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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合ing long long time〜ゆりんぐ・ロング・ロング・タイム〜

閲覧ありがとうございます。

ふうちゃん、かゆいところは無い?」

「……ん、無い」


 こんばんは。恋人の倉田楓くらたふうちゃんと入浴中の木隠墨子こがくれすみこです。


「美味しかったね。今日のクレームブリュレ」

「……うん」


 シャンプーハットを被ったふうちゃんの長い長い髪を優しく泡で包みながら、今日の誕生日パーティーの思い出を語り合います。今日は倉田くらた先生と智恵ちえさんがわたし達の家に来てくれて、三人でクレームブリュレを作ったのです。


「いつも思うけど、倉田くらた先生も智恵ちえさんも料理上手いよね。料理とか、よくしてるのかな?」

「…………江川智恵えがわちえはどうか知らないけれど、お姉ちゃんはわたしが家出するまで毎日ずっとわたしのご飯を作ってくれていたから。……わたしがキレてお姉ちゃんにサラダとか生姜焼きとかを投げつけたりしたこともあったけど」

「……そっか」

「……ごめん、余計なこと言って」

「う、ううん。気にしないで」

「……………………」


 ……ほら、また。


 ふうちゃんはいつも自分の言動に自信がなくて、心配かけると思って、必要以上に落ち込む。前よりもずいぶんと打ち明けてくれるようになったけれど、この部分は変わらない。


 もっと、なんでも言ってほしいな。


 わたし、ふうちゃんの恋人なんだよ?


「……墨子すみこ

「え!? な、なに?」

「シャンプー、もういいと思うんだけど」

「あ……。そ、そうだね。じゃあ、流すから目閉じて?」

「…………ん」

「……ほんとに閉じた?」

「ん」

「行くよ?」

「大丈夫」


 しっかり確認して、ふうちゃんの頭にお湯を掛けていきます。こうしないと、ふうちゃんが「痛い痛い!」って叫んで暴れるから。たまに返事だけして全然閉じていなかったことがあったし。シャンプーハットをしているのに目に泡が入ることがあるのは、どうしてなんだろう。


「んー……」


 なぜか声が出るふうちゃん。いつも一緒にお風呂に入っているから、この唸り声(?)もよく聞きます。ふうちゃんにはなんてことない発声。でも、わたしには癒しをもたらしてくれる声。ふうちゃんがそばにいてくれている証。ふうちゃんが、生きてくれている証。


 ……そうだ。

 生きてくれている、といえば。

 巣原すばらさんに、この間こんなことを言われたんでした。



『あいつ可愛いからなんでもやってあげたくなる気持ちもわかるけどな、甘やかすのはほどほどにしとけよ? 老後アンタに先立たれたら、倉田楓くらたふうはなにもできずにのたれ死ぬことになるんだからな。比喩でもなんでもなく、アンタがあいつのライフラインなんだってこと、よく覚えとけ』



 ……わかってますよ、巣原すばらさん。


「……墨子すみこ


 わたしはずっとずっと、ふうちゃんのそばにいます。


「……墨子すみこ


 たとえ、今はまだわたしに全部を打ち明けられなくても、そのときがやってくるまで、ずっと。


「お湯、もういいと思うんだけど」


 これからも、ずっと…………長い長い時間をかけて。


墨子すみこ、お湯」


 ふうちゃんと、向き合っていけたらいいな。


墨子すみこ、お湯もういいから! もうやめて! やめてったら!」

「えっ!?」


 気がついたら、ふうちゃんが暴れていました。

「お湯くらい自分で止めなさいよ」とお思いですか?

このタイミングで楓ちゃんに蛇口を捻らせてみてください。きっと水が出て二人揃って風邪引きエンドです。

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