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夢と現実  作者: 浜名 岩士
7/20

ファミレスで2

「食べたいの決まった?」


僕は沈黙に耐えきれなかった。しかしきっと何も答えないだろうと思いながら言ったのに反して、彼女は、


「チャーハン。」


と答えた。それからメニューを僕の方に渡した。


僕は何を注文するか決まっていたので、呼び出しボタンをおした。店員はすぐにきた。


「注文は何にしますか?」


「チャーハンと焼きそばで。」


「チャーハンと焼きそばですね?」


「はい。」


「了解しました。」


こういった店員にする注文も懐かしく思えた。


しかし、この女性は誰なのかまだ分からなかった。年齢は同じぐらいだろうか。化粧はしてないし髪もボサボサだ。まるで寝起きで外に出てきた感じた。でもそのわりには服はきっちりとしている。つまり、着替えているということだろう。


彼女はなんの話しもしようとはせずに何か一人で考え込んでいるようだった。


僕も別に無理矢理しゃべる必要もないと思って、スマホを取り出していじり始めた。


するとそれを見た彼女が、


「それを貸してくれませんか?」


と言ってきた。やはり不思議な人だ。


僕は「いいよ」といい、スマホを手渡したが、検索履歴にエロい言葉が出ないか心配になった。


「電話をかけてもいいですか?」


と彼女は言ってきた。少し図々しいとは思ったが、こんなところに連れてくる僕の方がどちらかといえば彼女に迷惑をかけていることをかんがみて了解した。


しかし、彼女の手がすぐにとまり、


「電話番号を覚えていないことを忘れてました。」


と笑って言った。僕も思わず笑ってしまった。


「お待たせしました、焼きそばです。」


と店員がきたので手をあげて僕のです、と主張した。そのあとに、


「チャーハンです。」


と店員がいうと、彼女も手を挙げて自分のだと主張した。


「ご注文は以上でよろしいですか?」


といわれ僕が頷くとお会計の時に持っていく紙をバインダーに止めて去っていった。


彼女はすでに食べ始めていた。


本当に話すことがなかった。今日出会ったばっかりの人に自分の身の上話をしても苦笑いぐらいしかしてくれないだろうし、世間話をするのもおかしいように思えた。仕方なく黙ったまま食べる音だけ鳴らすしかなかった。


それにしてスマホなどの連絡手段を持っておらず、その上人にまで借りてどこかに電話しようとしてたのを見ると、あからさまに事件の臭いがする。結論から言えば彼女はどっかから追い出された、もしくは逃げたのだろうと推測した。


そして今僕が彼女にできることと言えば、無理矢理こんなところにつれてきたことを謝り、そこからどうにかして彼女のことをしることぐらいだろう。

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