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連獄

作者: 松岡七海

作品内の人物・事件・宗教は実在のそれとは関係ありません。

また、文章は日本語で書かれていますが、舞台が日本であるとも限りません。

俺は死刑囚だ。人間を何人か殺した。いつになったら死刑が執行されるのか。退屈な日々を過ごしている。


あの男が性懲りもなくやってきて、神の教えとか何とかを説いてくる。何度目だろう。退屈だ。


「神に祈ろう。そうすれば君の罪は赦される。」


俺の半生を聞いてわかったような口を利いてくる。


「君も大変だったんだな・・・」


あの男は唇を噛んで涙を浮かべる。


うるせえ、お前に何がわかる。


久しぶりにあの日のことを夢で見た。目を覚ましてシーツを見たらぐっしょり濡れていた。


またあの男がやってきた。


「祈ろう。神に祈れば落ち着く。天国に行ける。」


うるせえ!!


あああああ!!!くそくそくそ!!!


ああああああああ!!!


俺に触らないでくれ!やめろ!やめてくれ!


あああああああああああああ!!!




・ある男の祈り


2018年10月10日、私は死んだ。あの日、仕事中に突然入った訃報。娘の変わり果てた姿を見て、私は抜け殻になりました。


どれほど時が経ったことでしょう。ふとテレビをつけたら、あの事件について報道されていました。


事件を起こした男の身の上話が延々と。


そしてあろうことか死にたかったから、死刑になりたかったからという理由であの事件を起こしたと言うのです。


ふざけるな。どうして、どうしてこんなことが・・・


私はあなたに仕える身でありながら、あの男への復讐を固く心に決めました。


私は深く悩みました。あの男を苦しめるには一体どうすれば良いのか。


できることなら爪を1枚ずつ剥がして・・・拷問してやりたい。しかし何か、何かそれ以上に苦しめる方法は無いか・・・


それに奴はすでに死刑囚になっており、ある意味では頑丈な塀や檻に守られているのです。


物理的に危害を加えることはできません。何か別の方法は・・・


悩んだ末の結論はあの男を改心させることでした。聖職者として奴に面会し、話を聴くのです、教えを説くのです、優しい言葉を投げ掛けるのです。


善の心、人を思いやる心を奴が取り戻せたとしたら、あの痛ましい事件を起こした自分を許せるはずが無い。


激しい衝動に襲われるはずです。しかし、もう遅い。


奴は檻の中で死ぬこともできずに、永遠とも言える地獄を彷徨うことでしょう。


ですがあの悪魔に善の心を本当に取り戻させることができるのでしょうか。それは果てしない難題に思えました。


しかし私は必ずやそれをやり遂げてみせると誓ったのでした。


神様、やりました。ついにあの男を改心させ、地獄の苦しみに叩き落とすことができました。ありがとうございました・・・

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