第一話
「…女…?」
今目の前に倒れている男…いやおそらくは女を見やってそう呟く。
「………」
致命傷を負って尚、倒れた剣士は先ほど自分切りつけた者を双眸でにらみ続ける。
ヒューヒューと苦しそうな呼吸音だけが夜の闇に溶けていく。
「…面白い…」
さして面白くもなさそうにそう呟くと、さして怪我を負ってもいない長身剣士の方は倒れた剣士に近づく。
「(ヒューヒュー)……グッ……」
どうにか奴がゆらゆらと近づいてきたところまでは覚えているが、ひどく視界が歪むやらでそこで意識が完全に途切れた。
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「おうよ!!!俺っちの腕は天下一品!!なぁ?相棒!?」
「…まぁそのバカさ加減を補って余りあるほどには、バカ力かもしれませんわね。」
「てめーバカって二回言ったろ??言ったよな?結局バカてことか?あぁ??」
「バカですわ。少なくとも、こんな無茶をしようと考えている時点で。」
「ははははははは!!!違ぇねー!!!!ま、ついてくるお前も大バカだっつーな!!!」
豪快に笑うその剣士、名を笑鬼という。
親に貰った名は捨てた。名の通り笑いながら鬼のようにモノを切る、だそうだ。自称。
身の丈5尺ほど。ま、160くらい?(天の声)全体に細身であり、こんな性格の割にわりと整った顔立ちをしている。
癖の強いぐっしゃぐしゃの髪を豪快に束ねあげ一つに結っている。
そんな風貌ではあるが、黙っていれば「美しい」という言葉が当てはまる、かもしれない。
「…ま、それもそうですわね。」
返す「相棒」、名を立香という。
こちらはやたらと背が高い。6尺は届かないといったところ。175。
ひどく整った顔立ちだがその切れ長の眼で睨めば人が殺せるとかないとか。
黒い女物の着物の裾もとに上品にも赤ボタンがあしらってある。腰にさしたやたら長い脇差2振りがなんとも物騒だ。
髪はまとめて結い上げており、知的な眼鏡から除く憂い気な瞳は何とも絵になる、といったところ。
「…さいですか」
さらに二人のやり取りをまぬけな顔で聞いている法師。名は宋蓮。
笑鬼よりは少し背が高いが、猫背な所為か気圧されている所為か小柄に見える。
法師姿のくせに腰のホルダーに小型の拳銃を二丁保持しているとはいかがなものか。
せめて懐に隠せっちゅー。
今の状況そうも言ってられないのだが。
「で、これからどーすんだい!!!」
「考えなし、ですわね。相変わらず」
相棒は若干あきれ顔だが抑揚なく嘆く。
化け物屋敷の中央部で、妖怪の残骸アーンド血だまりに囲まれ3人の影は座談。
「そーですねー…とにかく頭ぶっつぶせば事は収まると思うのですが…子分おいて逃げちゃいましたからね〜」
呑気な法師。もとい、破壊僧。
「最悪だな!!!そいつ!!!ははははは!!」
「笑っている場合ですか。あなたの所為でございますわ。」
「意外と根性ねーのな!!本物の鬼のくせに!!」
「これだけ暴れれば逃げますわ。普通。」
「普通!!普通だってさ!!聞いた!?あんな毛むくじゃらの怪物に向かって《普通》!!!!」
「…元気ですね、笑鬼さん。」
やりとりを聞きつつ法師はあきれ顔である。
「はっきりいってしまってよろしいですのよ?五月蝿い、と。」
「さすがにそこまで勇気がありませんので〜」
「…赤き鬼さん、法師殿も困っていますしそろそろ追いかけませんこと?」
「おうよ!!さっすが頭いい奴は言うことが違うねー!!!その調子で指示出してくれや!!
すりゃ俺は暴れるだけでいい!!」
「人の指示も聞かず『正面突破あるのみじゃああ!!!』っつって門ぶち破っていったの、どなたですかしら?」
「そのおかげで、面倒なことになってしまいましたね〜」
「あんだあんだ!!俺っちが悪いのかい!!!!おっかけりゃいいんだろ!!わーったよ!!とうっ!!!」
「いっちゃいましたね…」
「いかれましたわね」
「…追いかけますか」
「追いかけますわ」
ゆるゆると立ち上がると二つの影は月夜の闇に姿を消した。
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おはこんにちばんわ!
作者です!バカです!!!
初投稿となりますが、稚拙でしょーもない小説でございまして!すみません!!!
そんなに長期連載にするつもりはございません。
妖怪と変態達の世界、よかったらどうぞみなさまお付き合いくださいませ。




