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夢と現実  作者: 浜名 岩士
2/20

ファミレスで

席についてから彼女はどうにか呼吸を整えようとしていた。僕はそれをよそめにメニューを開いた。それを見ていると隠されている高校時代の思い出を探しているかのような気分になった。


よくしたことと言えば、ドリンクバーで色々な種類のものを組み合わせてどれほど不味くなるかを確かめていたことである。一番不味かったのは、ドリンクバーの原液であった。機械の構造は、原液と水が別々のところから出ていて、それがコップのところで混ざって調度いい味になるようになっているが、故障かなにかで水が出ず原液だけが出ることがたまにあった。それを見つけた友達が僕に無理やり飲ませたのだ。あの味は中々忘れられない。


そんな風に過去を思い出していると、荒い呼吸の音がなくなっていた。彼女はうつ向いている。


「どれか好きなの頼んでいいよ、奢るから。」


僕はそう言ってメニューを開いたまま彼女の目の前に置いた。彼女は動かなかった。


「こんなことを言っても多分信じないと思うけど、僕は未来予知ができるんだよね。君が男性にどこかに連れられて行く夢を見てさ、それで君を助けたんだよ。なんか心当たりある?」


この発言に彼女は顔をあげて僕の顔を見た後、すぐにうつむいた。なにも言わなかったがきっと心当たりがあるのだろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

目の前にいる男性。急に私の腕を掴みここへ連れてきた。きっと私が警察にこの男をつき出せば逮捕されるだろう。しかし、そんなことをする余裕などなかった。


未来予知ができると言った。


しかし、その後に夢で私が変な男に連れ去られるのを見たと言った。私には未来予知と夢に一体なんの関係があるのかが分からなかった。推測するに予知夢というやつだろうか。


それにしてもこの男は明らかに変人だ。未来予知とか言っている時点でそうとうヤバイが、例えそれが事実だとしてもこんな見ず知らずの人を助けようと思うだろうか?もっと言えば、あんな行為をできるだろうか?


今、目の前には開かれたメニューが置かれている。別にお腹がすいているわけではないから注文しなくてもいいが、その選択肢はこの男が許しそうではない。だからといって別に注文したいわけではない。


こうやって戸惑っている間にこの男は、あのセリフを言った。


「男に連れ去られる心当たりがあるか?」


あるわけがない。もしそんなことをされるなら私以外の誰かのせいだろう。そうじゃなくても、そうだと思いたいのだ。

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