暴食暴食
「光ちゃん。」
と私を呼んだのは由紀子ちゃん。
「どうしたの。」
「ちょっと光浜に頼みたいことがあってきたんだけど・・・。」
「・・・何。」
「家の庭の掃除をやってもらいたいんだ。」
という申し出があった。別に馬頭来旨ことじゃない。こう品はれっきとしたパンダ。食べ物はさっきも言ったが竹だけじゃない。掃除してほしいのは庭。こうなったら何をしてほしいかはわかるだろうな・・・。
「分かったよ。光浜。今日のお昼ご飯食べに行こう。」
私は光浜を手のひらに乗っけて、家を出た。
由紀子ちゃんの家に着くとちょっと草が生い茂ってしまった庭があった。
「これ食べてほしいんだ。」
「光浜。食べてほしいんだって。」
「お父さんたちも面倒くさがってたから、こんなになっちゃったんだけど、大丈夫。食べれるかなぁ・・・。」
「大丈夫じゃない・・・。」
光浜を庭の降ろすと、光浜は草まで走って行った。そして、草野前で座ると一つの草を自分で手繰り寄せて、食べ始める。その草が折れてなくなるのはほんの一瞬。そして、また移動して、次の草。また移動して次の草。またまた移動して次の草。これを繰り返していくと、だんだんと庭がきれいになっていく。アッ。食べていい草と食べちゃいけない気が分かってるかって。多分分かっているんだと思う。
「そう言えばクルミは。」
ふと思いだしたことがあった。クルミとは由紀子ちゃんが飼っているプチパンダの名前。光浜も暴食なのだけど、クルミちゃんも暴食は変わりない。
「クルミは光浜に来てもらう前に掃除を頼んだんだけど、頼んだとたんに寝ちゃって。いいよねぇ。パンダって。」
「・・・。」
私は光浜のいる庭を見てみた。どんどんきれいになっている庭は草なんて生い茂んなくなっていた。ていうか、座って行儀よく掃除をしている光浜の姿を見ることができるぐらいに掃除されている。
「はぁぁぁぁぁ。」
光浜がちょっと声をあげたかと思うと、光浜は後ろに倒れた。いつものことだしあわてることはない。寝たんだ。
「寝ちゃったの。」
「うん。」
「いいなぁ。あたしもパンダにでも生まれたかったなぁ・・・。」
「・・・。」
光浜はちゃんと役にも立っているんだよ。ただのカワイイ動くぬいぐるみだなんて思わないでね。
普段のエサ代が大変そうだけど・・・。
なお、プチパンダは食いだめができます。そして、一度に食べる量も多いです。1年分の草なら一食ぐらいです。




