

だが、そんなことは一瞬にしてどうでもよくなってしまう。


教室のドアが開き、好井という生徒が入ってきた。金色の髪が光を反射し、まるで天使のような雰囲気でありクラスメイト達が息をのむのが分かる。

しかし、俺はすぐに彼女の別の要素に圧倒されて、


「嘘だろ。何だよそれ……………」


力。圧倒的なまでの力。

クラスメイト達は誰一人として感じていないようだが、変な力を持っている俺は気づいた。その好井が持っている圧倒的な力に。


「皆さんほぼ初めまして、ですね。私、好井(すくい) (こころ)といいます。諸事情により少し長い間別のところにいたのですが……………」


心は軽く挨拶を行なう。そのあらゆる所作の中に、一切の隙を感じさせない。

そのままとりあえず一旦休憩時間となり、授業までの間自由になる。

そこで好井はクラスメイトとかかわろうとするのだが、クラスの中ではすでにグループが固まっており、彼女はうまくなじむことができない。


こういう時に普段であればクラスメイトの女子たちが囲んで質問攻めを行なったりするんだろうが、救いの雰囲気があまりにも圧倒的過ぎて誰も近づけないでいた。

故に彼女は孤立してしまう。

彼女の表情には寂しさと孤独が漂っていた。


そこから授業と休憩をはさむこと数回。

ことごとく交流に失敗して撃沈した彼女は。どんよりとした様子で机に突っ伏していた。

そんな様子を見て、俺は小さくため息をついた後できる限りの綺麗な笑みを浮かべて、


「好井さん。久しぶりだね。」


声をかける。

心はこちらに顔を向け一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに微笑み返してきて、


「そ、そうだね、久しぶり」

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