うちの部長は考えすぎる 第一話 「出会い」
穏やかな高校生活を夢見ていた主人公は、受験面接をタトゥーをただ見せ続けて突破した考えすぎる変人・黒瀬千晴に出会い、半ば強引にオカルト部の設立に参加させられ入部させられる。
俺がこの高校に入って最も後悔したことの一つは、今俺の目の前にいる、入学式の段階から学内一の変人と称された同級生の黒瀬千晴とオカルト部を設立したことである。俺は穏やかな生活を送りたかったのだ。
俺は黒瀬と、入学式後の学校の中庭で出会った。黒瀬「ちょっと話があるんだけどいい?」俺「はい、良いですけど、あっ黒瀬さんですよね、もしかしてこの学校の受験面接でタトゥー見せてた人ですよね?、すでに学校中で噂になってますよ」黒瀬「いや、ね、面接官の裏の裏の裏をかける何か良いアイデアがないかなって考えている時に仁義系のドラマを見かけてこれ使えるってなってね」
俺「へぇ、でもそんなに考えなくても良いと思いますけどね、あとそれで仁義系のドラマって、『日本統一』とかですか?」
ちなみにこの時すでに俺は「黒瀬って考えすぎてバカみたいになるタイプの変人だなうんそうだな」と思っていた。
黒瀬「いやいやそんなことはどうでもいいって、私の言いたいことはそうじゃないんだよ、じゃあとりあえず一緒に来て」
俺「なんですかここは」俺が連れてこられた場所は学校の中でも辺境にある教室だった。
黒瀬「ここが、君の入る部活動の場所だよ」
そんなことを言われたが俺は納得がいかない。
俺「あのですね、まだ部活動紹介もしてもらってないんですよ?、ちょっと他の部活を見てからで良いですか?
っていうかここ何部ですか?何にもないですけど」
黒瀬「私が新しく作る予定のオカルト部だよ」
俺「オカルト部ですか、、まぁちょっと考えときますけど」
黒瀬「いや、絶対オカルトが似合うと思うな、なんかそういう雰囲気ぐんぐん出てるよ、私は入学式で君を人目見てから、オカルトに導かれし雰囲気というかそういうのを感じちゃったんだよね」
俺「どんな雰囲気ですか、、それって全然褒め言葉じゃないというか嬉しくないですよ、あと正直黒瀬さんみたいな変な人とオカルト部なんて変な部活に一緒にいたら最恐の化学反応で絶対にめちゃくちゃ変なことが起こりますよ、僕は穏やかな高校生活を送りたいんです、だからオカルト部は遠慮しときます」
黒瀬「さっきからはっきり言うね、まぁ何を言おうと、同じクラスになった私からは逃れられないからオカルト部に入るのは決定事項だよ、あとは丁寧語はやめてよ同じ部活動仲間なんだから」
俺「勝手に何言ってるんですか!勝手に部活動に入れないでくださいよ!あとタメ口は緊張しま、、、」
黒瀬「緊張しま?また丁寧語?丁寧語使っちゃうか、、せっかく同じクラスで仲良くなれそうなのに私は悲しいよ、もっとフランクで良いと思うけどなぁ、、、」
俺「ああ、はい、じゃあ例えば、おい、『黒瀬!聞けよ!俺の話を聞けよ!』こんな感じでいいですか?!」
黒瀬「うーん、何かが違うような、もうちょっと良い塩梅があるような、もっと声を大きく!」
俺「黒瀬!!聞けよ!!、俺の話を聞け!!」
黒瀬「もっと迫力出していこう!」
俺「黒瀬!!!!聞けよ!!!!!俺の話を聞け!!!!!!」
用務員のおっちゃん「黒瀬は私やが、何か、あったか?、声が聞こえたから来てみたんやが」
俺「いえ、、何もありません、人違いです、この横にいる方も黒瀬という苗字なので、、すみません」
用務員のおっちゃん「間違いか、いや、ええよええよ」
用務員のおっちゃんは去っていった。
黒瀬「ふふっ」
俺「黒瀬、ハメたな、、というか入学式当日の時点で用務員の人の苗字を把握してるとか鋭い奴だしまさかの黒瀬被りしてるなんて」
黒瀬「タメ口ってことは部活動に入ってくれるってことだよね?そうだよね?よろしくね!」
俺「いや、だから違う、、さっきと言ってること違いますよ!さっきはせっかく同じクラスで仲良くできそうだからタメ口でいいみたいな話だったじゃないですか!」
黒瀬「いや、そんなこと言ってないと思うんだけどなぁ」
俺「いや、言ってます!」
こんな感じで俺は黒瀬と出会ったのだ。
ちなみその後、黒瀬にあのタトゥー面接の詳細をこちらが聞いてもないのに教えてもらったが、右肩に「正義」左肩に「仁義」背中に「男の涙の味を知っていますか」と入れたシールタトゥーを見せながら質疑応答には無視し続けるという非常にけしからん面接を行ったにも関わらず、面接官にはどうやら深い感動と共感を与えたらしく合格をもらえたということだった。「どうやらこの学校の先生もだいぶ変人かもしれない」そう俺は思った。
そして翌日からも黒瀬は俺だけではなく様々な人に対して部活動への勧誘を積極的かつ狂気的に行っていった。その結果、今この瞬間から部長の黒瀬と俺を含む5人の、変人と変人にひっかかった者によるオカルト部の活動が始まろうとしているのだ。
黒瀬「早速だけど、みんな、探索するよ!」
黒瀬の言葉に俺はなんだか嫌な予感がプンプンしていた。