2話 僕のお父さんです2
2話目、短いです。1話4000〜6000文字に収めたい。
お父さんの仕事は冒険者。冒険者にはランクがあって、S、A、B、C、D、E、Fと7つのランクに分かれています。
お父さんは最強ランクのS!……ではなく、Bです。
なぜBなのかを聞いたら、Sはほぼ国が囲ってしまい、日常すら管理、干渉されてしまうんだとか。本人たちは何不自由しないそうなので、不満などはあんまりないそう。囲われていないSランクは、冒険者のギルドのマスターをやったり、普通に町で暮らしたりしているそうですがやはり監視が付くみたいです。
次のランクのAも、素晴らしい力を持つのでどこかに囲われたりすることもありますが、普通に冒険者をやっている人たちも多いそうです。ですが上位階級の貴族や成金商人、大富豪などから依頼が来るためそれ相応の対応や我慢が必要になるんだそう。
あるAランク冒険者は上位階級の貴族の依頼を受けるときに、冒険者の娘を愛人にするから連れてこいと言われたり、妻を寄越せと言われたり、仲間の女を私に、だとか……って女の人関係ばかりじゃないか、貴族って……
でも、こういう放漫な貴族は上位階級の三男や成金商人の息子などが多いらしく、安全と見栄のためにAランク冒険者に依頼するんだとか。
そこでBランク。Bは熟練した冒険者が多く、強い。Aに上がるものよりは弱いけど、経験があって、そこそこ強くて、丁度いいらしいです。
それにBランクだと見栄を大事にするためか、上位階級の依頼は中々回ってこない。下位階級の貴族からは来るものの、報酬がいいため取り合いになりそれに参加しなければ貴族と関わる事はない。
そしてそこそこ強いから見下されもせず……と、お父さんは長々とメリットを話してましたがこんな所です。
冒険者の仕事と言うと……色々ありますが、中でも多いのがモンスターの討伐です。強いモンスターの討伐から繁殖しすぎた弱いモンスターの間引き、素材の入手。言ってしまえばモンスター討伐を主としている何でも屋です。
Fランクの人たちはゴミ掃除とか庭の手入れ、採取などの依頼をして賃金を稼ぎ、武器を買ってモンスターを倒してレベルを上げる。そうして強くなってランクを上げていきます。
武器を元々持ってたり、登録時に試験を受けて合格するといきなりEランクやDランクから始められるそうですが。ちなみに僕のランクはEですね。
と、冒険者のシステムは良いですね。お父さんの話をします。
朝起きたらまず、母の作ってくれた朝食を家族全員ととります。
それが終わったら、時間があったら洗濯を手伝い、着替えて弁当を貰って街の冒険者ギルドへ行きます。
ギルドについたら依頼書の確認。この時点でもう他の冒険者に旨味の多い依頼や貴族絡みの依頼は取られてるので、それ以外の余った依頼や、お父さんを信用して多用してくれている人からの指名依頼を確認します。
幾つかの依頼を受けたお父さんは街から出て依頼をこなします。
夕方には帰ってきて報酬をもらい帰ってきます。
そして夕飯をみんなで食べながら今日一日や面白いウワサなどを話してくれます。
そして就寝。
……あれ?冒険してませんね。むしろお父さんの言ってた余裕のある定時退勤のサラリーマンのような生活ですね?若しくは普通の街の人みたいな……。
基本はこれだそうです。むむ……
「どした?何唸ってんだ?」
なんというか、冒険者って……って頭痛くなってました。
「ははっ確かに冒険者の割に冒険してねぇな。でもな、リクト。俺は思うんだわ。1番幸せなのは、こーやって家族で一緒に暮らせることなんだって。愛してる奴らと、食卓を囲む事なんだって。だからな?この幸せを長く続けるために冒険者して、それで無茶な依頼をして死んじまったり、厄介な貴族と関わって日常が壊れちまったりしたら元も子もねぇじゃねーか。
……長々と言ったが、そうだなぁ……父さんはな。お前らが好きだから早く家に帰って来たいんだ」
「パパくさーい」
ユウカがクスクス笑います。わが妹ながら……もっと言ってやってください。
「な!?ぱっパパは臭くないぞ!?そそそ、そんな!おいエリ!臭くないよね!?俺!」
「ふふ、ユウイチは臭くないから安心して。帰ってきてシャワーを浴びたでしょ?汗の匂いも消えてるわ」
「よ、よかった〜」
「ユーちゃん?パパのこと臭いなんて言っちゃダメよ?」
「はーい」
「もくもくもくもく」
「り、リクトは動じないな。さっきから飯に集中してる」
あたりまえです何を言ってるんですか。そりゃあお父さんが冒険者なのに冒険してない事で頭痛くなりましたがご飯が冷める事に比べたら些細なものです。
あ、お母さんお代わりください。
「はいはい、リーちゃんは健啖家ねー」
閑話休題
「おう、リクト。きたか」
お父さんに呼ばれたので部屋に行くと、お酒をちびちび飲むお父さんがいた。
話をするって言ってたけどなんの話だろう。
「まあ座れ」
はい。
「お前は強くなりたい、と言って俺の修行について来たな」
はい。
「時に厳しく、時にもっと厳しく、時には辞めさせるべく嫌がらせのように厳しくした」
はい……って待ってください?厳しかったのって、辞めさせるためだったんですか?
「ハハハ、ジョウダンダヨ」
「…………」
「や、ジト目はやめてくれ。お前のジト目は効くんだ……」
はあ、わかりました。それで?
「そろそろ次の訓練に移りたいと思う」
あ……はい。
「それで次の試練なんだが……」
はい。
「お前には女装をしtって危なぁ!?」
あ、つい剣を抜いてしまいました。あぶないあぶない。でもお父さん?自分の息子に女装なんていう貴方も色々と危ないですよ?
「さ、最後まで聞いてくれ」
……はい。わかりました。女装はジョークですよね。
「んんっ……まずは女装をしてもらってって2回目!?」
……あ。ジョークじゃなかったんですかそうですか。
なぜ女装しなければならないんですか?そこの所ちゃんと教えてください。
「わ、わかったわかったから。まずは女装をしてもらって」
女装をして。
「化粧をして」
化粧をして。
「街中を歩いてもらぅおぉっ!?」
……。
「じ、ジト目よりヤバい目になってるから!ほら、落ち着いて!説明するから!」
……はい。
「ん、んん。まず、何故女装をするかだな。これは似合いそうだから……ではなくな?剣をしまえ?なっ。え、ええと、そう!戦闘中に羞恥心とかの雑念を払う為だ。それに、女になれば交渉術にも磨きがかかる」
……むう。言ってることが合ってるような、意味不明のような……。
「ほ、ほら、買い物中のエリを思い出してみろ。怒涛の値切りと相手の気分を良くする交渉術を!」
む。ふむ、確かに。
お母さんは値切りの達人だ。マスターだ。値切り魔神だ。それに値切った相手も渋々ではなく気分良く値切ってくれる。
「な?あれは女の強みだ。こうも考えろ。俺みたいな男は女装したってあんな強みは手に入れられない。だがお前は?女装することによって女の『強さ』を手に入れられる」
女の、強さですか。
「そうだ。女の強さだ。妹のユウカを見てみろ。お前より4つも下のあの子ですら値切りを習得してるじゃないか」
むむ……むー。
「(あと少しか)……お前は、俺を越えたいんだったよな?」
むむー……え?あ、はい。そうです。
「俺は、女装出来ない。したとしても、似合わない」
なんの告白ですか。……確かに似合わないと思います。
「だろ?でもお前は女装ができる。女装が似合う。むしろエリがメイクするからそこらの女子より可愛くなる事間違いなしだ」
えー……。
「なるんだ。可愛く。それも最高にな。そこでだ、こう考えてみろ」
なんかそのセリフさっきも聞いたような……。
「俺は女装出来ない。お前は女装が出来る。つまり俺は女の強みが習得できず、お前は出来るわけだ」
まあ、さっきの話ではそうなりますね。
「つまり、俺にできない事が出来る。それは、そのジャンルだけだが俺より強くなったと言わないか?」
「!」
「そう、俺よりも強くなれるんだ。交渉術を身につけると」
交渉術を、身につけると。
「女装をすると」
女装を、すると。
「つまり?」
女装、すれば、お父さんより、強くなれる。
「そうだ」
女装、して、街で、交渉すれば、強くなれる。
「excellent!!」
……。
「わかったお父さん。僕、女装するよ」
「よし!部屋に戻っていいぞ」
「はい」
僕が出て行った後の部屋で。
「エリ、これで良いのか?」
「ふふふ、ありがとうユウイチ」
「だがな……」
「何を今更」
「それはそうだがな」
「あなたも納得したでしょ?あの子には女装が似合うって」
「あー、うん、そうだ、な」
「そう!そうなの!リーくんは女装すべきなの!あんなに可愛いのに、しないなんてもったいない!」
「……なんというか、すまん、リクト」
「あ〜〜インスピレーションが湧きますわぁ〜」
「なんでお嬢様言葉なんだよ……」
「だって貴婦人ってこういう物だって、あなたが言ったんじゃない」
「貴『腐』人な」
「何を着せましょうか!」
「……はあ」
そんな会話が繰り広げられたとか、広げられなかったとか。
さあタグの男の娘回収です。この一回の女装で終わるかな?
因みにリクトの容姿は、明るい黒髪に碧眼の童顔。背は少し低い147cm。可愛い系の顔立ちで、どう見ても10歳、背で判断しても12歳にしか見えない。
ショタコンに狙われる事もあるがこの物語ではオネショタは期待しないで(裏切り)
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