第十話
「あなた方は神を殺すことができますか?」
「できるぜ?」
今度は法師が盛大にずっこける。
「あのねー!猪狩ってこいっつってんじゃないんですよ!!!」
「わーってるよ。神だろ?だから。つか、神様とか信じてねーっつーの」
「今さっき目の当たりにしたでしょう!!あれぞまさしく…!」
「人間だろ」
「人間っぽかったですわ」
「あの〜もしもし?」
いい加減突っ込み疲れている法師なのである。
どこの世界に煙と共に現れたり不思議パワーで強制コスプレ大会を始める人間がいるというのだろう。
「いや、神様だってコスプレはさせんだろーが!!!」
「誰と話しているんです?」
「気にしないことですわ。」
「俺っちの剣で切れんのかい?そいつは」
「えぇ…おそらくは。神といってもそう呼ばれているだけですし」
「実際神様じゃあないんですの?」
「態度と力は神クラスなのですがね。やっていることは怪物ですよ。」
「…乗っ取りか」
「ご明答。よくご存じで。」
つまりは、もといた土地神を追い出して、そいつがそこをのっとったっつーことらしいよ!
「軽っ!!!」
「だから誰と…」
「シカトですのよ!法師様!!」
「いいぜ!!!殺る!!決めた!!」
「ですが・・・あの…報酬の方なんですが…」
「あーいいって。んなもん。久々に面白いもん見してもらったしな!!!」
「なんでお二方こっちを見ますの?」
「あ、いえ、それでは、仲間を募りましょう。」
全く、この人たちと言ったら…自然に柔らかな笑みが広がってしまう法師。
「ああ?んだそれ!!しゃらくせえ!!!いらねえ!!」
「無理ですよ。今回は取り巻きの数も力も半端じゃない。さっきの赤鬼なんてうんこですうんこ。」
「うんこってか!!!!ははははははは!!!」
「何回もリピートしないいで下さる?下品ですわ。幼稚ですわ。」
露骨に嫌悪を表す立香。…すみません。
「いいですね?腕の立つ者…7人は欲しいところですがまぁ適当に譲歩します。」
「だとさ!!誰かいるか??」
「そうですわね…この辺りですと、あの方と」
「あいつか!!!うわ!!最悪だ!!!」
「全くですわ。それと、あの山に」
「ぐわっ!!!俺っちリタイア!!!さいなら!!!!」
「…ですわね。まぁ声くらいかけておきますわ。断られら笑顔で感謝。ですのよ。」
「…やむを得ん!!!明日だ!!!寝るぞ!」
「仰せのとおりに」
「え、ちょっと、私はぶられてます?ねぇ?」
「明日になればわかりますわ。今日はもう寝た方がよろしいですのよ?」
「そうします。」
翌日、法師の一抹の不安、見事的中だったり。




