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リミット・オブ・ペイシェント  作者: 岡由秋重
13/82

怪雲空にはびこりつ

首相官邸地下 情報集約センター


全体的に暗い部屋の中に、長方形の大きな机がある。周りには、10数人の人々が立っていた

「オホーツク海及び、北太平洋周辺の報告は以上です」

「よし、次」

「南シナ海において東亜共和国南海艦隊及び東海艦隊の艦艇が領海の侵犯を繰り返し、軍事的挑発行動に出ています。本件に際しまして、東南アジア連合から共同の経済制裁が提案されています。軍事的な観点から見ますと、展開しているのは、駆逐艦級が10隻、空母2隻、潜水艦8隻うち原子力推進艦が4隻です。大兵力とは言えず、東シナ海に展開する余力を残しているといったところですね」

「すみません」

1人が言葉を遮った。と同時に、隣の男が、資料を配布する。

「こちらからその件に関しまして報告することがあります。東亜共和国の寧波(ニンポー)軍港において残存している艦艇の一部に出撃態勢が整っていると衛星写真及び、無人小型偵察機の映像より判明しました。また、朝鮮半島鎮海(チンヘ)軍港においても、同様の様子が確認されています。東亜共和国は、我々に対する、新たな作戦を展開しようとしているのではないかと考えられます」

集まっていた全員に重い沈黙がのしかかる。

この集まりのトップと思われるものが口を開いた。

「作戦目標になっている可能性が高いのはどこだ」

「最も可能性が高いのは、やはり尖閣諸島であると考えます。その場合、沖縄本島も、作戦目標に入っていることを考慮する必要があると考えます。ただし、この艦隊行動が陽動であったとき、目標は、対馬であることも捨てきれません」

「いや、対馬には、世界最強レベルの要塞と超兵器すら置いてある。対馬を目標にしたには、向こうが投入する兵力が小さすぎる。やはり、尖閣だろう」

大半が目で同意する。

「緊急性はどれほどある」

「向こうも、上層部の作戦決済待ちのような雰囲気です。たった今許可が下りたとすると、2日、一番可能性が高いのは、2週間後、遅くなれば、出撃準備は解かれるものと思われます」

「つまり、これから2週間いつでも攻撃が始まってもおかしくないということか」

「9割がたそうでしょう」

「付け加えますと、その件を聞いて分かったのですが、東亜共和国の生体兵器が保管されている施設の周辺で活動が活発化しているとの報告があります。向こうは、生体兵器を投入する可能性があります」

今度こそ集まっていた全員が黙りこくった。

2分ほど経過したとき、トップらしき者が立ち上がって言った。

「今回の件は、緊急を要する案件となる可能性が高い。各員一層の警戒を持って、職務に当たるように。今回の内容をまとめると、近く尖閣諸島周辺に対して、東亜共和国が攻撃を行う可能性が急速に増大したということでいいな」

全員が頷く。

「それでは、内閣情報調査局部局長会を終了する。これから、緊迫したことになると思う。次回は、明日開く。本日の内容は、総理と関係閣僚に私から報告しておく。以上、解散」

全員があわただしく部屋を出ていく。


廊下も部屋の中と同じように暗かった。

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