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伝説の鞘、貰いました。  作者: 平永 望楽
14/14

第14話 馬車で虹、ぶちまけました

伝説の鞘、貰いましたを閲覧いただき、ありがとうございます!

シナムの村で朝まで宴を堪能した俺たちは今日、王都に帰ることになった。

「さぁ、荷物は整ったな?出発するぞ!」

無事今回の任務を終え、少し安心したような顔のゴルダ隊長が掛け声を挙げた時だった。

「待ちなされ。」

門の前で馬車が出発する直前、ムロがゴルダに声をかけた。

「ひとつ、頼みがあるのじゃ。」

「頼み?」

「そうじゃ。なに、老人の戯言だとおもってもらってもよいがの。」

「内容にもよりますが..」

少し間を開け、ゆっくりとムロは告げた。

「わしの孫を王都へ同行させてはくれんかの?」

ゴルダは少し困ったような様子を見せた。

「私は別に構いませんが...よろしいのですか?王都へ行くと五年は帰ってこれなくなりますが...」

心配そうにゴルダが質問すると、すぐにムロが答えた。

「族長の孫として学習させたいのじゃ。世界は広い。小さなシナムの村でわしのように朽ちて欲しくないのでの。」

「......。わかりました。」

「ほれ、挨拶をしなさい。バル。」

ムロが呼ぶと奥から、あせあせと小さな耳をつけた茶髪のロングヘアーの女性が小さな袋を持って出てきた。

「は、初めまして。バルといいます!不束者ですが、よろしくお願いします!」

見た目は俺と同い年くらいか?すげぇ美人だな。性格も良さそうだし。誰かさんと違って。そして、大人な雰囲気をとても感じる。誰かさんと違って。

「サヤダ。顔がいつも以上にだらしないですよ。」

サミレの方を無言で見つめる。

「? なんですか?」

そしてバルの方を再び見る。

「?? どうしたんですか?サヤダ?」

そして再びサミレを見て一言。

「ほら、成長の速度って人によって違うって言うし...落ち込むなよ。」

「なんですか?喧嘩を売ってるんですか?買い取って5倍にしてうりつけてやりましょうか?」

眉間にしわを寄せたサミレが俺を睨む。

「いりません〜。クーリングオフで返しまスゥ〜。」

「くぅりんぐおふ?なんですか?それは?」

そんな日常的な会話をしていると、ゴルダが俺たちに声をかけて来た。

「お前らー。出発するぞー。」


俺たちはシナムの村を後にした。


帰路の中、馬車で1人空をずっと見上げているバルに声を掛けた。

「何見てんの?」

「!?」

いきなり声をかけられた事にびっくりしているようだ。

「あ、ごめんごめん。まだ自己紹介してなかったな。俺の名前は佐谷田 健!エクスキャリバーの持ち主にして、花の16歳!あ、俺の事はサヤダでいいぞ。」

「エ、エクスキャリバーの!?」

「そうだぜ!あの伝説の聖剣、エクスキャリバーだ!訳あって鞘しかないけど!」

「....。鞘、ですか?」

「そう。鞘。」

そんな目で見ないでください。泣きたくなるから...

「サヤダさん、もう一本はどうなされたのですか?」

「もう一本?」

「ご存知ないですか?エクスキャリバーは神話上では双聖剣、つまり双剣とされています。つまりサヤダさんの持っている他にもう1つ鞘があるはずなのです...」

「へぇー。それは知らなかったな。バルは物知りなんだな!」

「そ、そんなことないですよ!」

ボッ!と、顔を真っ赤にしたバルの後ろから声が聞こえた。

「その神話はおそらくシナムの村に伝わる神話なので私も知りませんでしたね。」

そういいながら馬車の奥から顔を真っ青にしたサミレが出て来た。

「お前、どうした?いつも以上に顔色悪いよ?」

「いつも以上とか言わないでください。」

具合を悪そうに真っ青な顔で口を押さえているサミレ。

「だ、大丈夫ですか?」

優しく声をかけているバル。

そこに大きな声が聞こえた。

「見えたぞ!ラプラス国王都、シュルツだ!」

その声を先頭の馬車にいるゴルダが言い終えるのと、サミレが馬車酔いで口から虹をぶちまけたのは、ほぼ同時の事だった。

久々の投稿となりました..,

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