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リミット・オブ・ペイシェント  作者: 岡由秋重
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汨羅の淵に波騒ぐ

勇は、秋草課長へ連れられて、薄暗い一室に入った。

「では、只見勇君、設計部第四課へようこそ」

「今日は誰もいないのですか」

「今日は休みだ。私が決めた」

「……」

「今のは冗談だ。今は全員官邸にいる」

どうやら、先の写真も勇の目の前に立っている人が考えたようだ。

「さて、一応君にも、仕事を与えることになる。その前に、情報レベルの格上げを通達する。03Aとしよう」

「ありがとうございます」

「それで、だ。仕事というのは、2つある。1つ目は、対生対兵器用の攻撃機の概要の取りまとめだ。細かいところはこちらでする。期限は…6月までだな。こっちは、それほど急いでいない。2つ目は、コレの情報評価だ」

と同時に、大きな封筒が、勇に渡された。

「内閣情報調査局と、国防軍の情報部がもたらしたものだ」

中には、数十枚のプリントがあった。

「情報が、同じヤツについてなのか、違うヤツについてなのかすらわかっていない。間違いないのは、生体兵器であるということだけだ。まだ、他の国は勘付いていないらしいし、実行されている段階も初期だ緊急性は無いにせよ、非常に怪しい。こっちは、来週中にも情報評価も出してくれ。2、3比較検討する」

「わかりました」

「そういえば君は、Y機関の名簿に名前が載っていたね。いつからいたんだ?」

八咫烏機関、通称Y機関。国が民間に委託して作らせた、情報収集機関であり、政府内部でも、存在を知るものは少ない。第三次世界大戦時点で、すでに活動していたとされ、未だ実態は不明とされる。存在を知っているものも、政府の中核である、内閣総理大臣などではなく、内閣情報調査局の職員、それも、部長クラス以上のものだけである。

「そこまで知っていますか…はい、3年前から、勤務しています」

「情報レベルもあって無いようなものか…まあそれは、いい。後1つ確認しておくことがある。この紙に、君が今までに犯した刑法に触れるものを全部書け。黙認されているものも含めてだ」

「……何のことでしょう」

「事情は知っている。私に逮捕権もない。正直に書け。後で、色々な事をしないといけないのが面倒になる」

「……はい」

プライバシーはどこにあるんだろうなぁと勇は思いながら紙に書いていった。5分たっても書き終わらなかったが。

「予想はしていたが多いな…。まったくこっちの身にもなって欲しいよ…」

(つぶや)くようにしていわれたその言葉を、勇は気にしないことにした。

「……終わりました」

「ご苦労。今日のところはこれで終わりだ。もう帰っていいぞ」

「土日は、一応来たほうが良いのでしょうか」

「いや、毎日も来なくて良い。…忘れてた、この端末を渡しておく。これに連絡が入ってきたときだけで良い。これから2ヶ月の間は副官としての仕事のほうが忙しくなるだろうしな」

「わかりました。ではそういうことで」

「俺に連絡したいことがあった時は、この端末からで頼む」

「はい。では、お先に失礼します」

勇はそういって、部屋を後にした。

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