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問題児部屋の日常  作者: 日月翠雨
6/10

問題児達の昼食(たまに悪戯)の日常

「いただきまーす。」




私達の昼食の時間は特に決まっていない。

基本的にアキちゃん以外の先生は出入りしない(教師達の間ではここに立ち入る事は自殺行為に等しいらしい)から、先生の目も、ましてや同級生達の目も気にせずアバウトな生活を楽しんでいる。

今日は3時間目が昼食時間みたいだ。




「今日はあのプリン王国のプリン各種を買って来たんですよ~、3時のおやつにはみんなでクッキー作りましょ~。」




「プリン王国って言えばあの超有名プリン専門店か、人気が高すぎてグッズ販売もしてるんだろ?」




「そうです!あそこのプリン王子可愛いんですよ!色んな色があるし、なんたって手作りの割りに出来が良すぎる!」




「語るな高月、アニメ以外にも好きなものあったんだな。」




「バカにしないでください藍先輩、私はただのアニオタじゃないんですよ!藍先輩と同じく多趣味なんです!」




「そうか、悪かったな。」




「わかればいいんです。」




中学生組二人の謎な会話を聞きながら、私はご飯口に入れる。

我ながら美味しく出来ているといつも思う。




「水橋先輩、今日も美味そうっすね。なんかください。」




ナツくんとは自炊仲間ということで結構仲が良かったりする。

相変わらず量が多いナツくんのお弁当は、男子とは思えないほど色とりどりでお肉と野菜のバランスもちゃんと取れていて模範にするべきお弁当だとしみじみ思う。




「ナツくんほど美味しくないよ、いつも何か言ってる間に取るよね君。」




「そう言ってても結局はくれるからいいんすよ、やっぱ卵焼きときんぴらは敵わないっすね。」




遠まわしにこの子卵焼きときんぴら以外なら勝ってるって言ってるよね?私の受け止め方は間違ってないよね?




「…なんすかそんなに睨んで、いるなら言ってくださいよ。」




「違うわ、敵意を全力で向けてたんだ」と心の中で叫びつつ、ナツくんにされたように勝手に弁当の中身を取る。

取り敢えず私はアスパラのベーコン巻きと卵焼きを取ってみた。




「うっ…。」




確かにナツくんの言う通り卵焼きは私が勝ってるけど、ベーコン巻きは負けてる。

男子に女子力で負ける虚しさとはこんなにも悔しいものだったのか。




「水橋ばっかずりぃぞ!おいナツ俺にも寄越せ!」




「あ、ちょっ朔!お前肉ばっか取るんじゃねぇよ!」




「やっぱ美味いなお前の飯!お袋が一家に一台欲しいって毎日うるさいのも納得だわ。」




一家に一台…確かにわからなくもないけど、"一家"が無い人はどうしたらいいんだろうか。

朔はもうちょっと考えて発言して欲しいよ。悪意がないから叱ろうにも叱れないんだけどね。




「香織ちゃん香織ちゃん。」




「なんですか先ぱ……そんなことして後からあの不良二人に何されても知らないよ?」




「いいんですよ、弁当の取り合いしてる人達がいけないんです。それにここのプリンは買って5時間以内が一番美味しいんです。」




まだ2時間しか経ってないんだけどな…と思いつつも、早く食べるに限るここのプリンを易々あの不良達の腹に収めさせるのもなんだか癪だから中学生二人の悪戯に便乗することにした。




「あ、朔先輩夏月先輩。早く来ないとプリン食べちゃいますよ~。」




「それはダメだ!!!」




「一人暮らしにそんな易々買える品じゃないんだから食わせろ。」




沙夜ちゃんの挑発に簡単に引っかかった二人は、そのままハバネロ入りのプリンを口にすることとなる。

主犯である藍くんはもちろん、便乗した私達は2号館の校舎内と校庭を走り回るリアル鬼ごっこに強制参加させられて、プリンももう一回買ってくることになった。




私は校舎と校庭を走り回るみんなを見ながら残りのお弁当を食べていた。

スタート地点って言うのは案外見つからないものだということがわかった。

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