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決意を決めた日になんで?

誰もが憧れる職業、それが聖女だ。


あらゆるものを清め続けるその姿勢は、女子なら誰もが憧れる存在だ。

世界に安寧をもたらず存在として幼いころから夢見る少女は少なくない。


田舎町で生まれ育った少女ミヤは、絵本で知ったその聖女の姿にいたく感心を持ち

聖女になる為の方法を自分で調べ、その為の努力を惜しまなかった。


聖女というのは一つの職業であり、15歳を迎えた際に教会の神官によって神託を言い渡される。

本人の生まれ持っての適正に加えて

これまでどのように生きてきたのか?

これから何をしたいのか?

そういったものを総合して言い渡される。


とかく人気職である聖女になるには、人並み以上の努力と才能が必要不可欠である為

聖女になれる者は限りなく0に等しい。


しかしミヤはその為の努力を惜しまないどころか、確固たる信念が1日も揺らぐことはなかった。


「私は・・・聖女になって恩返しがしたい・・・!」


ミヤが育った町は、正確にはミヤが拾われた町だ。

人里はずれた田舎道の更に奥に、赤子のミヤは捨てられていたのだ。


ミヤはキノコ狩りに来ていた村人によって発見されたが

裕福でもない者が赤子を拾い育てていくのは非常に困難だった。

その為町の教会にミヤを連れていった。

そこにたまたま巡礼の為に来ていた聖女はミヤを見て言った。


「貴方がここから何者になるのか、私にはわかりません。しかし運命が貴方を認識させたこと、これには意味があります」


赤子のミヤにはその女性が何を言っているのかはわからなかったが、周りの人からあがめられているその佇まいは、幼い少女に憧れを持たせるのは十分だった。


その後4歳になったミヤはすくすくと育ちながら、教会にあった絵本で聖女の存在を知った。

あの日私を助けてくれた人、あの人が聖女だとわかった。


そして生まれ育った町での問題点も認識していた。

ミヤの住んでいる町の統括する領地、サボエラ領土は危機的な状況にあった。


天候不良により作物が育たず、同時に隣国との戦争が起きていたのだ。

その為成人男性は戦場に駆り出され、婦女と子供が大多数を占めるようになっていた。


そんな中で子供という存在を育てようという者が減っており

奴隷商人に我が子を売ってしまう親が増加していた。


ミヤの母親も夫が戦場に行く中で、1日のパンにも困る様な日々が続くと

娘を売ってしまおうかという考えになっていった。


しかしミヤの母親は子供を売ったお金で暮らしていく日々を選ばず

ミヤ自身を捨てて目先の問題を見ないようにすることにした。

母親なりの考えとして、罪悪感をどこに持っていくのかを迷った挙句

奴隷にするくらいなら、誰か良い人に拾われてくれた方が、という気持ちがあったのだろう。


その考えを理解した幼いミヤは、母親を恨んだりはしなかった。

恨んだのはこの現状を作り出した社会だ、自国での生活もままならない中で他国と戦争をする国に対して恨みを持った。


そんな世界であっても日々各地を巡礼する聖女の姿は、幼い子供が憧れるには十分な理由だった。


(私もあの人みたいになって・・・この世の中を変えて見せる!)


そう決心したミヤは、神託を受けて無事聖女に選ばれた。

(やった・・・私・・・聖女になれたんだ・・・)


感極まったミヤは静かに涙を落としたが、その時・・・!!


(ミヤ、すまぬがお主をこの世界においておくことはかなわぬ・・・)


頭の中に急に聞こえてきた声にミヤは動揺しながら答えた。


(は?あなたは誰?何を言っているの!?)


(私はこの世界の神である、こちらの都合で申し訳ないがお主は聖女ではあるものの

この世界においておくことはできぬ・・・許せ・・・)


そう言うとミヤの身体は不思議な光に包まれた。

すると光の粒子になったミヤの身体は消え去った。


「ちょっと、これはどういうこと?なんで私・・・!?」


(ミヤよ、お主に聖女の適性があるのは間違いない。しかし聖女が必要な世界はここだけではない。お主はとある世界線で同じく聖女を必要としている世界に行ってもらう)


「は?違う世界線?ちょっと、それはどういうことよ~!?」


そう言い残しミヤの身体はこの世界から消えていった。


そして目を覚ますと、そこは見たこともない高い建物、4つの車輪のついた鉄の乗り物

日が落ちているというのに明るい光を放つ不思議な町だった。


「ここって・・・・どこよ!?」




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