放浪者が出た時の日常
はて、困ったものだ。
このカオス状態の収拾をどうつけようか。
「京先ぱああああああああああああいいいぃぃぃ!!!!!!今度は何処を放浪してるんですかあああああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「今日は春アニメ上映会するって言ったぞ俺はああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「あんの放浪癖持ちのサボり魔があああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「うるせ…。」
「どうします夏月先輩…、もう3時間目過ぎてますよ…1時間目からこの調子じゃないですかこの人達。どこにこんな体力あったんですかねこの人達。てか凄くうるさい。」
藍がこんなに喋るのも無理はない。
いつもなら一番に教室にいる朱雀先輩が今日はいないからだ。
まあ初めてじゃないから「放浪癖持ちのサボり魔」とか叫んでるやつがいるんだが。
この現象(現象って言葉がしっくりくるから現象と呼んでいる)が起こるのは月に2度、それが定期的に来ないのが厄介だ。
しかも今日は春アニメを片っ端から確認していく予定だった、それを言い出したのも朱雀先輩だった。
その言い出した本人が行方不明だからたまったもんじゃない。
いつもなら探しに行くんだが、連絡もとれないからどこにいるか見当もつかないらしい。
「僕ちょっとアニメイト行ってきますね、これから新作ゲームが発売されるので。2時間くらいで戻ってきます。」
「おー、気をつけてな~。」
とは言ったものの、未だ叫び続けるコイツらをどうしようか…。
「騒がしいですねナツくん、そんなに面白い展開のあるアニメがあったんですか?」
「いや、朱雀先輩がまたどっかに行ったから………あんたどっかに行ってたんじゃないんすか。」
話しかけられたと思ったらこの騒ぎの元凶である朱雀先輩がそこにいた。
朱雀先輩に気づかない朔達は未だに騒ぎ続けている。
「いやぁ…今日発売予定だったアニメのBlu-rayボックスの初回限定版に未公開映像があるとかなんとかでちょっと遠出してきました。
藍くんが前々から言ってたゲームも買ってこようかと思ったんですが、藍くんが自分で買いに行くと言ったので買ってこなかったんです。
その代わり駅前限定のシュークリーム買って来たんですよ!それにも並んでたらいつの間にか3時間目になってまして。」
要するに…、初回限定版を手に入れるべく駅近辺のアニメイトに行ったついでに駅前シュークリームを買うべく列に並んでいたらこんな時間になっていたと…。
しかも話を聞く限り藍は知ってたのか…。
「じゃあなんで電話に出なかったんすか?藍が何も言わないからみんな混乱してたんすけど。」
「それが…携帯の電池がなくなったんですよ~、無くなる寸前に藍くんとやりとりしてたので途中で途切れちゃったんですけど一応連絡をしておいたんです。」
なんと面倒な…つまり藍は途中で途切れてよくわからなかったから何も言わなかったのか。
推測で間違ったことを言うよりは、何も言わず放っとこうと思ったわけか…。
頭いいから余計に気を使ったのか、単に面倒事を避けたかったのか…よくわからんなアイツも。
「はぁ…取り敢えずそのシュークリーム冷蔵庫に入れて、コイツらに説明してやってください。
多分そのDVDとシュークリームで許すと思うので。」
「了解です!皆さんただいまですよー!」
「京先輩!?なんで電話出ないんですかああああっ!!!!!!今日は何処に行ってたのか洗いざらい話してください!!!」
「いやぁ、実はですね?~~~~」
まあ…なんだ、今日は迎えに行かなくてよかったってことだな。
しかし今日が放浪の日じゃないってことは、まだその日が残ってるのか…。
うん、実に面倒だ。