第4章 妹
僕が帰宅すると小羽が家を飛び出てきた。僕はぶつかりそうになったので回避行動を取る。
「あ、お兄ちゃんおかえり...」
明らかに元気がない様子だったため話しかけようとした瞬間走って何処かへ行ってしまった。荷物を玄関に放り投げ、小羽が走っていった方向へ歩き出した。何分いや、何時間歩いただろうか。僕はやっとの思いで小羽見つけ出した。小羽は学校の屋上にいた。屋上から落ちていく小羽の手首を僕はしっかり両手で掴んだ。
「お兄ちゃん...」
僕は小羽引き上げ、小羽の頬に思いっきり平手打ちを入れた。
「何を考えてやがる?」
僕は冷ややかな声で言い放つ。
「飛び降りなんてしょーもないことしやがって。くだらん。」
僕の心で怒りが湧いてくる。だがそれと同時に罪悪感が募ってくる。やがてその罪悪感は怒りを押し退けてくる。僕は目から水滴を地面へ落とした。
「お兄ちゃん...?」
僕は小羽を抱きしめた。
「ゴメンな、気づいてやれなくて..」
僕は今日僕の担任から小羽がいじめを受けていることを伝えられた。それはかなり長期化している模様だった。先生も止めに入ったようだが意味を成さなかったらしかった。ただ、僕はおそらく止めることが可能だった。だが僕は気づくことができなかった。
「大丈夫。俺がなんとかする。お前は一人でためこみすぎだ。もっと吐き出せ。いいね?」
「わかった..」
僕は小羽からいじめっ子の名前を聞き、翌日そいつらの下駄箱に呼び出しの手紙を入れた。