表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

第三話

続き〜茶屋にて



「笛の吹きすぎで貧血とは…侮れませんね!笛!!!」



「侮れないのはおまえの頭だから!!何入ってんだ!!スポンジか?鈴か??」



「失礼ですね〜これでも法師ですよ。ありがたーいお経やら説法やら、欲のない綺麗な心がけでが詰まってます」



「食欲に倒れた方が何をおっしゃいますの?」



「ねーちゃんいいケツしてんなー!!」



会話を無視し店員に絡み始める笑鬼。



「うふふ。熱ーいお茶はいかがですか?」



「ぬわっ!!!頭から飲めってか!!脳天から湯気立つわ!!!」



店員の攻撃。



「何をやっているのですかしら?笑鬼さん」



「ちょ…近い近い!!!わーったわーったよ!!お前のケツでがま…ぐぇっ!!」



お盆で殴られて流血事件。賑やかな一行である。



「ごほんっ!話を元に戻しましてですね、実を言いますと私、困っております。」



話が進まないので法師が痺れを切らし、そう切り出した。



「飯食う金がなくてか?」



「…額の血を拭いてください。」



しゅるりと立香が懐から布を取り出すと丁寧に顔を拭ってやる。



「はぁ〜お仲がよろしいのですね」



「おうよ!!な、相棒!!!」



「まぁ、同じ布団で眠るくらいには。」



「…さいですか」



「冗談だよ冗談!!!そーゆんじゃねーから!!!ベストフレンドってやつよ!なははは!!!」



「まぁどうでもいいんですがね。本題に入ります。あなた方の腕を見込んでぜひともお力添えを承りたく」



本当にどうでもいいというように、適当に流し無理やり本題に話を戻す。



「ただでか!?御奉仕しろってか??いやーーーだね!」



「報酬は何らかの形でこちらで用意させていただきます。現金、となると難しいところなのですが」



「ふーん、………じゃあさ……」



笑鬼の眼から笑みが消える。いつもの人懐こさからは想像もできないような貌で、さながら獲物を前に歓喜した鬼のような貌でささやく



「懐のもん、頂戴?破壊僧さんよ」



立香は表情一つ変えず退屈そうにどこか違う方を見ている。



「…お気づきでしたか」



やや躊躇しながらもガタリと懐から出したものは、二丁のゴツい拳銃



「おお!!!あっさり認めんのか!!お前面白れーな!!!」



「もとより隠すつもりもありませんで。協力してほしい、と言いましたでしょう」



法師の顔に陰が落ちる。



「これを差し上げるわけにはまいりません。というより、あなた方には扱えないはずです」



「ふぅん…確かに弾いれるところがねぇなあ…普通の武器じゃねーっつーことか」



ひょいと手にとってカチャカチャといじると立香の方に投げる。立香は片手でクルクルと銃をもてあそぶ。



「そういうことでして。詳しいことは話せませんが、妖怪の巣を叩くのにどうしても人手が必要なんです」



「…妖怪、ねぇ…」



顔面の左側だけを器用にゆがめると、まるで人のものではない犬歯がのぞいた。



その表情に法師はゾクリとしたものを隠せなかった。



「いーね!!!のった!!!いいだろ?相棒!!!」



「止めても無駄でしょう。最近血に飢えていますし」



「ハハハハハ!!!そーゆこった!!!場所は?どこだ??早く言え!!!」



法師は驚きの表情で固まる



「よ…よろしいのですか?この条件はあなた方にとって不確定要素が多すぎるのでは!?」



まともな神経の持ち主ではない、そう感じてはいたがまさかここまでとは…これもまさか、冗談なのか?



「あん??難しいことはわかんねーよ!!!頭脳労働はこいつの仕事だ!!!俺は暴れるのみっつーこと!!!」



「…確かに不確定要素は多いですわ。



でも、不利な条件より、そのリスクより、この人は貴方とこのミッションを面白いと感じた。



それだけでもう充分なんですの。You see?」



わりと言い発音でヨコモジを扱う立香



「ユーシー?じゃありませんよ!!面白い、じゃいくつ命があっても…」



「あんだようっせーな!!!手伝って欲しいのか!!そーじゃねーのか!!!どっちだ!!!!」



「…お願い…します」



複雑な表情で、でも確かに真摯な態度で法師は頭を下げる。


どこかこの人たちなら大丈夫だ、と確信した自分がいる。



「おうよ!!!任せろってんだい!!ダチ公!!」



「?」



「今日からお前も友達ってやつだ!!友達のピンチにはかけつけないとなあ?相棒!!!!」



「仰せのとおりに、ですわ」



「…」



なぜか微笑んでいる自分がいた。なぜか暖かな気分にさせられた自分がいた。



あぁ…こんな感情はなんて久方ぶりなのだろう…法師は心で呟くと目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ