第12話 大盛狂、始まりました。
「失礼する。もうすぐ村の広場で報告式があるので移動しよう。サミレは?」
ゴルダ隊長だ。サミレを探しているようだが。
ムロが視線を向ける先にはサミレがスースーと寝ており、ゴルダ隊長もそれを見つけたようだ。
「...起こしたら、悪いな。」
苦笑いをしたゴルダ隊長は頭をぽりぽりと書いていた。
「サミレは今回の戦闘でMPを全て消費するまで魔法を使ってましたから。そっとしておいてやりましょう。」
「報告会にはわしらだけで行きますかの。」
ムロも俺の意見に同意してくれたみたいだ。
幸せそうに眠っているサミレに毛布をかけ、俺たち3人は部屋をあとにした。
街の広場についた俺たちは早速、今回の戦闘員全員で報告会を行った。報告内容は、先ほどシナムの村の青年が言っていたのと大体同じ感じだった。
「以上が報告になります。」
「報告、ご苦労。諸君、我々は今回、我が国のため、106代目ラプラス国王ダゴル・ボルティー二様に捧げた!」
へー。
国王、ダゴル・ボルティー二って名前なんだ。知らなかった。
「諸君!我々は仕事をこなした!いつものものを始めるぞ!」
ゴルダの掛け声と同時に何やらうずうずしていた兵士やシナム村の青年達が準備を始める。
何すんだ?いつもの?儀式かなんかかな?
ヒソヒソとムロに聞いてみる。
「ムロ、これから何が始まんの?」
「おや、サヤダ殿は知らんのかの。戦の後にある物。それは至福の時間。すなわち....」
スゥゥゥ
ゴルダの息の吸う音が聞こえ、兵士達も何やらワクワクしている
「「「「「宴だぁぁ!」」」」」
そう叫んだ瞬間、シナム村の女性たちが大量の食べ物や酒を持って手早く机に並べた!
兵士達が飲めや歌えや宴会状態に一瞬でなった事に驚いていると、ゴルダが声をかけて来た。
「サヤダ、お前は今回本当に頑張ってくれた!宴をしっかり楽しめよ!」
「俺未成年なんすけど。」
「何言ってんだ?酒は13からだろ?」
この世界では13が酒を飲むのか!
「シナムの娘が腕を存分に振った料理、ご堪能してくだされ。」
いつの間にか隣にきていたムロが俺に笑顔で伝える。
バン!!
いきなり背中を大きくゴルダに叩かれ、びっくりしている俺をお構い無しにゴルダが叫ぶ
「お前ら!噂くらいは聞いたことあるだろ!エクスキャリバーを持ち、今回の戦闘の要となった1人、サヤダだ!混ぜてやってくれ!」
「「「うおおお!!」」」
兵士たちに持ち上げられ、席まで運ばれた俺は真っ先に酒を飲まされた。
「ほら、飲めよ!」
「いやいや、俺酒とか飲んだことないですよ」
「いいから一回飲んでみ!」
そう言われ、俺は口内に酒を打ち込まれた!
「.....。」
ゴグリ。
兵士達が俺を静かに見つめる中、俺は思わず大声で叫んだ
「うんまぁぁぁっ!なにこれ!」
酒ってこんな美味いのか!?口に入れた瞬間、広がる果実の甘み!すっきりとした後味!シュワシュワが喉を通り抜けて行くこの喉越し!堪らない!
俺がうまいと言った瞬間、ぐいぐい俺に寄って、色々な事を同時に兵士達が話してくる
「まぁ、ゆっくり1人づつ聞いてやるよ。」
「これ食ってみ?うまいぞ!」
「本当だ!美味え!」
「こっちも美味いぞ!」
「本当だ!癖になる辛味!」
異世界ってこんな美味いもんいっぱいあるのか!
「エクスキャリバー見せてよ!」
「すまないが、見せられない!最強の聖剣だぜ?こいつを見たかったら俺がこいつを使うくらいの相手を連れてくるんだな!」
「カッコイイっ!痺れるねぇー!今回の戦い、エクスキャリバー持ってるサヤダ位だったら緊張なんて無かったしょ!」
「バカ!あったよ!緊張は!なきゃダメなんだよ!初心を忘れない!剣士の基本だぜ?」
「いいこと言うー!」
「ちなみにサヤダは彼女いる?」
「いない。作ってないからな!」
「出来ないだけじゃ無くて?」
「ちがいますーぅ。作ってないだけですぅ。女の子が寄り付かないわけじゃないですぅ。」
「「「うそくせー!ww」」」
俺が兵士たちとワイワイガヤガヤ盛り上がっていると、民宿の入り口から大声が聞こえた!