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VRRPG羊飼い異世界へ~シープ&シープ~(仮題)  作者: THE・ラテン・暇つぶし
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二話:シープ、異世界に

読んでくださりありがとうございます!


これからも読んでください!


(>_<)お願いします!

 ……視界が変わった。いくら周りを見ても緑の地平線が続く大草原、別名『はじまりの草原』。

 ここはゲームを始めるとき、又はプレイヤーがリスポーンする時のみに来ることができる場所だ。

 キルログがないことから、負けてリスポーンしたのだろう。


「楽しかったなぁ……」


 今までの人生で一番心が躍った。最高の高揚感だった。

 ……リスポーンには2日かかるので、もう戦う時間は残ってないだろう。


「でも、最後までこのゲームを遊ぶんだ!」


誰も着いたことのない草原の果てに行ってやる!


 早速羊王を発動すると、羽織っているマントや帽子から糸が伸びて、赤と黒をメインにした魔法のじゅうたんを作成していく。

 出来上がったじゅうたんに乗って飛ぶと、すぐに道が見つかった。

おかしいなぁ、魔法のじゅうたんは加速していなかったし、少し歩いた程度しか進んでいないはずだが……。


「きゃあああ!!」


 なぜ女の人の声が?! 僕以外には誰も居ないハズなのに……とりあえず、見に行こう。


「ブモオオオオ!」

 ――――プルンプ

「た、たすけてー!!」

「これは……どういう状況だい?」


皮で出来た胸当てに私服を着た軽装の装備に、新品だけど量産性で質の悪い短剣を握るTHE・駆け出し冒険者な少女に、三十センチほどある青いプリン体の魔物スライムが数体群がっている。

ん~、スライムと取っ組み合いでもしたのかな? 少女はスライムの粘液でベタベタになり、その『瞬間接着剤』のような性質により身動きが取れなくなっていた。


「あーごめん、絵面が珍しくて愕然としてしちゃった」

「ブモオオオオ!!」


 動けない少女に対して、存在を忘れていた大きさ一メートルほどあるイノシシの魔物、ラッシュボアが突進して行く。額に十センチほどの魔石があることから変異種であり詳しい名前は分からない。


「拘束しろ、金羊王」


 神々しい黄金の輝きを放ち、あらゆる光を使役する神聖なる羊王の名を呼ぶ。

僕の横に黄金に輝く魔法陣が三つ現れ、光る魔法陣から更に黄金に輝く羊毛がイノシシに向かって伸びていく。一瞬、光に目を奪われていたイノシシの魔物だが、向かってくる金羊王の衣を相殺しようと突進してくる。だが、イノシシは触れた瞬間に動きを止める。

 金羊王は痺れる雷属性を纏ったその光でイノシシを拘束した。


(なにせ、変異種は希少な研究対象だからね!)


 あー違う! イノシシの突進が直撃すると、少女が危ないとも思ったからだ!

 ぶんぶんと一生懸命に首を横に振って、不純な思いを消し去る。


「あ、ありがとう! 助かった!」

「どういたしまして、ところで何でここに?」


 ここは始まりの草原で、自分以外のプレイヤーはいないはずだ。


「私はアウラ。職業は剣士だ。」


 何者かと警戒していたが、素直に自己紹介をされて混乱してしまう。

もしかしたら鬼畜だった運営の優しさで、最後までゲームを楽しめるように他のプレイヤーとリスポーンする草原を共有してくれたのかもしれない。

 とりあえず、自己紹介を返しておこう。


「あ、自己紹介が遅れたね。僕はウルル、職業は羊王だよ」

「あぁ、分かった」

「話の続きを聞いてもいいかな?」

「実は、私は貴族で、ブルーム家の長女。しかし、貴族は王都の魔術学院に通わなければならない。

だが、私には魔法の才能もないし、通っても恥をさらすに決まっている!

それが嫌で家を飛び出し夢だった冒険者になって……」

「ふううんんん???」


 おかしい、おかしいよ! もうすぐサービス終わるのに、時間かかりそうなロールプレイしてるの!? 今更、リスポーンもできないのに、なりきりしちゃってどうした!? 


(一体どうなって……は?! もしや異世界転移では?!)


 てか、異世界に転生したいです!

おぉ!! よく見れば、『転生しました』って通知がある!

流石僕、この状況で異世界転移だとは誰も気づけないz……ん、失礼しました。極端な話が『自分はイケメンだ!』とか肯定しないと、自分に自信が持てなくて。


「だ、大丈夫か? ブツブツと」

「問題ないよ~(ニッコリ」

「それでウルル、何かお礼をしたいのだが……」

「家出したんでしょ?」


 家出して、スライムにも負けるぐらいで、お礼なんてできないでしょ?


「うぅ、なんだか胸がチクチクする」

「ごめん、でも家出中にスライムに負ける程度の人がお礼なんてできるの?」 

「ぐっ、それは……何とかする」

「無理してまでお礼はいらないよ」

「しかし……」


 う~ん、困った。

お礼なんて余裕があるときにしてくれればいいと思うんだけど、彼女はすぐに何かしたいって感じか~。


「じゃあ、僕は最近ここに来たばかりで道を知らないから、君の街まで案内してくれないかな?」

「わ、わかった」


 僕は魔法のじゅうたんをインベントリに収納して、歩くことにした。

 だって、空を飛んで街に行ったら目立っちゃうからね。


「はぁ……やっぱりじゅうたん使って行くから乗って」

「じゅうたん?」


 僕は先程アイテムボックスに仕舞った魔法のじゅうたんを取り出し、二人とも乗れるようにサイズを拡張する。能力ってべんりだな~!

 歩くことを止め、じゅうたんを使って移動するのに切り替えた理由は簡単だ……地面に足を付けた瞬間、気は変わり理解したんだ。僕は……いや人は歩くことを拒絶している! 僕なんか、地面に足が付いた瞬間から体が拒絶反応を起こしている!


「んー! いい風だ」

「…………」


 じゅうたんに乗り軽く伸びすると、丁度風が流れて気持ち良い。

 彼女も目をどこか遠くに向けて口をポカンと開けてあくびをしている……いや、魔法のじゅうたん見せちゃったから唖然としちゃってるのかな?

 まあ、敢えてスルーしよう。


「どうしたの? 早く乗りなよ」

「う、浮いている……浮いているぞ?!」

「うわぉ!」


 急に耳元でさえずらないでほしい、びっくりするじゃないか。


「大きな声出さないで」

「す、すまない」


 彼女はやや興奮しながらじゅうたんに乗る。

 すごいなぁ。でも少し弄ってみようと思って出したのに、すぐ魔法のじゅうたんに順応してる。


「どこに飛べばいい?」

「向こうだ」


 彼女はやや遠くに見える街の反対側を指で示す。


「あれ、その街じゃないの?」

「私の街は向こうだ」

「へえ、ずいぶんと遠くから来たんだね」


 じゃあ、あの街が家出した領地なのかな? 近づかないでおこう。

 しかし、人は見かけによらないなぁ。初印象と細い体からの偏見で、その街だと思っていたよ。まさか、あんなに遠くの街からここまで毎日狩りに来るなんて凄いなぁ。


「あぁ、とても素敵な街なんだ! 花が綺麗で、民は皆心優しく、食べ物も美味しいし――」

「ふむふむ」


 どうやら家出してから着いた新しい街では、楽しく過ごせているようだ。最初に様子を見ていると生活できているか心配だったのだけど、楽しく暮らせているなら良かった。


「は、早い、こんなにすぐ街に着くとは……」

「街も近くなったし、そろそろ降りて歩こう」


 やっぱり、目立つと良くないからね~。


「楽しみだな~」


 街の近くに行くと、門と門番さんがいるのが見えた。

門番ってテンプレって感じがあっていいなあ。

 少し、気分が高くなり彼女の手を引き走って門まで着く。


「ひ、姫さま!」

「皆、姫さまがいたぞー!」

「君が姫さまを!? ありがとう!」


 ん? 姫さま?

 伯爵家って聞いていたんだけど……あ、自分たちの領地の令嬢だから姫って呼ばれているだけか。

て、マジで? もしかして、逃げたのに、戻って来たの?


「え、面識あるの?」

「当たり前だ、ここは我が伯爵家の領地だからな」


 ん~、なるほど。皆さん理解したかね?

 この娘、かなりの天然さんだ~。

『自分の街』と聞いて、僕は自分の住んでいる街と言ったはずなのに、彼女は『自分の街』と誤認してしまったらしい。


「姫さま、心配しましたぞ!」

「じい……わ、私は学院になんて行きたくない!」


そんなに学園に通うのが嫌かね? ごめん。僕も学校苦手だったし、ブーメラン発言だった。


「しかし姫、貴族には領地を治める義務と責任があるのです。姫にも貴族として学問等を学ぶ義務があるのです」


 ふむふむ、昔アイザックに言われた……『かわいい女の子を見たらナンパするのは当たり前だし、困っていれば助けるのも男ならば当たり前だ』と。

 でも自分で連れてきてコレは、ご都合主義の主人公みたいで嫌だなぁ。


「あの、すいません」

「おぉ、君は……ありがとう! よくぞ、姫さまを連れてきてくださりました」

「ごめんなさい、道を間違えてしまいました」


 僕はご都合主義者……うん、暗示をかけた。

僕はご都合主義者だ。ちょっと道を間違えてしまった。

 彼女の手を引いて回れ右する。


「な、何をしている?!」


 彼女を連れて逃げようとしたら、じいと呼ばれたピンクの色のタキシードを着た老紳士は怒鳴り、周りの兵も僕を取り囲むように動く。

 道を間違えただけだと言っているのに……


「やれやれ、私の妹をどこへ連れて行くつもりだ? おい、どけ愚民。ファイヤーボール」


 うわ、危ない。火の玉が飛んできた。僕は羊だから燃えやすいんだぞ!

 後ろを見れば緑髪の男が兵士を突き飛ばしながら現れた。あー、大切な民に愚民とか……こりゃイカン。

 ん? 妹?

貴族のお兄さんまで出てきて、凄い騒ぎだな。


「愚民が……何様のつもりです? 名を名乗りなさい」


 僕も愚民なのか~?

 でも先程の兵士にも、執事っぽい人も愚民って言うし……愚民多すぎでは? 国が回らないよ。


「礼儀が無いね、自分から名前を言ってくれないかい?」

「なんだと……伯爵家の嫡男である私が、特別に名乗ることを許可してやったのだぞ?! しかも……先に私が名乗れと? もういい、死ね愚民」


 うっわ、この人のテンプレ度は桁が違うよ……深いなあ。


「我が眼前の敵を燃やし尽くせ!! インフェルノ!!」


 ん~、詠唱破棄もできていない。威力も弱い、とても上位魔法『インフェルノ』とは思えない。

 ここは避けずに強者感を出して格の違いを教えて差し上げよう。でも、直撃したら彼女が……身代わり人形持たせればいいな、うん。


「ふはは、愚民が――」

「服を汚さないでくれるかな?」


 折角、僕のかわいい羊ちゃんがプレゼントしてくれた服を煙で汚したことは万死に値する……まあ、わざと避けなかったのにキレるのはよくないか。それに彼女のお兄さんなら殺すのはアウトだ。


「む、無傷だと?!」


 仕方ないか……はあ、あの子たちへの言い訳を考えておかないとなぁ……辛い。

洗濯しなきゃ。

 なんでまともに攻撃受けちゃったんだろう。


「貴様! 私を無視して何をブツブツと言っている!」


 何か良案はないかな~?


「そうだ! 彼女は僕が貰って行こう」

『え?』

「な、何を言っているんだ?!

貴様に伯爵家の娘と釣り合うほどの家柄があるとでも?!」


 う~ん、アウラの婚約者になるって意味ではないんだけど……まあ、誤解されてもしかないか。

 けど僕も羊王だし、王様だよね! 家柄は問題ないよ!

ゲームの設定が残ってれば、この場も穏便に解決できるし、名乗ってみよっか。


「事項紹介が忘れたね。僕はギルド『集王』マスターのウルル・メリー、職業は虹の羊王だよ」

『ええええ?!』


 良かった。ゲーム内での設定はそのまま活きているようだ。


「そんな、メリーだと……メリー家だと?!」

「ありえない、ありえない!」


 お~ん? 僕個人ではなく、家名に驚いているようだ。

 ゲーム設定が活きていないのかな?

 ……あ~、でも僕以外のメリーにも心当たりがある。


「……ありえない、お前のような愚民がメリー家なんてありえない!」

「試してみるかい?」


 ん~、ゲームの設定とは違うみたいだけど、問題はなさそうだしいいか。


「メリー家だとぉ!! た、助けてくれ~!!」


 騎士の一人が泣き叫びながら、腰が抜けているのか地面を這いずりながら逃げていく。

どんな伝えかたしたんだ!

 その言い方は何よ?! 僕は昔に封印された魔王か?!

これからもお願いします!


(≧▽≦)

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