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リミット・オブ・ペイシェント  作者: 岡由秋重
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嵐前の時

「ああーえらい目にあった…」

昼ご飯を食べ損ねた勇は、大介に愚痴った。今は、5限目と6限目の間の休み時間である。

「君は一体何者なのかというのが僕の正直な感想だよ」

大介の問いに対して、手をひらひらと振りながら勇は答えた。

「御大層なものでもないがな。ただの高校1年生だ」

「国防省にいる時点で、ただのという言葉はつかないと思うけど…」

「国防軍に入っている奴の言う言葉ではないな」

「…そういえば、只見の入ったのは、設計部の何課なのかな?」

ここで勇は逡巡した。一応、国防省装備開発局設計部第四課は、内閣情報局の内部に位置付けられた構成員で構成されていることは極秘である。しかしながら、大介の家系の人脈ではそれもわかっている可能性が高かった。うかつには、言えないのである。

「四課だ」

「なるほどね…。ああ思い出した、国防省装備開発局の中で、おもしろ課と呼ばれているところか」

「なんだその呼称…?」

「いや国防省内では割と有名な話でね、設計部の中でも、四課が担当する兵器は、いろいろと、おかしいらしい」

「なんだよそれ」

「悪口じゃないんだけどね…。兵器の設計思想がぶっ飛んでいるらしいんだな。例えば、音速に迫る速度を出すプロペラ機とか、最高速力50ノットの護衛艦とか、バネを使った203ミリ迫撃砲とかそんなものばかりらしいよ」

「………」

「勇?」

「あっ、ああ、何でもない」

(なんてところなのかな…)

勇の頭をそんな考えがよぎった。

そんなこんなしているうちに、あっという間に休み時間は終わり6時限目に突入した。


授業も終わり、遅くなった昼ご飯を勇は1人教室で食べていた。予定が詰まりまくっている翔は、慌ただしく国防省に向かっていった。

その時教室の扉が開いた。

「お、今日は逃げずに残っていたのか」

「…委員長はどうしたのですか」

入ってきたのは、風紀委員会の副委員長と説明された児玉だった。

「所要ができてここにはいない。そこで、伝言を伝えに来た」

「副委員長、自分は、当面予定が詰まっていて―――」

気力も失せたような声で勇は返答した。

「そのことだ。委員長も運悪く、予定が詰まってしまったらしい。細かい説明等は、また、再来週まで伸ばすから、当面自由にしてもよいということらしい」

「そのようなことなら結構です!!」

気力を完全に取り戻し、いきなり背筋を伸ばして、勇は立ち上がった。

児玉は、それを引き気味に見ていたが。

「…まあそういうことだ。覚えておいてくれ」

そう言い残すと教室を出て行った。

後には、急いで弁当をかきこむ勇が残された。


食事を終えた勇は、一高校舎内のある場所に向かっていた。正確に言うと、入部するように、設計部第四課長である、秋草満から指示されていた部の部室向かっていたのである。

「こんにちは」

声をかけると同時に、勇は部室のドアを開けた。

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