EX
1962年、アメリカ…
僕はまだ覚えていた。
アクリス先輩との育成期間で食べたプリン。人気もなく客も少ない飲食店。アクリス先輩は常連で、よくポークビーンズを食べていた。
「腹が…減った」
「ボクもー…」
人が行き交う中、俺とデミヒューマンは空腹に襲われていた。
「よし。じゃあ、俺のお気に入りの店に行くか」
店に入り、大将が迎えた。
店内には客はおらず、見た目も古い。
「いらっしゃい。お前か?」
「ああ。久しぶりだな」
「…んぁ?その子は…?」
「俺の弟子だ」
「弟子?なんの?」
「それは教えられん」
「…ま、昔からの親友だ。詳しくは聞かないでおこう。で、何食べる?」
「いつもの。こいつには小さい方を頼む」
「あいよ。好きなとこ座って待ってなー」
大将が鼻歌を歌いながらフライパンに火をつけ、ベーコン、玉ねぎ、ニンジン、豚肉、トマトケチャップと、材料を入れていく。
料理し終わり、届いたポークビーンズを食べる。
「おいしいっ!」
デミヒューマンの目が輝いた。こんなに美味いものが世の中にはあるのかと。
「そうだろう!俺の作るポークビーンズは絶品だ!よくわかってるじゃないか!」
ポークビーンズを食べ終わると、会計しようと財布を出した。
しかし、デミヒューマンの様子が変なのである。
「どうした?」
「いやっ!?あの…なんでも…ない」
チラチラと、メニュー表を見ていた。
「…プリン作れるか?」
「プリン?材料は…足りるな。ちょっと待ってろ」
デミヒューマンは驚いていた。なんで分かったんだと。
「食べたかったんだろ?」
「うん!」
目を輝かせて俺を見るその目は、心を奪った。こんなにも子供ってのは可愛いのか…?
「はいお待ち」
普通のプリンだ。ただの普通のプリン。でも、それが特別に見える。子供はそうなんだ。
パクっと、ボクはプリンを食べた。あのプリンは美味しかった。なんの変哲もないプリン。
ゼラチンで固まったプリンを掬うと、見た目に反してポヨンとすることもなく、形を保つ。
スプーンで掬ったプリンを口の中に入れ、食べる。
甘い香りと卵、カラメルの味がしっかりと伝わり、そのクリーミーさとコクが口の中に広がった。
ほっぺたが蕩けそう…。
「美味いか?」
「うん!ずこーく美味しい!」
「そうか。なら良かった」
「先輩!」
「どうした?」
「ありがとーっ!」
ニコッと笑ったその顔は、俺の心を一瞬で奪った。子供が好きな人はこういう事が理由で好きになってしまうのか…?
会計をし、店を後にした。
「先輩!ボクまた来たい!」
「よし。じゃあまた来ようか」
「うん!」
こうして、ニヴルヘイムの本部に帰った。
ごめんなさい昨日で最終話だったんですけど、最近観ちゃった『孤独のグルメ』と『1日外出録ハンチョウ』に影響されて書いちゃいました。飯テロってすごいや。
プリンはいいぞ。




