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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【短編版】異世界転生を果たした僕、天使から貰った『ギャグ補正』でシリアスぶっ壊して無双しまくる!!

作者: 銀色の侍

今回は書籍化の決定に伴い少し前から考えていた設定のファンタジー作品を投稿してみました。ハッキリ言って頭を空っぽにしなければこの作品は受け入れる事ができません。執筆中には正直自分でも思わず何度か笑ってしまいました(笑)。連載版にしようかと思ったのですが主人公が制御不能すぎてまずはお試しで短編にしてみます。


 ああ……どうして僕の人生はこんなにもつまらないのかな……。


 その少年、聖自誠(せいじまこと)は自身の人生を心の底からつまらない物だと吐き捨てていた。


 産まれた瞬間から彼は生活において何一つ不自由の無い暮らしを約束されていた。大企業の一人息子として生を受けその生活水準は潤い続けていた。だが彼は他の同年代の子供と比べて圧倒的に〝自由〟が不足していたと言えるだろう。


 いつだってそうだ。友達と遊ぶことなど許されず勉強や多様な習い事を両親は強いた。普通の子供の様に遊ぶこともできなければ友達だって作れない。


 『レベルの低い連中など気にする必要はない。お前はいずれこの私の後を継ぐ事だけを考えて生きろ』


 『あなたはパパの様な成功者になる為に自分を磨く事だけ考えなさい。それだけが私の願いなのだから』


 父も母もそう言って自分の意志など聞かず進むべき道を強制した。

 だが子供は決して親の道具なんかじゃない。僕だってやりたい事、求めている事だって1つや2つ、いやもっといっぱいあるんだ。


 だがその訴えは両親にはまるで届かなかった。二人はいつだって我が子の意志などに耳を貸さなかった。

 

 どうして……どうして僕ばかりこんな苦しまなきゃいけないんだよ……!!


 どれだけ莫大な資産のある家系に生まれようが彼は人一倍窮屈な生活を強いられ続けた。自分の本心を何度も何度も殺しその都度に心はすり減った。

 もしも両親が自分の頑張りを少しは褒めてくれたのなら耐えれたのかもしれない。だが自分が親の言いなりとなり優秀な成績を収め、数々の功績を残しても家族の送る言葉は決まっていた。


 『そのまま自分を高め続けろ。お前にはそれだけの才があるんだからな。今後も我々の血筋に泥を塗るんじゃないぞ』


 なんだよ…なんで『よくやったな』の一言もくれないんだよ? せめて…せめて努力して得た結果ぐらいは褒めてくれよ……。


 何一つ自由を与えれない十六年の人生に誠の心は遂に砕けてしまった。

 

 気が付けば誠は学校の屋上のフェンスをよじ登っていた。


 もう……こんな人生嫌だ。次に生まれ変わったらもっと〝自由〟に生きたいなぁ……。


 こんな強制を強いられる生活など奴隷同然、まだ長い残りの人生を親に縛り付けられて生きる事を想像するだけでもう吐きそうだ。それならもう終わらせて次の人生を選ぼう。

 あの世に行けば天国や地獄があるのだろうか? それとも本当に生まれ変わりがあるのだろうか?


 気が付けば誠は一切躊躇なく屋上から飛び降りていた。


 一瞬の浮遊感の直後、重力に引っ張られて体は一気に地上へと下降していく。

 迫りくる地面をつまらなそうに見つめながら最後に脳裏に浮かんだのは何故か小学生の頃に見た『ギャグアニメ』だった。支離滅裂な内容でギャグが満載のアニメ、思えば自分が心から爆笑した事はあのアニメを見ていた時だった気がする。


 ああ……もし生まれ変わったらあんな風にはっちゃけて生きてみたいなぁ……。


 その直後に地上へと落下した彼の視界は全て闇に染まっていった……。



 ◇◇◇



 ………あれ………生きている……?


 ブラックアウトしていた思考が次第に冴えて行き誠は目が覚めた。

 顔を上げて周囲を見るとそこは見た事もない場所だった。周囲がまるで宇宙空間のようになっておりその世界で自分はプカプカと漂っている。


 「ようやく目が覚めたようですね聖自誠さん」


 鼓膜でなく直接脳内に響くその声に驚いていると頭上から1人の女性が舞い降りて来た。


 て…天使……なのか? 頭の上には輪っかがあるしそれに翼生えてるし……。


 まるでコスプレとしか思えない恰好の女性は微笑を浮かべたまま誠の前に降りると口を開いた。


 「私は神に仕える天使の1人です。あなたを別の異世界に転生させる為に遣わされた者です」


 「い…異世界に転生?」


 「はい、聖自誠さん。あなたは現世で自殺により命を落としましたね。実は黄泉の国にとってその死因は少々困るのです」


 どうやらこの天使が言うには本来は人は死ねば天国と地獄、そのどちらかに振り分けられるらしい。だが天寿を全うする事以外の死因は死後の天国と地獄のどちらに送るかの判断に困るらしい。大きな悪行を働いている者、善行を積んだ者ならば途中死後でも天国と地獄に振り分けられるらしい。だが自分のように若く死に、しかも天国と地獄のどちらの沙汰を与えるか判断材料が少ない場合は第二の人生を送らせるらしい。

  

 「それって僕が地獄に行く可能性も考慮できるって事ですか?」


 生前では別に悪事を働いた事が無い身としては地獄行きも迷い難しと言われるのは心外だ。

 

 「確かに死ぬ直線まであなたは非道と思われる行為は働いていません。しかし自殺と言う死に方は死後に多くの人間に迷惑を掛けるのです。あなたが自殺した学校側にも多大に迷惑が掛かるとは思いませんでしたか?」


 そう言われてしまうと何も言い返せなかった。ハッキリ言って死んだ後の世界について何て深く考えず自殺したが親はともかく学校には多大な迷惑を残してしまった。


 自分の軽率さに後悔していると女神が少し慌てながらこんな事を言って来た。


 「ま、まぁそれだけであなたが地獄行きと決めるのは神様も軽率と思われたのであなたには異世界転生の権利が与えられました。その第二の世界のあなたの行動で次は天国か地獄かを判断するそうです」


 「異世界かぁ……まぁ元の世界よりはマシなのかな」


 「え~っと…多分楽しめるとは思いますよ。調べてみましたが誠さんの向かう世界はモンスターや魔法だってあるファンタジーな世界です。それに異世界転生者には特別に1つチートスキルを授けています」


 それなら元の世界よりは窮屈な思いはしないで済むのかもしれない。それに魔法やモンスターと言う単語は中々に心をくすぐってくれる。元の世界ではそんなものなど空想世界のものだったから生で見れるのなら感激だ。


 「それでは転生前に手にするチートスキルをこの中から選んでください!」


 そう言うと天使が指を鳴らすと空中に大量のスキルの名前が記された紙が展開された。1枚1枚の紙にはスキル名とその能力が記載されている。


 その中で誠がとても興味を惹かれたスキルがあった。


 「このスキル気になるな。えっと…スキル名は『ギャグ補正』……」


 スキルの詳しい詳細を確かめてみるとこのスキルはハッキリ言って何でもありと言えた。簡潔に述べるなら元の世界のギャグ漫画のキャラクターの様な力が使えると言う能力だ。


 死んでも普通に生き返る、体が液体の様に溶けたり巨大化したりする、どこからともなく武器を出す……これ無敵のスキルなんじゃ……。


 この『ギャグ補正』は他に用意されているスキルを全て詰め込んでいる贅沢スキルと言える。だがこのスキルに興味を抱いている天使は何故か渋面を浮かべている。


 「あー…そのスキルは確かに凄まじいんですけどあまりお勧めできないですかねぇ~…」


 「どうしてですか? これって言ってしまえばどんな事でも可能にするスキルなんじゃ……」


 「確かにそうなんですけど欠点もあるんです。一番最後に書かれている注意書きを見てみてください」


 言われるがままに目を通すとデカデカとこの能力のデメリットが書かれていた。


 ――ただしこのスキルを所持した者は『はっちゃけた』性格になってしまいます。


 「……あの、何だか意味が良く分からないデメリットなんですけど……」


 「う~んどういえばいいですかねぇ。例えばシリアスな空気も平然と壊して自由気ままに振る舞い続けるキャラになると言えばいいでしょうか。まあ制御不能な自由過ぎる性格になってしまうと思ってください。現実世界では確実に『うわっ、コイツうざいんですけど!』と思われる人間になると言うかぁ……」


 この説明を受ければ普通の人間なら他のスキルにしようとするだろう。


 だが今の天使の説明を受けた誠は迷うことなくこのスキルを選択した。


 「お願いします天使様! このスキルを僕に授けてください!!」


 「ええっ、本気ですか!? 『ギャグ補正』ですよ! はっちゃけた性格になるんですよ!」


 「むしろそうなりたいです! もう元の世界のような我慢をし続ける自分は捨ててしまいたいんです!!」


 「わ、分かりました。本人がそれで良いと言うなら止めはしません。ではこの『ギャグ補正』のスキルをあなたに授けます」


 そう言うと誠の手に持っていた紙が燃え上がり消えてしまう。


 「これで異世界に着くと同時にあなたはこのスキルを使えるようになります。あとついでに異世界に行くと同時に性格もはっちゃけると思いますので……」


 「はいありがとうございます!」


 「まさかこのスキルが選ばれる日が来るとは……それでは聖自誠さん。あなたを異世界へと転送します。第二の人生を謳歌してください」


 そう言うと誠の足元に大きな穴が空き、その穴から放たれた光が彼を異世界へと転送したのだった。



 ◇◇◇



 「はあ…はあ……きゃあッ!?」


 「へへへ、どうやらここまでのようだなぁお嬢さ~ん」


 「うぅ~……」


 夜の森林の中で1人の少女が体格の良い男の手によって地面へと伏せられていた。

 その少女は特徴的な長い耳をしたエルフだった。金色の髪と宝石の様な緑の瞳、とても幻想的な姿だが今の彼女の恰好はお世辞には容姿のように美しいとは言えないだろう。特殊な首輪を付けられ、服装は布切れを1枚纏わせているだけ。


 そう、この少女は奴隷商から逃げ出したエルフ族の奴隷だった。


 「たくっ、ようやくお前の買い手が見つかったんだ。逃がす訳にはいかねぇよ」


 「うぐうう……離せぇ……」


 「へん、売値が下がると思って他の奴隷と違い今日まで優しくしてやったんだ。むしろ純潔すら維持してやった事に感謝してほしいぜ」


 「くっ、この下種。何が優しくよ……」


 狭い牢獄に閉じ込められて毎日与えられるのは最低限のパンとスープだけ。そんな生活を強いられて感謝など出来るわけもない。最後の大事な純潔だけは守り続けて来たが遂に買い手がついた以上はそれすら奪われる。


 ああ…誰でも良いから助けてよ……。


 悔しくて、怖ろしくて、なによりも許せなく少女は涙を零す。そんな彼女を見て取り押さえている男はゲラゲラとまた笑いやがる。

 そして現実はどこまでも無情だ。助けがやって来るどころから男の仲間まで合流して完全に詰みとなってしまう。


 「さて、それじゃあ俺達のお家に帰ろうか。まあお前はすぐに別の家のペットになるけどなぁ」


 そう言って男達がまたゲラゲラと汚らしく笑う。

 その不快な笑い声に下唇を噛んでいると急に男達の下卑た笑い声が途絶えた。


 え……なに…急にどうしたの?


 思わず男達の方を見てみると全員が前方を訝し気に見つめていた。その視線に釣られて少女も視線を移動させてみればそこには1人の少年がこちらへと歩いて来ていた。

 だがその人物を見て少女は喜びよりも落胆を感じてしまう。少し変わった服装をしているがどう見てもただの少年だ。何故こんな夜にこの場所を歩いているかは不明だが自分を救う事など無理だろう。


 「おいガキ何だお前は? 俺達は見ての通り忙しいだよ消えろ」


 少女を押さえつけている男がそう言うと何故か下から返事が返って来た。


 「いやああああ!! この僕をどこに連れ去ろうと言うの!?」


 「え…ああああッ!? 何でテメェが下にいんだよ!?」


 今まで少女を確かに押さえつけていたはず。それなのに気が付けば目の前に居た少年が男に組み伏せられており、そして逆に少女は離れた位置に立っていた。


 「え? は? え?」

 

 当然だがこの状況に少女も理解が追い付かない。だって気が付いたら男の拘束から抜け出ていたんだから。


 え……どうして私はここに居るの? もしかして彼が助けてくれた?


 「この僕にさてはいかがわしい事をするんでしょう!? この16歳の少年の引き締まった肉体に!!」


 「する訳ねぇだろうが! 一体テメェどうやってあの女と入れ替わりやがった!?」


 そう言うと男は飛び退いて即座に携帯していた短剣を抜いた。

 その凶刃はその少年の腹部へと突き刺さってしまう。


 ああっ、そんな!! 私を助けたせいで……!!


 自分の命を救ってくれた恩人の最期に思わず悲痛な声が漏れ出てしまう。

 

 そしてナイフが突き刺さると同時――何故か少年の体が爆発した。


 「うがあああああッ!?」

 

 「な、爆発したぞコイツ!?」


 少年が爆発した事で一番間近に居た剣を突き刺した男は黒焦げになってその場を倒れる。どうやら即死のようだ……。


 な、爆発って……まさか爆弾でも持っていたの!?


 だがこの状況はチャンスだ。とにかく爆発に気を取られている隙に逃げ出す!


 だが私は思わず足を止めてしまった。何故ならあり得ない光景が視界に入ってしまったから……。


 「いてて……」

 

 「なっ、コイツ普通に生きてるぞ!?」


 「何で自爆してケロッとしてんだよ!?」


 えっと……自爆したはずの少年が何故か普通に煙から出て来たんだけど……しかも髪の毛が異常にふくれてチリチリ状態で……。


 「あーびっくりした。急に刺すんだから思わず自爆しちゃったよ。いやー人間驚くとやっぱ自爆してしまうよなぁ」


 「するわけねーだろボケ!! てゆーかお前何者だ!!」


 自爆して無傷の少年に男達は一斉に武器を構える。

 あまりにも得体の知れないその少年は大量の武器に怯える様子も見せない。そしてまたしても奇怪な芸当をやって見せる。


 「目からビーム!」


 「ぎゃあああああああ!?」


 何と少年の目から桃色の光線が発射されて敵の1人へと撃ち抜いたのだ。


 目から光の魔法!? やっぱりさっきの爆発も彼の魔法だった……の……何アレ?


 少女の思考が停止したのも無理はないだろう。だって光線の当たった敵が煙を出したかと思うとヨボヨボのおじいさんになっていたんだから。


 「お、お前ジジイになってんぞ!? 大丈夫かオイ?」


 「おお登美子さん。昼ご飯はまだかいのぉ?」


 「俺トミコじゃねーし! 記憶まで狂ってんのか!?」

 

 「お年寄りに非道な事をするなぁ!!」


 「ぶべらぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 年寄りに変えた張本人の少年が何故か殴った。しかも殴られた相手は天高く吹っ飛んで星になった。


 な…さっきから頭の整理が追い付かないんだけど。でも少なくともあの少年ならこの窮地を……!!


 意味不明だが敵を圧倒する強さに少女が助かるかもと希望を持つ。

 だが相手もこのまま好き放題させる気はない。全員が武器を持ち一斉に数で襲い掛かる。


 「この意味不明なガキがァ!! 全身を串刺しにしてやんよぉ!!」


 そして男達の剣が少年の体を一斉に貫いた……と思ったら何故かその少年が溶けた。


 「なっ、コイツ液状になりやがったぞ!」


 「マジで何なんだよコイツの魔法は!!」


 先程から意味不明な魔法の数々に翻弄される敵達だが更に驚かされる事になる。

 液状となった少年が分離したかと思うとその分離した状態から全てが元の少年へと戻ったのだ。


 「「「「「「この悪党どもめ! よくも俺を溶かしやがったな!!!」」」」」」


 「分離しやがったぞコイツ!」


 「しかも溶けたのはお前の勝手だろ!!」


 「「「「「「喰らえ! 火炎攻撃~!!!」」」」」」

 

 そう言いながら少年たちは一斉に口を開けると〝雷撃〟を放って敵を感電させる。


 「火炎じゃなくて雷撃じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!!」


 そのツッコミ混じりの断末魔と共に雷撃を打たれた敵は全員が炭と化して散った。


 その光景を見て少女はもう目が点となり呆然とするしか出来なかった。


 い…色々と整理が追い付かない。なんなのあの出鱈目な戦闘は……。


 だが何はともあれ彼は自分を救ってくれた恩人だ。このまま立ち去るのも無礼だと思い少し警戒しつつも少女は助けてくた少年に頭を下げる。

 いつの間にかさっき大量に分裂していたのに1人に戻っていた。


 「あ、ありがとうございます。あなたのお陰で助かりました」


 「なーに気にするな。俺とお前の仲だろ」


 「えっ、どこかでお会いした事が……」


 「お前なんか知るか! この耳長少女がァッ!」


 「ええっ、自分から言ったくせに! しかも耳長って何よ! 私はエルフよエルフ!!」


 いやこいつ本当に何なの!? 色々と出鱈目すぎて話すだけで疲れるんだけど!!


 もうこのまま別れても問題ないかと思った彼女だったがここで少年がまた奇跡を見せる。


 「あっ、ところでその服じゃ色々見えて危なそうだな。代わりにこれを上げよう」


 そう言って少年が指を鳴らすとみすぼらしい布切れが一瞬でメイド服へと変わった。


 「あ、ありがとう。でも何でメイド服?」


 「決まっているだろ。これから君は僕の従者として色々この世界を案内してもらうからだ」


 「は、はあッ!? どうして私がそんな事をしなきゃ!!」


 「え~折角助けてあげたのにそういう事言うのかぁ? 僕が居なきゃ今頃あの連中に卑猥な事とかされそうだったのにぃ」


 「うぐっ…そ、それは……」


 「少しぐらいは恩返ししてくれてもいいんじゃないの? あんたもそう思うよな爺さん」


 「おおそうじゃのう。ところで登美子さん朝ごはんはまだかいのぉ」


 「アンタも私を奴隷として扱っていた1人でしょうが! しかも私トミコじゃないし!!」


 何だがまだ会話して数分なのに頭痛すらしてくる。

 だが実際のところこの少年に救われたのも事実。それにここで別れても自分に行く場所なんてない。


 それにこいつ、メチャクチャではあるけど強さは本物。そう考えれば追手が来る可能性も考えて一緒に居れば私も安全かしら。


 しばし悩んだ末に少女はこの少年としばし行動を共にする事を決意した。


 「分かったわよ。それであんたは私に何をさせたい訳?」


 「う~んそうだなぁ。とりあえず僕ってこの世界に来たばかりだからまずはこの世界について色々と教えてもらえる?」


 「はあ? この世界に来たばかりってどういう意味よ?」


 「まっ、いいからいいから、教えてくれよ登美子さん。あっ、ちなみの僕の名前は聖自誠ね」


 「トミコじゃない!! 私の名前はリーリアよ!!」


 こうしてこの日、異世界に転生して聖自誠は元の世界では押さえつけていた我慢を解放して自由奔放に振る舞い続けていく。

 そしてこのリーリアとの出会いを切っ掛けに彼はこの異世界を『ギャグ補正』で出鱈目に無双していく事となる。


 「ところで爺さんの名前は何? 登美子さんでいい?」


 「いやソイツは置いていけばいいでしょ。一応は悪いヤツなんだか……」


 そしてリーリアはこの奇行を連発する少年の行動にツッコミ続ける宿命をこの日から授かってしまうのだった。



この作品を呼んで笑ってくれたのならとても嬉しいです。ファンタジー作品の中でもギャグを強調する作品って新鮮で面白いかなぁと思って書いてみました。この続きを書くかどうかはまだ未定です。面白いと言う声が多ければ考えようと思っています。

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