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5話 ギルドと外の世界です

題名変更しました!

旧名 : 転移者の息子の冒険譚

新名 : エルウォラビーロ

です。どうぞよろしくお願いします!


初の戦闘回です。

主人公は最強とかではないので、戦闘シーンはなるべく泥臭くしたいですね。

 天気よし。武器よし。靴紐よし。あと……お弁当もよし。


「行ってきます」


「おにーちゃん行ってらっしゃいー!」


「リーくん、五の鐘が鳴る前には帰ってくるのよ〜」


「はい」


 今日は冒険の日です。時刻はお父さんが出て行った後。洗濯物を片付けてからギルドに向かいます。


 ギルドに着いたら、数が少なくなってみるだけでも4〜6枚の依頼書しか貼ってない掲示板と、常時発注&期間発注の依頼書が貼ってある掲示板を見ます。


「あら?リクト君?」


「おはようございます」


 僕がこのギルドに登録する時に担当してくれた受付さん。セミロングのストレートヘアの毛先をカールさせてる、美女さんです。でも受付嬢って呼ばれる人達は大体美しい人なので、何というか、カウンターにいるとパッとしない残念な人……です。美女さんなんですけどね。


「はい、おはようございます。リクト君は相変わらず礼儀正しいね。最近見なかったけど、何かあった?」


「いえ、特には。休みの間は──


 鍛錬や家事の手伝いをしていました」


「何今の間」


「何でもありません」


「えー教えてよー。なに、お父さん絡み?」


「……」


「あ、あー。当たったみたいね……その、ごめんなさい」


「イエ、ナニモアリマセンカラ」


「こわ!?いっちゃってる目になってるよ!絶対何かあったよね!?」


「トクニナニモ」


「……そ、そう。何かあったら、言ってね?手伝える事があるかもしれないから……」


「ハイ」


「……じゃ、じゃあね?受付の所にいるから、何かあったら呼ぶか来てね?」


 この空気に耐えられなくなったのか、言うことだけ言って足早に立ち去って行きました。


 ……あの人も、僕が女装させられるって知ったら嬉々として参加しそうなんですよね……。



 閑話休題ナカマハドコニモイナイ



 しばらく掲示板を見つめていたら、面白そうな依頼がありました。


「ん?それ選ぶの?えーっと何々……『とぐろドクロ』の討伐。素材入手依頼ねー。報酬も中々良さそうね。最低六体から受け付けます……うん。普通。

 ランクはD……確かリクト君はEランクよね?受けられないんじゃない?」


 モンスター名『とぐろドクロ』。

 外見は名前の通りとぐろを巻いたどくろ……白骨化した頭蓋骨が数珠繋ぎになってとぐろを巻いている風貌をしています。

 主な出現地はなし。人がいなくて小動物が多い所ならどこにでも現れます。

 モンスターとしての強さはEですが、必ず数体で固まっていて、物理攻撃でバラバラにされてもすぐに戻り攻撃してくるという厄介な性質を持っています。

 だから倒すのには魔法が必須。数もいて事故が起こりやすいのでDランクに割り振られています。


「……たしか、昇格依頼を受けられた筈です」


「あら?もうそんな所まで来てたの。ちょっとカード見せてね……。

 うん、昇格依頼で受理できるね。この依頼もそれで受理できるかな?……大丈夫そうね。はい、受理しましたっと」


「ありがとうございます」


 昇格依頼とは、ランクを上げるための依頼のことです。依頼をいくつかこなして貢献度(人によってはGP(ギルドポイント)と呼ぶ人もいるそうです)を貯め、それが一定のラインをこえると受けられます。

 昇格依頼の対象となるのは自分のランクの一つ上の依頼。そしてその中でもギルドが昇格依頼にして良いものを仕分けたものが対象となります。


「魔法は使えたね。念のため解呪のポーション持っていってね。ほんと、稀だけどアンデッド系だから呪いにかかる事があるのよ。初心者のアンデッド狩りはそれを怠ってネックになるのよねぇ……と愚痴、ごめんね」


「いいえ。解呪のポーションも持ってますから大丈夫です」


「偉いね。ほんとさぁ、皆リクト君のこと見習わないかなぁ──」


「では。行ってきます」


「この前なんてさ──ってああ、ごめんね。行ってらっしゃい!気をつけて!

 あ!後素材入手の為だから依頼人と会う必要はないからねー!」


「ありがとうございます」


 長くなりそうな話を切り上げてギルドをでます。

 場所は、北の門から出て北西の湿地ですね。ちょっと距離がありますが……身体強化の魔法と風の魔法で加速して少しすればつくでしょう。あ、魔法についてはまた今度話しますね。


 北の門で通行手形──ギルドカードですね。それがない場合は手形を発行してもらうためにお金を払います──を見せて通してもらいます。


 外に出て屈伸運動をして、魔法をかけて走ります。詠唱してる人も居ますが、僕はエルフの血が混じってるからなのか、レベルが100に到達しているお父さんの血のおかげなのかはわかりませんが詠唱は必要ないみたいです。それで他の詠唱した人と同じ威力なんですから、生まれ持ったものも大事なんだなと思わされます。


 ただ、詠唱する事が悪いことでもありません。まず、仲間にこれから何を撃つか、いつ撃つかがわかりやすく、連携が取りやすいですね。それから詠唱をすると少し魔力が回復します。なぜかはまだ解明されていませんが……。

 それに、普通の人は無詠唱より詠唱した方が威力が上がります。

 だから、無詠唱が出来ると戦術の幅が広がりますが、やっぱり一般的な魔法使いは詠唱をするというわけです。


 馬車の命とも言われる街道沿いを走り抜け、冒険者が切り開いた道を使って目的地まで向かいます。

 お父さんやAランク以上の人なら途中迂回する森とか平気で乗り込んで蹴散らしながら進むこともありますが、やっぱりまだ弱い僕では出来そうにありません。それに、下手にそれをすると街道の方に魔物が行ってしまう事もあるのでその道はその道で神経使うとかなんとか。


 あ、馬車乗っていけば良かったかな。途中で拾ってもらいましょう。



 ▼



 着きました。ここがとぐろドクロの討伐依頼が来ていた所ですね。こういう素材入手の為の討伐系の依頼だと依頼人の仲介が無いので狩って素材が集まったらそのまま帰宅して良いはずです。


 今は……大体体感で三の鐘が鳴る頃でしょうか。二の鐘が鳴ってからけっこう後に出かけたはずなので、2時間くらいですか。移動は魔力を温存するために魔法を切ってましたがそこに商人さんの馬車が通ったのでお金を払って乗せてもらいました。


「んお?坊主、降りるのか。たしか湿地の依頼だったか。もう少しした所で降りるが近いぞ?」


「大丈夫です」


「そうか。因みに依頼の相手は?」


「とぐろドクロですね」


「そうか。だからこの辺で降りるのか。

 じゃあ呪いに気をつけないとな。あ、あと魔法は使えるか?良ければ解呪と魔法石を売ってやるが」


「持って来ています。魔法も使えます。お気遣いありがとうございます」


「おう。別に気遣いって訳じゃねぇけどな。じゃあ気をつけろよー」


 商人さんはカッポカッポと馬車を進ませていきました。護衛が一人しか居なかったのでちょっと心配です。幸いここら辺は騎士や狩人の巡回が激しいので野盗や山賊はでませんから、それを考えてのことなのかも知れませんが。



 ザクザクと背の低い雑草を踏みつけながら痕跡を探します。それと同時に無属性の魔法の『察知』を広げておきます。

 察知の魔法は、魔力を薄く広げて、魔物の魔力を感じ取る魔法です。低燃費で長く持つので、魔法が苦手な人でも使ってます。

 問題の物語ではこれをもっと高密度にして『擬:心眼』と言う魔法を使ってましたね。アレは実際にやると燃費が凄く悪くて精度もイマイチなお粗末な物になりましたが。

 ──心眼というのは、スキルの一つです。目を瞑っていても、敵の攻撃が分かったり、次にどんな攻撃が来るかまで分かってしまうすごいスキルです。


 と、話が逸れてしまいました。

『察知』を広げていると、なにやら怪しい反応が。密集している、そこまで大きく無い魔物が四体。これは辺りかもしれません。


 音を立てないように慎重に。『察知』は近すぎると気付かれてしまう恐れがあるので切ります。

 ガサガサという音を聞かれないために、魔法で風を出します。

 もちろん直接当てると気付かれてしまうので、あくまで風を作る所までで魔法を切ります。そうすると魔法で作った風は普通の風になり草木を揺らします。小技ですね。

 姿勢は出来るだけ低く。

 その揺れる音に混じって敵を目視します。


 とぐろを巻き四体でカラカラと骨を鳴らしていますね……気付かれていないようです。

 多分何かの動物の寝床か餌場だったのでしょう。草が一定範囲無くなっていて、地肌が見えています。そこに見やすい白いしゃれこうべ達が住み着いてしまいましたと。


 物理攻撃は効かない、と言いましたが、剣に魔法を這わせる……いわばエンチャントをすれば効きます。あとは鈍器などで粉々にしてやれば流石に再生しなかったと聞きます。そこまでする必要は無いんですがね。


 呑気にとぐろをまいて、時々蛇のように首をもたげてます。剣は抜かず、魔法を形成します。

 土の矢ですね、二本作って浮かせます。地面の土を使わず魔法で作り上げているので物理攻撃ではなく魔法攻撃になります。そういうものなんです。

 一番近い所にいるのと、右のに狙いをつけて……撃ち込みます。


 シュッと風を切る音が聞こえ、狙い通りに当たりました。倒せましたか?……倒せたみたいですね。しゃれこうべがガラガラと崩れて黒い小さな石がころんと転がり落ちました。


 その確認を横目でしつつ剣を抜きながら姿を見せます。混乱しているとぐろドクロは僕を見て襲いかかって来ました。

 落ち着いて手前からくるとぐろドクロの攻撃を盾でガードします。

 ……ぐう、骨ばかりのくせに攻撃が重いですね。そして奥から迫ってくるとぐろドクロを剣で突いてバラバラにします。すぐに復活しますけどね。


 片方を盾で受けていて、もう片方はバラバラ。今のうちに集中して二回目の土の矢を作りだしました。戦闘中なので上手く集中できずに一本しか作れませんでしたね。

 この矢を攻撃している方……ではなくバラバラの方に撃ち込みます。動いている方より、体を直すためにジッとしている方が当てやすいですから。

 バラバラなのがやっと集まったという所に矢が突き刺さってまたバラバラにします。よし、倒せました。


 あとはこのガンガンぶつかってくるとぐろドクロだけです。と、ちょ、ちょっと待ってください、物凄い連打してきますこいつ!

 ガガガガガンッとメチャクチャに当たってきて盾が剥がされそうです。

 なんとか攻撃と攻撃の間に剣を置いておいて勝手にぶつかって切断されましたが、危なかったです。あんなラッシュがあるなんて……。

 ちょっとだけ焦ってしまったので土の矢を作り損ねました。やっぱりまだまだですね。


 切られて、というか自ら切りにきてバラバラになったとぐろドクロに向かって土の矢を撃ち込みます。


 ……ふう。戦闘終了です。気を抜かずにすぐ『察知』をかけます。うん、周りには無いもいませんね。


 たしかとぐろドクロの討伐証明が、魔力のこもった頭蓋骨でしたね。見分け方は、持ったらわかると。アバウトですがこんな事は良くあります。それに、実際それで分かってしまうんですから、これでいいんです。


 ん、これと、これですね。魔力のこもった頭蓋骨は一体につき1つしかないので、ちょうど4つありますね。そして転がっている小さな黒い石。

 これは魔石といって、魔物ならどんな種類でも持っているものです。この魔石は魔力回復のポーションに使いますし、他にも魔道具のにも使います。後は、商人さんが言っていた魔法石ですね。魔法石は魔石に、魔法を込めて使う使い捨ての魔法みたいなものです。低コストですが魔法を込める手間がかかるためちょっとお高め。それに同じ魔法でも威力が低いので主力としては使えません。

 ですがみんな最低一個は持ち歩いているものですね。


 袋に魔石をいれ、別の袋に頭蓋骨をいれて探索を再開します。依頼では頭蓋骨は最低6つだったのであと2つですね。


 む。六つ反応が有りましたね。これはこっちに先に行っておけばとちょっと損をした気分になるやつでしようか。


 ……いえ、違いますね。どうやら争っているみたいです。咆哮が聞こえたので少なくともとぐろドクロでは無いですね。多分獣系の魔物です。今の咆哮で反応が二つ迫ってきてます。群れの個体が助けに来たみたいですね。


 そろりそろりと近付くと、血の匂いがしてきます。


 向こうはもう合流していて、反応は六つ。二つ減らされてますね。ここからは『察知』を切って進みます。

 ツンと鼻をつく血の匂いが濃くなって来ました。もう慣れた匂いですね。


 戦闘音……唸り声とか、ガサガサと走る音とかするのでもうすぐ着くはずです。少し早足に、でも足音は立てずに急ぎます。


 こっそりと草の間からのぞくと、血まみれになって倒れてるナァルワルドッグ──別名一角犬。Eランクの魔物。額に一本のツノが生えた犬の魔物です──が二体いました。

 そして戦ってる一角犬が二体。とぐろドクロに攻撃をしてバラバラにしていますがすぐに直って反撃をもらってます。


 一角犬は知能が低く、血を好みます。なので自分が傷ついても、群れが全滅しても引かないめんどくs……やっかいな魔物です。それなのに弱い。群れてもそこまで強くなれない、悲しい生き物です。


 あ、また一匹倒れました。魔法が使えないと僕もああなるんですね。

 ……あ、良いこと思いつきました。

 とりあえず土の矢を作っておきます。


 これはお父さんから教えてくれたんですが、魔法に弱い魔物を倒す裏技があるそうなんです。

 土の矢が二本完成しましたね、浮かせておきます。そして新しく土で槍を作ります。

 この槍は、普段は飛ばしたりして使いますが……魔力を多く込めて、少し硬く、そして長持ちにさせます。そして盾を腕の方に装着して、土の槍は浮かせず手で持ちます。

 ……念のために矢も少し多く魔力を込めておきましょう。

 準備はこれで整いました。後はあの一角犬が倒されるのを待ちます。


 ……今!

 シュンッと風をきって矢が放たれ、一角犬と戦っていた二体のとぐろドクロに当て倒します……倒せましたね。よし。


 そして素早く接敵します。


「……ッ!」


 魔法で作る者は形があまり変えれません。変えるには色々手順を踏まないと面倒なんです。だから、今持ってる槍は棒に穂先がついただけの槍ですね。できることは突くだけです。


 なので、突いたらすぐ引きます。

 ……浅いですね。バラバラにはなりましたがすぐに復活しそうです。

 だったら、復活する前に別のとぐろドクロに接敵して槍を突き刺します!

 よし、今度は浅くない。ですが槍が消えてしまいました。


 復活したとぐろドクロから猛襲を受けます。

 盾を両手で支えてガンガン殴られる衝撃を少しでも小さくします。

 ……落ち着いて、集中します。場所は……あそこですね。


「っ……!」


 ガン、ガガン、ガンガン、ガッ……ここ!

 攻撃と同時に勢いよく盾を押し出します。というか殴りつけます。


「〜〜!!」


 いったい。腕が痺れました。シールドバッシュは流石にきつかったようです。

 ですが急に殴られたとぐろドクロにもダメージ……?が入ったみたいで、バラバラになりました。

 今は痛みから意識を引きはがして、転がります!

 ゴロゴロと転がり距離を開けます。そして最初に倒した二体のとぐろドクロの元へ向かいます。


「……ない!こっちは、ある!」


 倒したとぐろドクロの死体を目で素早く確認します。一体は穴が空いているだけで矢はありませんでしたが、もう一体の方にはまだありました。それを手でつかんで、投げます!


 元々槍に刺されてダメージを負っていたとぐろドクロは、投げただけの矢でもダメージが入って倒せました。


 剣を抜いて気を張り、周囲の確認。

 ……大丈夫そうですね。戦闘終了です。


「ふう……」


 汗をぬぐいながら頭蓋骨と魔石、それに一角犬の魔石と、そのツノをはぎ取ります。


「……反省点。慣れない事はしない」


 です。お父さんが言ってた裏技。手で魔法を持って、武器にして戦うというものですが、たしかに効きました。ですが慣れてないとかえって危険です。やっぱりある程度の経験が必要なんですね。


 なんというか、これで依頼を達成しても不合格です。勝ったけど戦いに負けたって感じです……。




 あれからもう少し辺りを探索しました。

 結果は、珍しく群れてないとぐろドクロを一匹発見できたくらいです。


「……」


 少し悔しい思いをしながら、帰路につきました。



書いていて長くなったので2話にしました。若干変な部分やかさ増し点など見当たるかもしれません、申し訳ない。


次は4/11です

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