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3話 僕のお母さんです

ぶらぶらと執筆中。本当に気分が乗ったら書いてます。

『リクト、お前は女装をするんだ』『お前が女装をすれば』『女の強さ』『俺を超えたいんだろ?』『俺を超える強さだ』


 あたまの中がぐるぐるします。なんだか、こう、モヤっとしたきぶん。


 いっつもなおざりでおざなりなお父さんにしてはやけにしつこかったのがまたあやしい……。


 まあ今はいいでしょう。今日明日女装させられる訳じゃありませんし。

 出来るだけその時まで忘れておきましょう。それが社会で生きていくための基本装備だとお父さんも言ってました。……その話をマトモに聞いているとダメ人間になってしまいそうですが。


 折角ですので今日は恐らく元凶の僕のお母さんを紹介したいと思います。


 まずは起床から。



 僕たちのお母さんはお父さんやユウカが起きるだいぶ前に目を覚まします。外はまっくら、日もまだ登ってない時間帯ですね。


 その時間に起きてまずやる事は僕を起こす事です。とは言っても、お母さんが呼びにくる頃にはもう僕も起きてます。


 そして朝一にやる事は水運びですね。桶と板を担いで近くの井戸か川へ。組んでから家にある大きな水瓶に汲み移します。


 最初はだいぶ重たく感じたこの作業ですが、慣れたら楽になりました。体重の移動から桶から零さないギリギリの速度。持ち方……水汲み一つとっても色々な要素があって……とと、脱線してしまいました。僕の悪いくせです。


 その作業が終わったらお母さんは薪に火をを入れます。魔法が使えない人ならここでもまた一工程あるんでしょうがお母さんは使えます。

 種火を魔法でつくって、それを操って。薪を燃やして、竃に火を入れたら朝食を作ります。


 今日はどうやら肉屋さんの特製厚切りハムと甘めのスクランブルエッグ、自家製パンみたいです。

 今はパン生地を作ってる所ですね。小麦のにおいだけでお腹が減ってきました。



 一方僕はというと、裏庭で習慣の鍛錬をしています。僕は同年代の人たちよりも背が少し低いので、その分剣に振られやすいのです。

 人によっては身長を優に越す大剣を、体が振られるのを巧みに操って戦う戦士も居るみたいですが、僕にはまだ難し過ぎます。

 それにお父さんも言っていたことですが、そういう戦いをする人は少しの老いや怪我で振れなくなってしまうことが多いんだとか。体得すれば強くて威力もある剣術ですが長い目で見るとあまり良くないのだそう。


 そこで僕はオーソドックスなスタイルの剣と盾。女性でも扱えるくらい短いショートソードとバックラーと呼ばれる小型の盾……を少し大きくしたものを使っています。

 ショートソードは本来、歩兵が大盾と併用することが多い……そうです。他にも、槍兵のサブウェポン、馬上の騎士のサブウェポンとなっていたりします。後は貴族同士の剣術披露、決闘の場などで用いられるそうです。


 僕はこの剣を小型の盾と併用する事で機動性を大事にしています。体が小さいからこそ出来る戦術、です。


 そうそう、この小型の盾ですが、これは近所の鍛冶屋のおやじさんに特注で作って貰ったものです。少し楕円形で、通常のバックラーやりも少し大きく、中心に太いトゲが取り付けられています。これで敵の攻撃を受け止めたり、殴ったりする事でダメージを与える感じですね。


 後、扱える得物は短槍ですね。こちらも剣と同じくらい鍛えてます。槍を使う時はバックラーを握るのではなく腕に嵌めて固定して、両手で握ります。

 槍の形と長さは……そうですね。パルチザンと呼ばれるもので、その中でもとても短いものです。店売りの一番短いのが大体150cmかな?なので、僕のは130〜140くらいになりますね。


 パルチザンは突く他にも、切ったり薙いだり出来るものです。あと抉ったり。

 そこで、僕の体躯を活かして近づき突いて、はらって、逃げて、切って去なして薙ぐ。が基本ですね。基本動きまわりながら張り付くスタイルです。剣を使ってても同じですが。



 と、いけない、自分の得物には詳しくなければいけないので語ってしまいました。


 毎日の鍛錬は、皮の鎧を着てショートソードかパルチザンを鞘に入れたまま振り、盾で木を殴り、打ち立てられた丸太の間をくぐりぬけたりと言ったものです。とにかくリーチの短い僕はモンスターにしても……対人にしても不利なので動き回ります。そして関節や目、手の甲や付け根、首、横腹などを確実に突いたり斬りつけるように考えて位置をとります。


「お、やってるな」


「……お父さん?」


 今日はやけに早いですね。いつもは朝食ギリギリなのに。


「……なんか最近トゲがない?」


 知りません思春期ですからそういうものじゃないんですか。


「あー、ま、いいや。……お前も上達したなぁ」


「当たり前です。お父さんの子ですから」


「おっそいつぁ嬉しいな。……ブレもなくなってきたな。お前はスジが良い。速いしスタミナもある。それと相手の急所を突く事を大事にしている」


 はい。そう教わりましたからね。


「「だがそれだけじゃあダメだ」……ですよね?」


「ほ?」


 確かにお父さんの教えで急所を確実に狙う鍛錬をしていました。ですが相手も動くし状況によってはそれ自体もできなくなる。だから牽制の刃も必要だし、いざという時に追いかけて来れない様にする刃も必要です。……ああ、それと気絶のための刃も必要でした。


「──ほう」


 ゾクゥッと背筋が粟立ちました。過度なプレッシャー、いやに粘つく空気。鍛錬をやめ、お父さんの方に体と視線を向けます。


 いつも通りの顔、いつも通りの表情。ですが目が確実に違います。

 これは、殺意……ではなく、よく似ていますが本当に強いものしか出せない力の波動です。この波動が強さの象徴でもあり、この威圧で動けなくなることが僕とお父さんの実力差です。

 ヒシヒシと感じる明確な差。どれだけやっても追いつけなさそうな歴然とした、大き過ぎる目標。ですが──


 ──ニヤァ


「ッ」


 今度はお父さんが驚き固まりました。はて?


「お前、そんなかわいい顔で、そんな笑い方すんなよ!?めっちゃ怖かったぞ!?」


 あれ?僕今笑ってました?


「あ、ああ、残忍……とは違うな。純粋なようで濁っている……いや、逆か?

 ま、いいか。女の子の前ではその顔するなよ?絶対泣かれるからな!!」


 スタスタと逃げるように去っていくお父さん。


 ……あっ、水浴びしなきゃ。お母さんに怒られてしまいます。


 僕は急ぎ足で近くの川に向かいました。



 ▼



 ──なんだよ。もう既に『此方側』にこれる材料持ってんじゃねーか。まだ荒い部分があるし、俺から見なくても圧倒的に経験が足りねぇ。レベルもな。

 ……だが。リクトの奴は俺の威圧にも耐え、そして笑ってみせた。


 あの笑みは、『挑戦者の笑み』

 戦いに置いて、不利な状況ほど恐怖より悦びを感じる狂戦士の顔だ。

 巷じゃあ早死に顔だの言われてるが……まあ、それも間違っちゃいない。

 が、その死線を乗り越えて来たものだけが強くなれる世界だ。それにセンスもあるし機転も利く。事戦闘技術に置いては俺よりもかも知れねぇな。まだ負けねぇけど。

 ……それだけ死にやすい訳だが、俺の息子だからな。死なないよう強く、生に意地汚くしてやるのが目標にされた俺の役目かねぇ。

 ま、まだ時間はたっぷりとあるし、教えられる事全て教えてけばいいな。後は適度に自信を折っていくことか。そうして反骨心でやってかなきゃ強くなれねぇしな。



 ▼



「〜〜♪……はっお母さんのこと紹介するんでした」


 あぶないあぶない。忘れてた。


 僕が体を洗って家に向かうと、ちょうどお母さんが料理を作り終わって食器を並べる所でした。


 焼きたてほやほやのカリカリのパンとジューシーで芳ばしいハム、スクランブルエッグと切ったトマトとキュウリ、そしてミルク。

 朝ごはんは基本的にあまり変わりません。ハムがベーコンになったり、ソーセージになったり、スクランブルエッグがチーズになったりオムレツになったりの違いくらいですね。

 今日はありませんが漬物もあります。


 それでは


「「「「いただきまーす」」」」


 もくもくもくもくもく。


 もくもくもくもくもくもくもく。





 ごちそうさまでした。


 お母さんはいち早く食べ終えてお父さんの弁当を作りに行きました。くんくん。この匂いはお母さん特性ハンバーガーですね?

 お手伝いをします。


「あら?リーくん手伝ってくれるの?ありがとう〜」


 今日のこの後は魔法の練習でしたが、おやすみです。僕はお皿を洗いますね。


 四人家族で食べ盛りが二人。お父さんも結構食べる方なので、家の中で1番少食なのはお母さんです。といってもお母さんもよく食べますが。

 そんな家のお皿洗いは少し量が多い。あ、今日は地の第三日でした。


「お母さん、終わったら灰集めますね」


「あら、袋の回収日だったわ。ありがとう〜!お母さん助かっちゃうわ」


 ルンルンと鼻歌を歌いながら愛妻弁当を作るお母さん。僕から見ても凄く若いと思います。実際の歳も子持ちの親としては若いと思います。

 ですが見た目と雰囲気に騙されてはいけません。だってお母さんは──


「リーくん?手が止まってるわ?」


 ふふふふ、と微笑むお母さん。ハイ。動カシマス。


 お父さんの波動よりも怖い、オーラが。オーラが。


 お父さん、わかりました。これが女の強さですね。なるほど確かにこれには勝てません。


 戦々恐々としながらもお皿を洗い終わり、お母さんの愛妻弁当も作り終わりました。それをお父さんが持っていき、妹のユウカもお友達と遊ぶと言って出かけました。



 さて、灰との戦いです。

 家の中に在る物達に布を掛けて、手分けして竈や暖炉などから灰を集めます。この時、注意する事は残り火が無いか確認する事ですね。下手をすると袋が燃えてしまいます。

 煤で服や顔が汚れるので、もう着なくなった服か専用の服に着替えます。そしてマスク。三角巾と首の部分で鼻と口をガードします。

 そして手には防火手袋をして、灰を掻いてずだ袋に詰めます。

 あ、窓は全部開けます。


 灰を集め終わったら新しい薪を入れておきます。そして舞った灰を取るため掃除をします。


 あ、お母さん、灰袋は纏めて置いておいてください。僕があとで持っていきます。

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