王女との出会い
こんにちは!第三話です!
前回より長めに作りました!
—————「こんなところで何してるんですか?」
と、問いかけてきたのは、雪のように白い髪を肩まで伸ばした少女だった。
「え?...あっ、いや、それはその....旅の途中で道に迷ったんですよ......」(いやぁ〜異世界転生されちゃってさーこれからどうすればいいのかわからないんだよねー。とか言えるわけねぇだろ)
ベタすぎる嘘をつきなんとかやり過ごそうとした。
「どうりでそんな服装をしているんですね。それに珍しい服ですね。見たことがありませんよ!」
「そうなんですよ。これは地元に伝わる服で...」
それは悠人が二年も愛用しているジャージのことだった。見た目は平凡だが裏起毛で温かくて実用性がある服だ。
「そういえば自己紹介がまだだったよね?俺の名前は
坂本悠人、まぁ、旅の途中ってことで!んで、君の名は?」
と映画の名前のような単語を悠人は言い、軽い気持ちで聞いた。
だが、返ってきた答えに悠人は驚愕の事実を知る。
「申し遅れました。私はバルキア王国の国王、
《ウィリアム・デュノア・バルキア》の娘、《リーズロッテ・デュノア・バルキア》と申します。《リズ》とお呼びください!」
「へぇ~........え?国王の娘?はい?どういうこと?」
訳がわからなかった。
「そのままの通りですよ?国王の娘です!」
「いやいや!わけわかんないよ!?なんでここにいんの?!」
謎でしかなかった。なぜ国王の娘が森の中にいるのか、そしてなぜ今、目の前にいるのかが。
「それには深い訳ががありまして...」
そういうとリーズロッテは申し訳なさそうに話した。
「実は今日、隣の国の《エンハンブレ》で隣国の王女同士の会議があって、その帰りにバルキアの隣村まで行く用事があって、向かっていたら道中で黒龍に襲われてしまって......」
ーーーーそれは遡ること数時間前のことだった...
「それではこれで会議を終わります」
「やっと終わったわ。」
「そうねぇ、長かったわー」
小一時間で終わるとのことが4、5時間オーバーしてしまい。他の国の王女たちは皆、疲れ果てていた。
リーズロッテもその中の一人だった。
「(はぁ。やっと終わったー。この後バルキアの隣村に行く用事もあるんだっけ)」
「リズー!この後お茶でもどう?」
と、元気よくリーズロッテをお茶に誘ったのはバルキア王国との貿易仲が良く、王女同士でいつも仲がいい《マリア・シャーロット・ヨーゼファ》だ。
「ごめんなさいマリア、これからバルキアの隣村まで行かないといけないの。またの機会でいい?」
「あら、ごめんなさい。そしたらまた今度誘わせてもらうわね。」
リーズロッテはマリアからの誘いを断り足早に竜車に戻り出発を待っていた。
すると近くの警備兵がこんな会話をしていた。
「おい、聞いたかよ。近くの村に黒龍が現れたんだぜ?」
「え?本当かよ?そんな話信じられるかよ。」
それもそのはず《黒龍》は滅多に現れないのだから。
最近でも50年前の急襲から一度も現れていない。
「確か《黒龍》は100年周期で現れるんだろ?それにしても早すぎやしねぇーか?それと黒龍の種類でも炎龍はとんでもなく強いって聞くぜ」
「俺も聞いたことあるぜ。小さい頃にばあちゃんから聞いたよ。でもそれおとぎ話だろ?あるわけねーよ」
「それもそうだな!ハッハッハッハッハッ」
「だろうな!ハッハッハッハッ」
警備兵と同じくリーズロッテも竜車の中でクスクスと笑っていた。なぜならリーズロッテも昔、母から聞いたことがあるからだ。
「(あの時は大変だったって聞くけどどうなんだろう。でも、ちょっと見たい気もするなぁ)」
リーズロッテには怖い気持ちと好奇心が混ざり合っていた。
しばらく経つと竜車の窓を叩く音が聞こえてきた。
その主は、バルキア王国護衛団の副団長、《セーサル・ハンク》だった。
「リーズロッテ様、ただ今出発の準備が整いました。
いつでも出発できます。」
「そんなに汗をかいてどうしたの?急がなくてもいいのに..」
「いえいえ滅相もありません!リーズロッテ様を待たせるなんてできません!」
「う...うん。それじゃあ行きましょうか」
リーズロッテは若干引き気味にそう答えた。
そして竜車は走り出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ーーーーーあれからどれほど時間が過ぎたのだろうか、リーズロッテは眠ってしまったらしく気がつくとそこは森の中だった。
「....?..ここは..どこですか?」
「あぁ...目覚めましたか。」
そう言ったのは竜車の御者だった。
「行きはこんな道通ってないと思うけど...」
バルキア王国からエンハンブレまでの道は真っすぐで
森の中を通過することはない。
「...実は、バルキア王国とエンハンブレの間の村に竜巻が来たという情報を受け、急遽道を変更し今に至ります。」
「そうだったのね、それにしても.....」
リーズロッテが話を聞き次の話をしようたしたその瞬間、後方で大きな爆発音が聞こえ振り返ると、竜車と連結されていたはずのエンハンブレの物資を乗せた荷台が、赤黒い炎を上げ燃えている。
「何があったのッ?!早く竜車を停めて!」
「かしこまりました!」
リーズロッテは顔色を真っ青にし、竜車から降り困惑していると後ろからセーサルの声がした。
「大丈夫ですかリーズロッテ様ッ!!お怪我はありませんか?!」
「うん。怪我は大丈夫だけど...一体誰が.....」
辺りを見渡す。だが土煙が濃くてよくわからない。
ーーー突然、突風が吹き、リーズロッテ達の視界をクリアにした....
そして、ある一人の兵士が叫んだ。
「おい、みんな!上を見ろ!」
一斉に上を向く。風の正体は一目見ればすぐにわかった。
だが、口から声が出ない。
「............あれは....まさか.....」
大蛇のように長い尻尾、ナイフのように鋭い手足の爪、体中を覆う黒光りの鱗、それらを際立たせる黒い両翼、そして、トカゲとワニを足したような顔だ。
わかりやすく言うと【リオ○ウス】だ。
「リーズロッテ様!お逃げください!ここは私達、バルキア王国の騎士団で食い止めますッ!!」
「そんなことできないわセーサル!」
「そんなこと言ってないで早くお逃げください!」
「さぁ、来い!!黒龍!!!」
ーーーーーリーズロッテは無我夢中で走った。走って走って走りまくった。
1、2時間ほど逃げてきたある木の下で少年が倒れているのを見つけた。
「こんなところで何してるんですか?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「こんなことがあって...」
リーズロッテは目に涙を浮かべながら今までのことをすべて悠人に話した。
「そんなことがあったのか...それは災難だったな。
ということは、ここがどこかもわからないってことだよな?」
悠人は恐る恐る聞いてみた。
「はい!もちろんですっ!」
リーズロッテは元気にそう答えた。
「なんでそんなにテンション高いんだ?さっき事故にあったばっかりじゃないのかよ?!」
「あ..申し訳ございません。ずっと一人でやっと人と会えたと思うと....」
一人で逃げるのは怖かったらしく、今にも泣き出しそうだった。
「ごめんごめん、悪かったよ。リズの気持ちも考えずに。少し休むか?」
「はい.....」
「もう大丈夫です。もしよかったら、一緒に行きませんか?」
「行くってどこに?もしかしてバルキアに?」
「はい。バルキアまでは少し遠いのでよければご一緒させていただきたいんですが...」
リズは弱々しく言うと上目遣いでこっちを見てくる。
「.....あーもうはいはい!わかりましたよ!」(本当にけしからん!)
【それじゃ行くとしますか。」
「はいっ!」
とリーズロッテが言うと二人は深い森の中へ入っていった。
お読みいただきありがとうございました!
前回よりも多少長かったかと思いますが、もう少し長めに作れたらいいなと思いますのでこれからも宜しくお願いします!
誤字脱字ご指摘よろしくおねがいします




