第9話 虫の駆除、はじめました。
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「超音波で洗脳する魔物のなんて初めて聞きました...超音波の方は微弱なので、私の魔法でどうにかできますが、よく見ると、固そうな外殻で囲まれていますね...私の魔法ではあの外殻を破る事は難しそうですね。虫は氷が苦手なので外殻が壊れれば私が中に氷魔法をうてるんですが。」
「なるほどの。ならば儂が狩魂憤怒を用いて外殻を割ってしんぜよう。」
殺る気満々な2人を見て気づいてしまった。
「俺やる事なくね?」
せっかく防御魔法覚えたのに使わないとかちょっと寂しいんですけど。
「いいや、ありますぞ。先ほども少し言ったが狩魂憤怒は殺戮本能を全開にして戦う戦闘方。しっかりサミレ殿と防御魔法にいてくだされ。一度狩魂憤怒を使うと効果が切れるまで殺戮本能は止まらないのでの。」
怖ええええええ!やっぱこの種族怖え!
「行きますぞ。カウントで防御魔法を一度といてくだされ。ほんの一瞬で大丈夫じゃがの。」
「わかった!いくぞ! 」
コクリと頷いたムロを見て俺はカウントダウンをはじめた
「3!2!1!」
「0!」
バッ!
俺が一瞬だけ【鍋の蓋】を解いた瞬間にムロの姿が消えた
「行きますぞ!しっかりと防御魔法をお願い致すぞ!」
忠告しながら虫の方に走るムロと俺の袖を掴んでいるサミレを見て、鞘を握る手に力が入る
「ハァァァァァァァァァァ...」
虫の前でムロが両手を合わせ、静かに目を瞑る
ドクン
ムロの心臓の音が聞こえる。
ドクン
先ほどよりもだいぶ大きな心臓の音が響く
ドクン
空気が重く、大きな殺気を感じる。
「汝、現世の生に別れを告げ冥界の死を受いれよ。」
そこには穏やかな見た目のムロはいなく、全身の毛が赤黒く逆立ち、殺気を放つムロがいた。
「キィィィィィシィィィィ」
虫が大きな鳴き声を発しながらカマキリのような手をムロと俺たちに振り下ろしてきた!
キィィィィィン!!
擦れる音が大きく鳴り響いた!
当然、【鍋の蓋】は無傷。【鍋の蓋】以外の所は深くまでえぐれていた。これを生身で食らったらひとたまりもないな...けど、【鍋の蓋】を貼っている限り、負ける事はありえない!負けるようじゃ最強の聖剣は名乗れない!鞘だけど...
「ムロさんは!」
サミレが声をあげ、俺も慌ててムロのいた場所を見ると、ムロは一歩も動かず、そこに立っていた。
ドゴォォォォォン
ムロのすぐ真横に虫の腕が落ちてきた。
「もいだの....?あの速度の腕を...」
俺が腕を視認した時、既にムロはいなかった。
「汝、迎えこうものなり」
その一言は虫の頭の上から聞こえた。
「狩魂憤怒の感が一。破。」
そう静かに言い放って挙げた右手を静かに虫の頭に振り下ろした。
静かな間。実際は10秒もなかったが俺には永遠に続く時間。そんな感じがした。
「キイィィィィィィぃぃぃぃぃ!」
虫が大きな鳴き声を放った瞬間、虫の外殻が全て粉々に飛び散った!
飛び散った破片に見とれる中、声が聞こえた。
「防御魔法を解いてくださるかな。サヤダ殿。」
優しいその声はムロのものだった。
いつの間にか背後に立っていたのだ。
「安心なされ。狩魂憤怒は解けてある。じゃがしかし狩魂憤怒の影響で
しばらく儂は動けそうに無い。後のことは頼みましたぞ。」
座り込んだムロを見て
「任せてください!外殻が壊せれば私の番です!」
とサミレが口に笑みを浮かべながら返事をした。
ピクピクしながら反転している虫を見てサミレが魔法の詠唱を始める。
「サヤダ、ムロさんをしっかりと守ってくださいよ。」
ゲスな笑みを浮かべながらサミレが叫ぶ。
「グッフフ!覚悟はいいか?虫けら!さぁ!冷凍タイムだ!」
性格悪いな...あいつ...
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