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定義  作者: あひる
1/1

悪戯

2010年1月、彼は私に看取られこの世を去った。

彼は最後まで悲しげな顔だった。


神様、彼は幸せだったのでしょうか?


私は彼を幸せにできたのでしょうか?


聞いても誰も答えてくれなかった。。




第1章 出逢い

彼と出逢ったのは大学のサークルでした。どちらかというとお互いイケているグループでした。しかし、直感でこの人とは仲良くならないなと何かを胸に感じました。

共通の友人がいたのを機に彼のことを自然とよく知りました。片岡けいたろう。医学部の首席で、スポーツも得意。性格も陽気で友達も多い。いわゆる完璧に近い人でした。完璧すぎると近寄りがたいと思わせるのに彼には何か人を惹きつける優しい雰囲気がありました。彼とより仲良くなったのは、あの梅雨の日の出来事だと思います。

その日の予報は晴れだったので私は傘を持たずに大学に行きました。そして、午後は図書室にこもって夢中で好きな音楽家の伝記を読んでいて帰らなければと思い外に出ると雨が降っていました。周りは真っ暗で人はあまりいませんでした。傘を買うにも駅までの間だしこのまま走って行ってしまおうそう思っていた時後ろから誰かに呼ばれたのです。

「藤田さん?」

それは彼でした。私は傘忘れてしまったことを彼に言いました。すると彼は、

「僕、傘二つ持ってるから一つ貸すよ」

今思えば傘一つとクラッチバックの彼が傘を二つ持っていないことなどかんたんに見抜けましたがあの時の私はまだそんなに仲良くない人との会話を早く切り上げたかったという思いで彼に傘を借りてその場を逃げるように去ってしまいました。

その次の日、彼は風邪で学校を休んでしまいました。

友達に彼の家を聞き、風邪薬と栄養ドリンクを買い彼の家に出向きました。彼は驚いた顔をしていましたが、快く私を家に入れてくれそれからは他愛もない話をしました。それが私と彼の出逢いです。



第2章

僕と彼女の出逢いは大学だったと思う。僕は自分でも自分がよくわからない。そんな僕に僅かながらでも光を当ててくれたのは彼女でした。

幼い時に父と母が離婚をしたので母が女手一つで育ててくれました。母が必死に働いて、習字、武道、水泳、塾、バスケットボールなどたくさんの習い事をさせてくれたので小学校では他の子よりできることが多く周りの大人の人によく褒めてもらいました。褒められるのが当たり前で育ってきたので褒められなくなることに不安を抱えていました。そのため、僕は人より努力をしました。本当は平凡なのに天才に思われたくて、周りの子が遊んでるのに必死に勉強をしました。

ニコニコするのは僕の癖です。僕はこの癖が大嫌いです。みんなの笑顔とは違うんです。僕のは嘘の笑顔でも染み付いた癖は直りませんし、もう直そうとも思っていません。 恋愛は長くは続いた試しがありません。飽きられるのが怖いので3ヶ月もしないうちにわかれてしまいます。僕はきっと臆病なのです。そんな僕とは対照的に彼女は家族に愛され、周りに愛され伸び伸び生きてきたんでしょう。僕と彼女の出逢いは出来ることならなかったことにしたい。そしたら、彼女は人を殺さないで済んだのです。神様、お願いです。彼女を解放してあげてください。

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