表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リミット・オブ・ペイシェント  作者: 岡由秋重
14/82

九天の雲は垂れ

それから5分後

首相官邸 閣議室


「ではこれで、関係閣僚会議を終わります」

慌ただしく部屋の中から人が出ていき、後には、5人が残された。

内閣総理大臣 蒼井風香(あおいふうか)

同公設秘書 北川卓(きたがわすぐる)

同補佐官 上原高司

内閣官房長官 山中正一(やまなかしょういち)

内閣官房副長官補 今村雅充

「さて、どうしたものでしょうか……」

「いずれ起きたことです。細かいことは、また閣議で決まりますから、それまで待つしかありません」

総理のボヤキに、官房長官が答える。

日本初の女性総理で、国民の支持率は高いものの、党内での派閥として、立場が弱く、一部では突き上げを食らっていると言われている。それを支える官房長官は、当たらず触らずで、過ごしてきたような人である。

「もう少し、隣国のことくらい事前にわからないものでしょうか」

「総理、我が国で可能なことは全て行っています。これ以上は、我々にはできません」

危険な方向に走り始めた発言を今村が止める。

高司は、これを見ながら、不謹慎なことを考えていた。

(なんで、こんな人が総理の椅子に座っていられるんだ…官房長官も、もっとましな人選があっただろうに…)

当庁当日に、いきなり、総理に付いて状況把握をしろと言われたときは、無茶なと思ったもののそれに慣れてきていた。ここまで考えるほど、暇もあった。

(しかしま、これからドンパチになるのか…なんでまた今の時期に…はぁ…)

そうこうしているうちに、総理の愚痴も終わったらしい。

「上原、行くぞ」

雅充に促され、我に返った高司は急いで、総理の後を追って、部屋を出て行った。


再び、只見邸に戻る

夕食後、父から呼び出しを受けた勇は、父の部屋に来ていた。

「入学祝いにと思ってな、用意しておいた」

勇の目の前にあったものは、拳銃だった。靖の説明が続く。

「口径は9mm、弾倉内に14発+1発入っている。初速は400m/s、有効射程は70m、最大射程は、3000mといったところだ。反動を小さくするのには苦労したが、いいものには仕上がったと思うぞ」

中学の時にもらってから使い続けてきたものは、反動を抑えて、まだ扱いに慣れていないものでも使いやすいようにできていた。もうそろそろ変えたいと感じ始めていたかとなので、勇にはそれが助かった。

「一応、弾丸は、国防軍のものでも代用できるから、足りなかったらそこから補充しろ。銃の形状も似せてあるから、不法所持を疑われることもないだろう」

勇は、銃を手に取り、慣れた手つきで、一通り動作確認をした。

「ありがとうございます」

「使わないに越したことはないがな」

「ははは…」

父の冗談ともとれる言葉に、勇は空笑いしかできなかった。何せ、使わないといけない理由の一端は、靖の発見によるものもあるからだ。

その時、渡されていた端末に通知が来た。

文面は

「非常呼集。直ちに登庁せよ。 統合幕僚会議」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ