アンとあんこ
これは和菓子屋の娘、あんこと洋菓子屋の娘アンの物語である。
私、高見あんこは地元で有名な和菓子屋「高宮」の娘で普段は店の手伝いやお菓子作り、お菓子の研究(味見)をしています。友達には大食いとか言われますが私自身そんなに食べていないと思います。
さて、今日は10時オープンの洋菓子屋にでも行こうかな。家から徒歩5分ほどで洋菓子屋に到着。
新しくできた洋菓子屋は外装がとてもきれいでとても興奮した。私は新しいお菓子が食べれるかもしれないという好奇心に満ち溢れた。扉を開くと洋菓子の匂い。店内はカフェスペースと販売スペースに分けられていた。私はカフェコーナーに入り、メニューを見た。様々な洋菓子が書いてあるが、ドリンクは紅茶しかなかった洋菓子とあう飲み物だからだろうか。私は少し疑問を抱きつつ、紅茶と
シュークリームを注文した。しばらくすると金髪の美少女が私のテーブルにケーキと紅茶を運んできた。
「こちら、シュークリームと紅茶になります。ど、どうぞごゆっくりっ」
金髪の美少女は初々しさのかたまりのようで慣れていない感じがまた可愛かった。
背はあまり高くなく、私よりも小さかった。感覚はまるで自分の妹のようだった。
私は美少女に夢中になっていたためにシュークリームと紅茶の存在を少しの間忘れていた。
気づいた時には紅茶が冷めており、自分がどれだけ夢中になっていたかがわかった。
私が食べ終わり、店内から出ようとしたとき、美少女がペコリとお辞儀をした。
このとき、私は毎日店に来ることを決意した。あくまで、客と店員という関係だが彼女の一所懸命な姿を見たいと思った。
次の日
私は開店時間と同時にあの店に行った。最初はお菓子に興味がありあの店に行ったのだが、その興味の対象は変わっていた。メニューは当然昨日と同じだ。今日もあの美少女が私のテーブルにシュークリームと紅茶を運んでくれた。今日はこの光景をみるだけで終わってしまったが明日こそはと思った。
二週間後
ついに関係の変化が訪れた。私はここに通い始めてから、同じメニューと同じ時間帯に行っているため、
彼女が私を待つようになり、会話もするようになった。
「ちょっとお時間いいですか?」と彼女が話しかけてきた。わたしはもちろんと答えた。
「なんでいつも同じメニューと同じ時間帯にいらっしゃるのですか?」
「それはね。あなたと私が出会うことができたメニューだしこの時間に行けば会えるっていうことかな」
「私のこと好きなんですか?」
「そうかもね。最初はお菓子に興味があんたんだけどね。いつの間にか興味が変わってた。」
「う、うれしいです。」彼女は照れていて顔が赤くなっている。私はえっ、と思った。
「実はお客様はあなたしか来なかったんです。来てくれるお客様はみんなお持ち帰りでお菓子をかっていくので、あなたがいつ来るんだろうと楽しみにしていました。客ではなく一人の女性として」彼女は再び赤面している。
「私、これからも通うよ。あなたのことが見たいしね。私の名前はあんこあなたの名前は?」
「私はアンです。あんこっていい名前ですね。」
「ありがとう。でも敬語はやめてほしいな。」
「うん。じゃあこれからはあんこと呼んでいい?」
うん。と私は答えた。
「あんこ、明日も来てくれるよね。指切りげんまんしよ」
いいよと私は答え、全力で指切りした。
「今日はそろそろ行くよ。また明日アン」
「うん。また明日あんこ」
私は満面の笑みで店を出た。