第6話 核の刺客
1968年8月20日…
「ソ連が来たぞ!」
T-54、T-55中戦車、T-10重戦車が猛スピードでチェコの街へ突撃する。それに合わせソ連軍も進軍した。
チェコ事件である。
ソ連軍はチェコスロバキアに侵攻。チェコスロバキア社会主義共和国として生まれ変わることとなる。
裏ではミズガルズが動いていた。
ミズガルズ本部…
「無事チェコに侵攻したようだな。よくやった」
「感謝の極みです」
満足そうなダークエルフだが、鬼のような顔をしたままだった。
「カスピエル」
「ただいま戻りました」
ダークエルフがカスピエルを呼ぶと、首にナイフを当てる。
「J-7の資料が盗まれたようだな?」
「は、はい…申し訳ありません。私の失態です」
「資料はお前の弟子であるトピェレツが持って来るはずだったが、一気に作戦内容が狂った。急遽、監視部隊を攻撃用に使ったが、逃げられている。どうするつもりだ?」
「で、ですが、奴らの場所は知れました!絶対に取り返します!」
「当たり前だ。だが、お前は信頼できない。今回の失態は我々にとっても大きい。ここで挽回のチャンスを与えようではないか。サマエル。この失態を消せ。見事、消すことができれば、再び新たな任務を与えよう」
東ドイツ…
「シュタージに見つかるなよ」
一般人に化けた東ドイツの秘密警察シュタージが色んなところで監視している。
一般人に変装しながら俺らはマンションやアパートの屋根を歩いていく。雷雨の滴りが俺らを
「デミヒューマン。降りるぞ」
雨樋を伝って降りると、地下へ通じる階段を下りた。
階段を下りた先には、東ドイツ兵が警備をしていた。
「結構狭いね…。ショットガンの方が良かったんじゃない?」
「人数は15人ぐらいだ…。確かに、この狭さはショットガンの方が良かったな」
ピストルの引き金を引いて突入に備える。
「デミヒューマン。準備はいいな?」
「いいよ先輩」
「いっせーの」
息を合わせ警備を一気に2人銃で撃ち殺す。
ドアを開け、次々兵士を射殺。敵は反抗することもなく斃されていった。
「最後の部屋だ。この先にW54とデイビー・クロケットがあるはず」
ドアを蹴って突入すると、スーツを着た人物がMPi-Kを構えて撃ってきた。すぐさま戻って隠れる。
「ミズガルズの連中だよね」
「多分な。あのスーツも防弾仕様だろう」
火薬も入っていないグレネードの室内に入れる。ミズガルズのエージェントが地面に伏せると、俺らは2人で頭を1発撃ち始末した。
「見て先輩。あれが例のブツだよね…」
箱を開けてみると、ロケットランチャーと小さな爆弾が入っていた。
「間違いない…これがW54とデイビー・クロケットだ」
「そこまでにしてもらおうか」
後ろから声がして振り向くと、エージェントと思われる人物がいた。
「…スタニスラフ!」
デミヒューマンがまるで狂犬のような目つきに変わった。
「資料も頂かれたもんだから、急遽こちらに配属になってしまったよ。さぁ、大人しく降参するんだな」
アクリスがCQCを仕掛ける。
ナイフを取り出し首に刺そうとするが、スタニスラフはアクリルの手を持ち勢いを利用して顔に刺そうとした。ギリギリで回避して銃を飛ばした。
「デミヒューマン!」
僕は銃を持ちスタニスラフに向ける。
「無駄だ!」
スタニスラフが僕に蹴りを入れようと靴を向けて来た途端、靴からナイフが飛び出て来た。銃を離し防ごうとした手が切れ出血する。
「いったっ…」
僕達は思った。
こいつ、かなりのやり手だ…!
スタニスラフがアクリスを殴ろうと拳を出すと、素早くスタニスラフの手を取り、手の甲を掴んで捻り倒そうとするが、それを逆手に、倒されそうになったところを空中で回転してアクリスの手を取り倒した。
「なんっ…げほっ…だと!?」
僕も銃を拾い応戦するが、防弾スーツに防がれ近づかれた。咄嗟に靴のナイフを作動させ足に蹴りを入れようとするがジャンプで交わされ、顔を思いっきり殴られた。
「まだだ!」
アクリスが起き上がりナイフを突き刺す。スタニスラフの頬を少し切ると、そのまま腕を掴まれ足を崩され回りながら倒れてしまった。
僕も起きてナイフで飛びかかるが、スタニスラフは両手を使い覇気で吹き飛ばすかのように僕は吹っ飛んだ。そのままダンボールに突っ込む。
「馬鹿め。近接戦闘はお前らより上だ。経験の差が違うのだよ」
アクリス先輩が飛び起きてナイフで切ろうとするが、防弾スーツに防がれる。
「今だ!デミヒューマン!」
「はい先輩!」
僕は一気にアクリス先輩の背中に乗ってスタニスラフに向かってダイブした。
「味方を踏み台にした!?」
「どりゃぁ!」
そのまま押し倒しナイフを首に当てる。
「負けだよ…スタニスラフ!」
だが、デミヒューマンには疑問が浮かび上がった。体つきが男じゃない…。
「…男の名前なのに…女?」
「…男の名前で何が悪い…!」
反撃を試みるスタニスラフだが、腕も脚も固定されてしまう。
「なぜこんな事をするの?」
「私にとって復讐のためだ!…私のお母さんの仇だ!」