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リミット・オブ・ペイシェント  作者: 岡由秋重
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誓いて持せん

「そうですか」

大島局長の爆弾発言にも動じることなく、勇は普通の反応をした。

一国の危機さえも、一人の高校生の能力判断材料にしてしまうことは今更であった。

「驚かないな」

「もう慣れてますから」

実際、これを含めて、このようなことになったのは4回目であった。

「君が今この情報を知ってしまったらどうしようもないのだ。そこをわかってくれ」

「一つだけ条件があります」

「なんだ」

「もし失敗した時は、仕事を任せられる人を用意してください」

「できない相談だな。それも含めて君の手腕だ」

「ですから今ここで頼んでいるわけです」

「……それは見当違いだな。君の大叔父上あたりにでも頼め」

「尻拭いはしない主義ですから頼めないんですよ。しかも一応、安全保障委員会委員長代理の国会議員ですから、国防軍関係者でもある自分とは接触しにくいんです」

「まあ、どうにかしたまえ」

勇の要求は、結局あしらわれてしまった。脈がありそうだと感じながらも勇はここで引き下がることにした。

「そういえば、いつの時点で自分が対処するところにいるとわかったんです?」

「まあ、情報はいろいろなところから入る。なかなかいい作戦案じゃないのか。水際作戦が失敗したら大変になりそうだが、立見君も好きそうな話だったしな」

「…」

どうやら、別口に、幕僚の中にも協力者がいるらしいということが分かった。

「今日話すことはもうないな。また明日だな。忙しいだろうが、秋草君と一緒に宜しく頼む。秋草君行くぞ」

「はい。気をつけて帰れよ」

「どうもお疲れさまでした」

そのまま勇は官邸を後にした。


家にたどり着いてから、勇は翔に連絡を取っていた。

「飛行機はやめとけ、ミサイル1発で撃墜できる時代だぞ」

「そんなことを言っているんじゃない。上空からの援護がなかったら、水際での撃破が難しくなるんだ」

「それを勘定に入れて作戦はたてた。問題はない」

「問題はなくとも、多数の命の天秤を少しは重く見ろ」

「お前の命が一番重い、次が自分で後がその他だ」

「人の上に立つ人間にあることの自覚を持て、勇。お前はこっちのボディーガードだけじゃないんだからな」

「わかってるよ」

「そこが足りないんだよ、条件反射で答えているだろう、今の答え」

「…いまここでお前と議論したくない」

難癖をつけられ、揚げ足を取られ、話が脱線しようとしたため、勇は話を元に戻そうとした。

「とにかくだ、航空機による上陸舟艇に対する襲撃の件については本官としては反対だ。技術官としても要請する」

「まあ、意見具申は重く受け止めておく。そういえば風紀委員のほうは顔を出してないがよかったのか」

しかし、話が今度こそ脱線してしまった。

「学校に行ける段じゃないからな。そこは分かってくれているんじゃないか。委員長も忙しそうだったしな」

「そういえば、情報部の人だったな。大変そうだ」

「責任を取る必要がないからな。いい職場じゃないのか」

「……お前何かあったか?」

勇ははっと思い出した。翔は、変なところで勘がいいのである。しかもそれが働いたときは、大体それが正しいために手を焼くのだった。隠しても無駄であることを悟り、勇は翔に話すことにした。

「今回の件、情報収集でこっちは役に立てないかも知れん」

「どうしたどうした、まさか、畑中さんと話してたことに関係するのか」

「いやそっちじゃない。内閣情報調査局として、情報収集ができそうにない」

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