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天文(あまぶみ)・月光エセー

作者: 中塩屋 治

今日は、あまりにも月が綺麗であったので、外に出て、月を眺めた。

家の庭から眺める景色は特別美しく、月を眺めるのには絶好の場所であることに気が付いた。さらに、今日は風も程よく吹き、心地よく快適であった。

その中で、僕はいろいろと考えた。風のことを考えた。今、僕のまわりでは風が吹き、木々を揺らし、僕の髪を、眉毛を、まつげを動かしている。そうして肌は風の重みを感じている。風がないときは、その存在を感じさせないほどに静かであり、物を動かす力など持たないのに、ひとたび風が吹けばその存在は明らかになり、強弱の差はあれ、それに見合った力で物を動かすのだ。そう思いながら月を見ると、月は動いてはいなかった。月はこちらで風が吹いていることを知っているだろうか。こちらに月の様子が分からないように、月もこちらの様子を分かるまい。月はこちらの風の外にいるのだ。そして、こちらは月の風の外にいるのだ。何が動いているか相互に知りえない。ただ、遠くから見つめるだけである。

自分の座っているところから、桜の木を通して星が見えた。桜の木は今、葉が覆い茂っている。風が木を揺さぶり、風が止まったその間に、葉と葉の間から、星が一粒見えたのである。それはそれは小さかった。しかし、左の方へ目を移すと、葉を茂らせた枝の先端に、光り輝く月があったのだ。それはとても大きく美しかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章から染み出す余韻の出し方が巧みです。 月と地上を隔てる境界の間を「ゆらゆら」と揺らめく様子が想像できるような不思議なお話であったかと感じます。 月に吹く風と地上に吹く風に飛ばされて、…
2019/05/06 16:52 退会済み
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