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日常

「おーい、田中。田中ってば」


俺は田中勉。塾みたいな名前をしているが人名だ。偏差値は65ぐらい。そこそこ上位なんだよ。



「おい、田中。聞いてるの?」


「あぁ、すまんな。低偏差値の声は聞こえないんだよ」


「何言ってるんだよ……しかも僕はそこそこ偏差値高いし」


「ああ、すまん。低いのは身長だったな」


「ア、ナニカイッタカ?」


「いえ、なんでもございません」


俺にずっっっっっっと話しかけているのは天川咲。顔面偏差値も高いとか勝ち組かよって思うのだが、いかんせん身長が低い。めっちゃ低い。あと、ボクっ娘。幼稚園からずっと一緒の学校に通ってきた。ストーカーなんじゃないだろうか?



「お前、ストーカーかよ」


「何いってんだい、ほんとに。質問に答えてもらっていいかな?」


「断る。ストーカーに個人情報は渡すなって言われてるから」


「今日ぐらい部活来てよ。どうせ暇でしょ?」


「あれ?俺、部活動やってたっけ?」



そんな面倒なもの入った覚えはないんだけどなぁ



「はぁ、君が創ったんだよね。ほら、入学して部活を決めるときにノリでオカルト研究部を創ったじゃないか」


「あぁ、そういえばそうだったな。部活動って自覚がなかったわ」



あの頃は神アニメに影響されてそういう部活が実際にはないことに絶望したんだっけ。それで自分たちで作ればいいみたいなノリになって……



「だからさぁ、部長。いい加減、部室に来て活動しよ」


「お前一人でよくね?」


「だるっ。どうしてそこまで固辞するんだい。僕だけ一人で部屋にいるんだ。しかも、オカルト系には詳しくないしずっと本読んでるだけなんだよ。だからさぁ、話し相手ぐらいにはなってよ」


「めんどくさいなぁ。行けばいいんでしょ、行けば。はぁ」











校舎の3階一番端の部屋が我が部室だ。昔は物置に使っていたらしいが、ヤンキーたちが勝手に使うことが多くなっていっそのこと部室にしたらしい。今だとみんな真面目だから物置に戻しても大丈夫だろう。まぁ、今の状態も半分物置みたいなものだが、鍵をかけなくても勝手に入るやつはいない。部屋に入ると所狭しと置かれた怪しげなもの。部費という好き勝手できる金が手に入り、それっぽいものを買い漁ったらこうなった。また、必要になるからと御札も買ってきた。御札、十字架、聖水の入った瓶、電磁波を測定するやつ、、、和洋折衷どころではない。他にも、魔法に関する様々な本が置かれている。



「ごちゃごちゃやなぁ」


「まぁ、適当に買ったからね。ようこそ、部長さん。僕が君を歓迎するよ」


「はいはい。ありがとうよ」



適当にものをどかしてパイプ椅子に無理やり座る。いやー、狭い。大きな机の上が全て意味不明なものだらけだ。



「それでね。今日呼んだのにはわけがあって」


「ん?」


「これをみてよ」



そう言って取り出したのは日本人形だ



「あぁ、幸子ね」


近くの神社で焼かれるところを掠め取って持ってきたやつだ。最初は髪が伸びるなんてすげーとかやっていたんだけどほんとにそれだけで呪われたり、動き出したりなんてしない。たまにカタカタいうだけだ。今では伸びる髪を使って、地球の燃料問題を解決できるのではとか思っている。論文も書いたけど先生に書き直せって言われた。ただ、髪の毛切って燃やすだけで資源の問題が解決できるのに……解せぬ。



「幸子がどうかしたの?」


名前は幸子だ。いつまでも日本人形とかいいづらいし、日本人形がいっぱいあるから区別できるようにね。ちなみに髪が伸びたのは幸子だけだ。


「なんか最近髪の毛の伸びが微妙なんだよね」


髪の毛は天川に切ってもらってる。いや、毎回部室に行くのめんどくさいし。


「なんだって⁉ 論文がまだ完成してないし、実験でまだ使うんだぞ! トリートメントをさせたりシャンプーを使うことによる影響とか、髪の毛全部毟ったらどうなるかとか、DNAも調べてみたいし、、、ストレスか⁉」


「いやー、なんでだろ。周辺に御札を近づけたりしないようにしてるんだけどなぁ」


「幸子、お前ならいける!お前はまだ旅立つな。生きろ!そなたは美しい」


「いや、もう死んでるんだけど。ん?人形だから生きるも死ぬもないのか?それとも霊がついているから違うのか?」


「どどどどうすればいいんだよ。俺の論文はまだできてないんだぞ。今から書き直しとか間に合うのかよ!」


「無理じゃね。ご愁傷さま」


「Nooooooooooo!」


「はぁ、どうしようもないから諦めようよ。専門の人に見せたいけど神社は引き取られちゃうだろうし、、、」


「幸子はやらんぞ!」


「落ち着けよ」








とりあえずどうすればいいかわからなかったから藁人形と一緒に小さな布団の中に入れといた。そこで呪いパワー的なものを集めておいてくれ



「あぁ、最悪だ」


「どうしようもないよ。まだいなくなると決まったわけじゃないし」


「ん?なんだこれ?」



幸子のためのスペースを確保するときにどかしたでかい水晶玉。何かおかしいような……



「赤い水晶玉なんて買ったっけ?」


「いや、買ってないよ」


「じゃあコレナニ?」


「シラナイ」


思い出せ。俺は偏差値65の男。やれば出来る子だ。水晶玉を買った場所は日本のどこだったか、確か北海道だったかな。カフェで一息ついてるときに天川と部費で落とすために何か買わないとって話してて、そうしたらカフェのオーナーが水晶玉を買わないかと言ってきて、なんなら無料であげるとまで言われて


「……そういえば、何か出来事が起こるときに色がつくとかなんとか言われた記憶が」


「ああ、あのときの無料でもらったやつね」


「でも、赤色って不吉だなぁ」


水晶の周りの色は薄いけど中心に向かっていくほど色が濃くなっていっている。中心はどす黒い赤だ。ほぼ黒である。グラデーションがきれいとか思えず、不吉って感じだ。



「どうする?神社に持っていく?」


何か物品に異常がおこったら天川はいつもこう聞く。決めるのは俺の勝手だ。


「部長さん?」


そんなもの決まっているだろう


「飾る。かっこいいし呪いパワーもありそうだ。幸子に持たせておけ」

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