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7話 魔法と修行です。

 魔法。それは体内にある魔力を使用し、時には体外の魔力に作用し様々な動作を起こさせる法則の事を言います。

 魔力というのは、人も動物もあらゆるものが持っている魔法に働きかけることのできる力の事です。


 魔力が先か魔法が先か。できた順番からすると魔法があって、それに働きかける力なので魔力と名付けられたそうなので魔法が先ですね。今の学会でも解明されておらず要研究だそうです。


 だから魔法を使うというのは、げんみつには魔法を用いて現象を起こしそれを操る。というのが正しいみたいです。

 ですがみんなも魔法を使うのにそんな長ったらしい事は言わず、現象の方を魔法と呼びます。


 他にも、モノが持っている魔力を媒介として使う術や、古い式を復活させて使う術など、色々なものがあったはずです。



 魔法には属性があって、地水火風に分かれています。そこから細かく分かれたり他にもありますが割愛しますね。

 その地水火風は誰でも使えます。ですが人によって得意なものが違います。才能もありますしね。


 僕が得意な属性は水と地。その次に風属性が来ます。1番苦手な火はどんなに魔力を使っても種火位しか作れません。

 このように得意属性不得意属性によって個性が出てきます。遺伝も多少関係あると言われてますが、まったく違う系統がでる事もざらにあるのでそこもまだわかっていないみたいですね。


 魔法の根本的な話はここまでにして、僕の修行の話をしましょう。

 僕が家で魔法の練習する時、水や風を室内でだす……なんて事はしません。得意属性は細かな調整もできますが暴発した時が怖いからです。かと言って不得意属性だと全く鍛えられません。


 もう一つ、誰でも使える属性があります。それは無属性。使うのが属性に変化させる前の魔力ですからどこにも当てはめれなくてこんな名前になっているそうです……と、詳しくは割愛。


 魔法は魔力の操作の早さ、正確さ、一度に操作できる量によって変わるそうです。

 そこで、この無属性を極めれば他の属性も自ずと強くなっていくと、いつかの大賢者様が発見したそうで、今では一般的かつ主流の鍛え方になっています。


 因みに、珍しいですが属性が全く使えない人もいるみたいです。そういう人を昔は『無能者』と呼んでいた事もあったみたいですね。



 最近では『属性なしの無能者のオレが、無属性を鍛えまくったら』という物語の本がヒットしたらしく、いかに無属性が有用かを若者に知らしめる一因となりました。


 ……まあ、本に書かれている、魔力の塊を飛ばして衝撃で気絶させるなんて不可能ですが。ましてや魔力で作った橋なんて渡れるわけがないのです。強度的にも、魔力量的にも、操作できる範囲的にも。


 そういう非現実的な所もあり好き嫌いが分かれ、教材としても取り上げるに取り上げれず、ちょっとした問題作にもなっているそうです。


 ええ、しっかり読みました。最後まで読まなければ評価なんてつけようがありませんから。

 結論は、そこそこ面白く、着眼点も良く有用性もありました。ですが下手に誇張されたり現実的な作品のはずなのに非現実的だったり、主人公の頭の中が脳天気というかお花畑と言うか……そういう所もあって、僕には合いませんでした。



 またズレましたね。

 一般的に練習で鍛えてられている点は、早さ、量、正確さの三つです。

 僕はお父さんから魔法を教わって3つに加え、「維持」と「吸収」というものを鍛えています。


『早さ』。早く魔力を動かしたり、早く魔力を体外に放出させたりするのも大事です。魔法構築の速さもここですね。

『量』。一度に動かす量や、一度に放出できる量を多くする事も大切です。

『正確さ』。出した魔力を無駄なく使い、決まった量に魔力を小分けできる正確さも必要です。

 この三つが高レベルまで鍛われば、大魔法や二つ、三つの並列魔法が可能になったりします。


 ですが、『維持』。

 魔力を外に出すと魔力が大気に溶けてしまって少なからずロスしてしまいます。これを練習してロスを少なくするだけで疲労が抑えられ、時には魔法一発分余らせる事もできます。

 イメージとしては、魔力というのは空気と一緒ですね。だから、その空気みたいな粘性や性質を与えて出来るだけ溶けないようにするんです。でもやっぱりイメージと実際は違って難しいですけどね。


 そして『吸収』。

 これは体外に出した魔力を吸収するだけではなく、外に出して魔法に変換した魔力の、その残骸を吸収する事で、微量ですが魔力が戻ってきます。


 そして吸収の最もすごいところが、相手の魔法が当たった時、魔法を若干弱めて魔力を回復させることが出来る所です。

 これが長けていればいるほど多く吸収出来るので、弱い魔法が全く効かなくなるなんて事も……凄く鍛えて入れば可能です。というかお父さんにやられました。

 それに、吸収率を高めると、魔力の自然回復速度が早くなります。これは大気中から体の中へ入り込む魔力の道が鍛えられているからとお父さんに習いました。人が住んでない森などの獣道より大勢に使われている街道の方が歩きやすい、みたいな感じです。



 それで、実際どう鍛えてるかと言うと。


「……むむむ」


 全てを一気にこなす一番いい方法、それは、右腕と左腕をまわし、大きな丸太を抱えるようにして。手はくっつけずに、結構離します。そして右手から出せる最大量の魔力を一番早いスピードでだして、それを維持します。ムラなく正確にその量と速度を継続させ、そして左側へ流して左手で吸収、です。


「むむむむむ……」


 なかなか吸収が追いつきません。その間も流しているので体から魔力がなくなってしまいます。


「何やってんだリクト」


「あっ」


 後ろからチョップされたせいで集中が途切れてしまったじゃないてますか。外に出して維持してた魔力が消えちゃったじゃないですか。


「ちょ!痛い!地味に痛い!スネを蹴るな!」


「……なんですかお父さん」


 むーっとした顔で振り向きます。


「いや、だってお前まだそれ出来ないだろ。かえって効率が悪いぞ?」


「……むぅ」


「何に向かってカッコつけたかは知らないが、それはまだお前のレベルじゃねぇ。それに、それをやるんだったらもう一つ鍛える物を教えた後だ。

 さ、それがわかったらいつもの修行に戻れ。俺はちょっくらギルド行ってくるから」


「……はい」


 やれやれ、とお父さんは仕度をして出かけようとします。それと同時にお母さんが部屋から出てきましたね。

 ……あ、イイコト思いつきました。


「いってらっしゃいお父さん。肩を入れ込む娼婦がいるのはいいけど、あんまり家のお金使い過ぎないでね」


「はぁ?お前何言っ──」


「──ユウイチ?それは本当なの……?」


「エリ!?い、いや違うんだこれはその」


「黙れ」


「──はい」


「部屋で詳しい話を聞きます」


「……うっす」


「返事は」


「はい!」


 あ、お母さんは僕が言った言葉は嘘だって知ってますよ。

 ……ただ、お父さんが今から出かけるのって飲みに行くためなんですよね。無断で。

 結構見逃されてるお父さんですが、今月は行く回数が多すぎたので行きそうだったら教えてとお母さんに言われてたんです。


 ああ言えば嘘だと通じますし、お父さんも誤解を解くために逃げずについて行きます。ナイス僕。

 ……でももし自分が結婚したりしたら、ああいうのは冗談でも言われたくないですね。

 後でお父さんに謝ります。



 ▼



 と、お父さんが連行される事件もありましたが、修行に戻りたいと思います。


 さっきのは上級者編。僕がやるのは下級者編です。


 格好はさっきと同じです。ですが、2〜3種類に分けて行きます。まずは少なく早く。水鉄砲みたいにぴゅ〜っとでた魔力を左手で受け止めて吸収します。これを一定の量に安定させて出し続けるのって結構難しいんです。あ、維持もしますよ。


「……」


 この方法のを始めてから2ヶ月経つのでだいぶなれたものです。ふふん。


「……」


 これくらいでいいでしょうか。いや、まだ。まだです。


「……」


「……」


 む?今少しムラが……集中集中。


「……」


「……」


 維持をしててもやっぱりロスがありますし、吸収も100%出来ているわけでもないので徐々に減って言ってますね。魔力を流すのを止めて、魔力を吸収する事に集中します。


「……」


「……?」


 すこーしずつ自分の流した魔力をかき集めて行きます。元自分の魔力なだけあって他より比較的すっと入って来ますね。魔力も人によって少し個性があるんです。

 ……?このお日さまみたいなきもちぽかぽかする魔力は……?


「……?」


「……??」


 首を傾げます。横で僕を見ていたユウカもこてん。かわいいですね。

 魔力を吸い取っているとお日さまぽかぽかなのがかなり周囲にあるようです。


「……?」


「……??」


 僕がさらに首をかしげると目があって嬉しかったのかニコニコしているユウカもこてん。


「……あっ」


「?どうしたのおにーちゃん」


 わかりましたこのお日さまみたいなのはユウカの魔力ですね。あーすっきりすっきり。


「じゃなくてですね」


「んー?」


 なんでいるんですか。それも真横に。というか、いつから?


「おそとあそびでつかれちゃったから、おうちにかえってきたらおにーちゃんがいたの」


 なるほど。……なるほど?


「楽しかったですか?」


「うん!」


「それは良かったです」


 いつも比較的無表情(自称)な僕も綻びます。

 そしてパッと花の咲いた様な笑顔をするユウカ。かわいい。とてもかわいいです。


「お菓子食べますか?」


「うんー!あ、その前に手あらってくるね!」


「はい、とても良い子です」


 なでなでしてあげるとえへへーと笑ってから瓶に向かいました。

 今日のお菓子は……クッキーが有りますね。この間の一角犬でできた余剰資金で買ったたくさんの種類が入ってるお得なやつです。

 あ、僕も手を洗わなきゃ。




 つかの間の休息を終え、小腹が満ちたユウカが寝てしまったので兄妹部屋のユウカのベッドに寝かせてから修行再開です。


 次の修行方法はまず早さはいりません。それより一度出す量をできるだけ多くします。

 これはさっきとは違った体制でやります。といっても、そんなに説明するほどの体制でもなく、直立から右手を前に出すだけなんですけどね。

 前に出した手から大量の魔力がでてきます。それを維持しつつ、ゆっくりと僕を包み込む様に動かします。そして包み終わったら魔力を凝縮して硬化させながら吸収していきます。


 これは纏闘(まとう)、又は魔闘まとうと呼ばれる闘法の一種ですね。ただの魔力を硬化させて文字通り纏うことで力を出します。

 それを行いながら吸収する事で、纏闘と吸収、維持の三つを鍛えれるわけです。


「む、むくく」


 同時に異なる動作のものを行うのはやっぱり難しいですね……。

 魔力を変化させる纏闘、変化に合わせてピントの様なものを合わせなきゃいけない維持、変化したものを普通の魔力として取り入れなきゃいけない吸収。


「ん"〜〜……」


 硬く変化した魔力をそのまま体の中に入れると、ほかの魔力を阻害したり、吸収する穴の様なものに詰まったりしてしまうので、もう一回変化させて、維持して……あれ?どこまでやりました?次はえっと、えっと。


「あっ」


 ふわっ……と消える様に魔力が四散してしまいました。


「……」


 カラスたちがカーカーとないて、五の鐘が鳴り響きました。


 静かなリビングで、間抜けな顔をした僕がぽつんと一人。


「………………釜に火を入れておきます」


 誰に言うわけでもないのに、少し大きめに声出して気持ちを紛らわせました。

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