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夢と現実  作者: 浜名 岩士
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夢とある女性

昔から夢には謎めいた力があると思っていた。もちろん夢占いには興味があるが、そういった個人的なことではなくて世界に対して影響を及ぼせる力をもっているということである。


ある時、学校に国語の教科書を持っていき忘れ、先生に怒こられる夢を見た。僕は目が覚めるとすぐに起き上がり鞄の中身を確認した。すると、昨日確かに入れたはずの国語の教科書が入っていなかった。辺りを見渡すとそれは机の上に置かれていた。


この夢のおかげで怒られずに済んだ。そしてそれは同時に先生が僕を怒らずに済んだということであり、クラスの授業が怒ったために始まるのが遅くなるのを防いだことになる。


小さな出来事ではあるが、まるで世界を救ったかのように思えた。


これが思い出せる限りにおいて一番最初に起こった未来予知であった。その後僕は母親が車で事故を起こす夢を見て、わざとタイヤをパンクさせたり、好きな人に告白したがふられる夢を見て、告白するのをやめたりした。


しかし、未来余地とは結果論である。本当に僕が未来を阻止するような行為をしなかったら、その未来は訪れたのかは誰も証明することはできないだろう。また、出来事が起こった後に、それを予知していたと言うならば、それは予知とは言えない。


僕はこの能力を誰にも信じてもらえなかった。ただ言えるのは、実際に未来余地の能力がないと理解できない現象が起こっているのは確かだということである。


今日見た夢には一人の女性がいた。彼女は人気のない道を歩きながら一人しか通れないぐらい狭い建物と建物の間にある隙間に入った。すると正面の出口に一人の男性が現れた。それを知った彼女はすぐに振り返り、今来た道をそのまま小走りで戻った。しかし、そこにも違う男性がおり、捕まってしまった。その後黒い車に乗せられてどこかに行ってしまった。


目が覚め、どこかで見たことのある道だと思い、記憶を辿ってみると、そこは高校生の時、遅刻しそうな時だけ使っていた裏道であった。僕は今、地元の大学に通っているため、その場所にはすぐに行け、さらに暇であったためそこに久しぶりにいってみることにした。

正確な時間は分からないが太陽の位置から昼頃であることは推測できた。


その場所に着くとやはり人はなかった。


まるで誰かが来る様子もなかったが、予知夢に絶対的に自信があったためとりあえず例の女性が来るのを待った。


何分経ったか分からないが、誰かが歩いてきた。顔をしっかり見ると、やはり例の女性であった。彼女はこちらが凝視しているにも関わらず、少しも気にするそぶりを見せなかった。そのまま歩き続ける彼女は夢と同様に狭い隙間に入ろうとした。


その瞬間に僕は彼女の手首を強く掴み思いっき自分の体の方に引き寄せた。当然、彼女は驚いた顔をしていたが考える暇を与えず、もう少し先にある違う狭い隙間に走って連れ込んだ。そしてそのまま大通りに向かい人ごみに紛れた。ここまですれば急ぐ必要がないため歩き始めた。後ろからは息の切れる音が聞こえ、掴んでいる手首から脈拍が早くなっていることを感じた。



僕は高校時代の懐かしい風景にとけこんでいる行きつけのファミレスに入った。

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