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名探偵・藤崎誠シリーズ

MSの野望2 マック救済計画

作者: さきら天悟

名探偵藤崎誠シリーズなので、一応推理にしました。

ちょっと違和感がありますが。

みなさんんも彼が何を発明したのか推理してみてください。

ふむ~、と言いたげな顔を彼はした。

目を閉じ、少し口角を上げる。

パッと目を開けた。

鋭い眼光が宿っていた。

彼は自称、マッドサイエンティスト、

また何かを企んでいるようだ。


彼はコーヒーの香りを堪能した後、

砂糖を流し込み、マドラーでかき混ぜた。

そしてミルクを入れ、白い渦模様が自然に拡散するのを楽しんだ。

言っておくが、彼はブラック派だ。

しかし、Mサイズのコーヒーには砂糖を入れるのが習慣だった。


一口飲んだ後、続いて頬張った。

笑みがこぼれる。

この絶妙なバランス・・・

いや、アンバランスがいい。

肉の塩味とバンズの甘さ。

もちろんハンバーガーではない。

マックグリドルソーセージだ。

メイプルシロップが甘いバンズが妙に合うのだ。

彼はこの発想が好きだった。

意外な二つの物を組み合わせる。

それは発明にも通じることだった。

咀嚼し、コーヒーで流し込む。

彼は幸せに浸り、椅子の背もたれに体を預け、伸びをした。


どころが、彼の幸せはそこまでだった。

顔をしかめる。

彼の前に広がる光景は寂しい物だった。

客が少ない。

確かにこの時間は平日の午前中。

混む時間ではなかったが、以前のマックでは考えられなかった。

その客を見てもコーヒーを片手に新聞を読んでした。


彼はナゲットをつまみ、マスタードを付け、口に放り込んだ。

このナゲットの注文は少しでもマックに貢献しようと思ったからだった。

でも+50円、朝マックをナゲットに変更しただけだ。

彼は天才だったが貧乏だった。

以前の彼は100円コーヒーで2、3時間粘っていたが、

先の発明で少し金が入って、懐に余裕があったのだ。


「マックを救う発明をしてやるッ」

彼は拳を握りしめた。

だが、彼は料理は苦手だった。

良いメニューなど思いつくはずもなかった。

すでに一時間が過ぎていた。

彼は30分以上自分の頭の中でさ迷っていた。

もし店が混んでいたなら、異様な彼に誰が気付いていただろう。

喉の渇きを覚えたようだ。

コーヒーをすする。

その時、彼の目が見開いた。

「これだッ」

また、彼が停止する。

「エネルギー・・・」

彼は何か探そうと周りを見渡した。

しかし、スマホを見つめる客しかいなかった。

彼は満足そうな顔をした。

そして、ノートに勢いよくペンを走らせた。




それから、3ヶ月が経った。

彼はソファに体を預け、テーブルの上の発明品を眺めた。

ようやう完成したのだった。

出来も満足いくもので、シルバーの輝きが美しい。

高貴な雰囲気さえ醸し出している。

その時、ノックする音がした。


「こんどは何を作ったんだ?」

男は部屋に入ってくるなり言った。

彼は何も告げずに男を呼び出したのだが、

相変わらず察しが良い。

とは言っても彼の用事と言ったら、発明品の披露しかなかった。


「藤崎、いいモノを作ったんだ」


男の名は藤崎誠、自称、名探偵である。

藤崎はテーブルの発明品を手に取った。

「美しいな~」

一言漏らした。


彼は満足げに藤崎を見つめ、次の質問を待った。

藤崎でもこれの機能は分かるまい、と心で思っているように。


藤崎は重さを確認したり、材質を確認したりしようと

そのモノを撫でたり、掲げたりした。

藤崎の目が一瞬輝いた。

何もかも悟ったように。

でも、彼にそれを見せまいとした。


「これで何をするつもりだ?」

藤崎は「どういう機能だ」とは聞かなかった。

すべてを見に抜いているように。


「これでマックを救うんんだ!」


「ありがちだな」

藤崎の悪い癖だ。

良い物と分かっていても、最初はわざと嫌味を言ってしまう。

これが彼女ができない原因でもあるようだ。


「バカ言うな。

これは完璧なコップだ」


藤崎は彼がむきになる様子を見るのが好きだった。

藤崎は自分なりに発明品の推理をした。


「これは保温できるコップだろう」


藤崎の言葉に彼は一つ頷く。


「熱さとか冷たさを保つ・・・」

藤崎はコップの縁を親指と人差し指で摩る。

「二重構造、中が真空になっていて、

断熱するんだろう?」


「甘いな、藤崎。

それでも名探偵か」


藤崎はもう一度シルバーに輝く金属製のコップを掲げる。

少し重い。

美しさと相まり、重厚感さえと言えるものだった。


「もしかして、温度を維持できるのか?」

藤崎は驚いて、彼の顔を見た。


「そうだ完璧なコップだ」


「でも、そうなると外部からエネルギーを供給してやる必要がある。

まさかテーブルに仕掛けがしてあるのか?

IH調理器みたいに」


「そんなことするわけないだろう。

テーブルからエネルギーを供給するみたいなブサイクなことするか。

それじゃあ、他の所で使えないだろう。

まあエネルギーを供給して温度を保つのは正解だがな。

さすが名探偵だな」


藤崎は一つ手を打つ。

「じゃあ、温度差か?

人間の体温を利用するんだろう?」


藤崎が言っているのは、ある金属化合物に温度差が生じると電位が発生するというメカニズムだ。


「違うな。

それも考えたが、ずっとコップを持っていないだろう」


「じゃあなんだ?

そうかバッテリーだ。

バッテリーか電池が組み込まれているんだろう」


「半分正解だ。

バッテリーは内蔵されている」

彼は次の藤崎の答えを待った。

藤崎は鋭い目をして、一点を見つめていた。


「正解はな・・・」

彼は藤崎の様子を見て、自ら口火を切った。

藤崎なら相手が降参と言うまで、答えを明かそうとしないだろうが。

彼は藤崎ほど性格が悪くはなかった。

というよりお人よしだ。


「このコップは三層になっている。

断熱、制御、バッテリーの。

最初の温度を検知して、熱や冷気を加えて温度を維持する仕組みだ」

彼は大事な所を明かさなかった。

藤崎との付き合いで少し嫌味な部分が移ったようだ。


「だからエネルギーは何だ?」


「これだよ」

彼はスマホを手に取って掲げた。


「電波か」

藤崎はよやくコップのエネルギー源を理解した。

コップがアンテナ構造になっていて、

受信した電波を電源に変えるという。



「これならアイスコーヒーもホットコーヒーも

最後まで美味しく飲める」


彼は自分の机の上のコップを藤崎に渡した。

藤崎はコップに口を付ける。

二人が話し出し、既に30分以上経っていたが、

氷が入っていないアイスコーヒーは冷たかった。


「これをマックで使えば、お客さんで賑わうようにようになるだろう」

彼は自慢げに言った。


「本気か?」

藤崎の言葉に彼は不思議そうな顔をした。

「これ1個いくらするんだ?」


「200万円。

100円パソコンの儲け全部使っちゃった。

試作品10個しか作れなかった。

でも、大量な受注が入れば、1個5万くらいにできるぞ」


「これをマックで使ったらどうなるか想像できないのか」


彼は不思議象な顔をするだけだった。

「どうなる?」


「みんな持って帰っちゃうだろう。

大損で、店は潰れちゃうぞ」

藤崎は優しくさとす様に言った。


「それが狙いなんだよ」

彼は不敵な笑みを浮かべた。


「どういうことだ?」


「犯人を捕まえて損害賠償請求をするんだ」


「まさか・・・」

藤崎はコップを取り上げ、

ひっくり返して底を除いた。

特に何もない。

「GPSが付いているのか」


「そうだ。

簡単に犯人を見つけられる。

それで訴訟を起こせば儲かるだろう」


「バカヤロー!

マックがそんなことできるわけないだろう」


「そうなのか・・・」


「そうだ」


藤崎の言葉に彼は肩を落とした。


そんな彼を見て、藤崎は腕を組み考えた。

藤崎の顔がクッと上がった。

腕を胸に当てる。

「名探偵にお任せあれ」

藤崎は頭を深く頭を下げる。

「俺の知り合いで買ってくれそうな所がある。

でもそれにはある機能を付けて欲しい」

藤崎は部屋に二人しかいないにもかかわらず、辺りを見渡した。

そして耳打ちした。


彼の顔色が変わった。

「バカにするな。

これは完璧なコップだぞ」

彼は部屋を出て行った。







3ヶ月後、彼は400個のコップを藤崎経由である機関に納入していた。

1個20万円という高値で。

そのコップは外交官のパティ―で使用された。

そのコップはジャパニーズクールと評判を呼び、

パティ―が終わると必ず10個程度紛失した。


という情報を得た藤崎は彼に話してやった。


「日本の外交に役立っているそうだぞ」

藤崎は彼に言った。


「日本を救っても、マックがな・・・」

彼には興味がなかった。


「でも、驚いたな。

あの機能が既に付いていたなんて」


「だから言ったろ。

完璧なコップだって

盗聴機能なんか当然だ」

あの時彼が突然部屋を出て行ったのは、

盗聴機能を証明するためだった。

彼が部屋を出た後の藤崎の独り言を彼は藤崎に伝えたのだった。


「ああ、それから言い忘れてた」


「なんだ?

カメラも付いてるとでも言いたいのか」

藤崎は冗談ぽく言った。


「当たり前だろう。

他にも・・・」


「まさか・・・

ば・・・」

藤崎は耳を抑え、もう聞きたくない格好をした。

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